Fate/EXTRA CCC、BB√   作:空飛ぶジャガバタ

2 / 14
聖女の深層 -anima ataraxia- ①

「そんな、私なんかで、いいんですか…?」

 

目に涙を溜めて、こちらを見上げる少女(BB)がそう呟く。まるで、貴方が後悔すると、暗に告げるように。

その声は、自分たち ──サクラ、BB、アーチャー、岸波白野── 以外には()()()()()()()の中枢に、静かに響き渡る。

確かに、彼女は自分たちを月の裏側に閉じ込めた元凶であり、誅すべき敵だ。

それでも、自分は彼女を助けたいと思った。

彼女を敵として見れなかった。

暴走したAIにも見えなかった。

ただ一人の、自分と同じ人間に思えたのだ。

 

そして、自分を守るために、今まで戦ってきたもう一人の”サクラ”を放っておけるわけがない。

自分と過ごしたという69日の思い出を抱えて、たった一人孤独に走ってきた彼女を捨て置けるわけがない。

方法がどうあれ、自分を一途に思ってくれた彼女を選ぶことに、後悔なんてあるわけがない。

その思いを、彼女に伝えた。

 

 

「…。私を選んだら黒い方が消えて、綺麗なサクラだけが残る、なんてオチはありませんよ?」

 

そんなオチ、なくてよい。いやむしろあってはいけない。

何がどうあれ、自分はBBを選んだのだから。

 

「嫉妬深くて、ワガママで、

 世話好きで情が深くて、

 ずるくて、H(エッチ)で、臆病で…」

 

うんうん。…うん?

 

「自分で言いますけどめんどくさいですから!

 色んなものがこじれて大変です!もうぎゅうぎゅうに束縛します!

 わかっていても、センパイが大好きです!

 こんな私でも、あなたは好きでいてくれるんですか?!

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?!」

 

叫ぶようにBBは自分の思いを全て吐露する。

そんなことわかりきってる。それがいいんだ。

それに、BBの性格なんてもうイヤというほどわかってる。

それでも自分はBBが好きだ。

だから、ムーンセルから離れてほしい。

その行為はBBを壊すだけだ。自分が好きになった少女を目の前で失いたくない。

そう告げようとBBの元に行こうとした。

 

─行こうとしたその時、何かのプログラムが作動した。

 

何が起こったのか、皆目見当がつかない。

唯一わかったことは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

一抹の不安を感じつつ、アーチャーに振り向こうとしても、動かない。

こうして動くのは体内と思考と口だけ。

それ以外のあらゆる動きは阻害されている。

それはアーチャーも同じであった。

 

「これは…まさか…!」

 

まるで、自分が抱いていた予感が的中したかのように、驚愕と焦りの声を上げるアーチャー。

未だ事態を把握しきれておらず、目を丸くしたまま静止しているBB。

自分の横にいるサクラも同じ心境だろう。

ただ立ち尽くしている。

 

誰一人として事態を把握しきれずにいる中、まるでそれを嘲笑うかのように天女の微笑が聞こえる。

──それは、本来いないはずの人間から漏れ出た笑み。

メルトリリスに体を分かたれ、死亡したはずの人間。

振る舞いは聖女そのものでありながら、どこか淫蕩を感じさせる立ち姿。

見間違えるはずもない。見間違えるべくもない。

あぁ、間違いない。あの天女は、彼女は、間違いなく────。

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。