えっ?前でもそう言ってた?何のことやら。
──それは、衝撃の告白だった。
BBの眼前で自分が消えたとき、BBがどのような顔をするのか。
ただそれだけを見たいと、キアラは語る。
そして、自分が消えたとき、それはすなわち──
「そうですね。端的に言うなら、貴方がBBさんの前で命を落とす、ということでしょうか。
これは、BBさんを取り込んだ後ではできないことでしょう?
ですから、今やらなければ味わうことができなくなってしまいます。」
などと、まるで食事をする前のようにキアラは言い放った。
その感覚は最早人間を逸脱しているようにも思える。
『他人の不幸は蜜の味』というが、彼女はどこか違う。
とにかく、今重要なのは、
アーチャーでさえ動けない今、自分はそれこそあっさりと殺されるだろう。
それも、たった一人の女の欲を満たすためだけに。
そんなこと、そんなこと──
「あら、貴方は表側で何を見てきたのでしょう。」
「あらゆる願いを叶える願望器を求めて128人のマスターたちが殺し合う月の聖杯戦争。
敗北が死へと直結する戦い。
私がやろうとしていることは、これとなんら変わりはありませんよ?」
「願いはすべて等価値です。そこに善悪はありません。ですが、──
貴方が自分の願いを叶えたいという欲を持って聖杯戦争に参加している以上、
言い訳、屁理屈とも取れるキアラの主張。
しかし、それはまごうことなき事実だ。
自らの欲のためだけに自分を殺そうとしているキアラ。
自らの願いを叶えるという欲を背負って他のマスターを死に追いやる自分。
そこに一体何の違いがあるというのか。
たとえ、自分が何を願い、何を思って、聖杯戦争という殺し合いに身を投じたのかわからなくとも──
「ふふふ、お分かりいただけたようですね。
では、私も自らの欲、その一つを満たすと致しましょう。」
キアラはそう言い、自身の背後から静かに、灰色の手 ─指、爪共に異様に長い─ を出現させる。
自分に死をもたらすモノ。
その凶手から逃げようとするも自身の拘束は未だに弱まらず、自分を逃がさぬよう捕らえ続ける。
どうやら、自分の死は逃れられぬ運命のようだ。
「マスターッ!まだ諦めるな…!もう少しで、抜けられる、筈…!」
そんなアーチャーの声でさえ、今は遠く聞こえる。
自分の死が眼前に迫ってきているという事実を認識するだけで、世界が遠のく感覚がする。
「嫌…やめて…その人だけは、その人だけは…!」
「あぁ、たまりませんわBBさん。その声を聞くだけで達してしまいそう。
それでは、白野さん──」
迫り来る。
凶手が、死をもたらすモノが。
自分の心臓を貫くように迫り来る。
逃れられない。防ぐこともできない。
自分がもっと優秀な魔術師なら、なんて思いも最早何の意味も為さない。
何故なら──
「私の欲の、踏み台になってくださいね?」
岸波白野という一人の人間は、殺生院キアラという一人の人間の欲を満たすために、今ここで終わりを迎えるのだから。
自分で書いてて思ったのですがわかりにくいですね…。
あと緊張感に欠けるなぁと。
ですが、自分にはこれ以上の表現が思いつかなくて…。
絵で示せたらわかりやすくなる…?