──どこかの桜並木。
気がつけばそこにいた。
月の表側でも、裏側でもない世界のように思える。
自分の髪を揺らす風は、いつも感じていた風とはすこし違う。
その風はあまりにも放逐的だった。厳しい自然を感じさせる。
月での風はいつも優しかった。ならば、この風は偽物だろうか。
…いや、これが
などと考えているうちにより一層強く、風が吹きつける。
そんな風を浴び、その花弁を散らす桜。
辺り一面が桜色に染まるとき、ふと呼ばれた気がした。
「センパイ。」
気がつくと、彼女がそこにいた。
人間性に満ちている笑み。
あぁ、俺はこの笑顔を守り抜けたのだ。
安堵と喜びが混ざり合った感情を抱く。
月の裏側で伝えそびれたことがあった。それを今伝えよう。
そう思い、足を踏み出した瞬間、違和感が奔る。
違和感の正体はわからない。わからないが、何かが違うと察する。
本能が、進むのを拒む。体が石のようだ。動かせない。
周りの世界全てに違和感をもつ。それは、
あの微笑みはまごうことなきBBのものだ。なのに。それなのに、
微笑みの後ろに、どす黒い何かが見えるような気がする。
あれは、本当にBBなのか、と。疑いの視線さえBBに向けてしまう。
そんな中、BBはただ微笑んでいた。
戸惑いも喜びも何も感じられない。ただ微笑んでいるだけ。
この上なく人間性に満ちていて、この上なく無機質な笑み。
そんな微笑みと真っ向から向き合うなど不可能だ。
視線を少し外す。周りの世界を見る。
そこは、最早自分が知る世界ではなかった。
黒い何かに汚染された世界。
自分が桜だと認識していたのは、BBが使役していた影。シェイプシフター。
呆気にとられた。この世界は、一体なんだ。
そんな疑問を、BBに視線で送る。
しかし、どうやらそれはできないようだ。
そんな視線はBBに振り返った瞬間、かき消えた。
黒いコートを身に纏い、活発で、人間以上に人間であった彼女のイメージは霧散した。
黒いドレスを身に纏わせ、生気を感じさせないほど肌は青白く、AI以上にAIである彼女。
そんな彼女が、そこにいた。
こんなのは悪夢だと思いたくて、ひたすらに悪夢から目覚めようとする。
目を覚ませば、元通りの彼女がいて、センパイと呼んでくれると。
そう信じて、悪夢からの解放を願う。
そんな自分の様子を見て、彼女は笑みを浮かべる。
自分が足掻く姿がそれほど滑稽に映ったのだろうか。
そして彼女はゆっくり、しかしてはっきりと言葉を口にした。
彼女と自分の距離的な隔たりを感じさせないほど、その声は耳朶に響いた。
「
「だから、無為に死なないでくださいね?」
その声は、新たな
この黒いBBの衣装はEXマテリアルの没案のものを思い浮かべてくだされば。
狐尾に同じ衣装を着たBBが出てきます。
どんな感じか知りたい人は狐尾を買おう!!(ダイマ)