War Robots二次創作 遺物の鎧騎士   作:KAEDE

1 / 1
なぜこのコンポ地獄時代にGalahadかって? 好きだからです。


プロローグ

 あの頃の俺は輝いていた。

 

 

 ある戦場で-

 

「おい、ルスフ! ミラの方向に、E-SG Taran引っさげたGriffinが向かったぞ! ここは俺らに任せて、行ってやれ。Stalkerは重機相手にタイマンじゃ分が悪すぎる、その足なら間に合うはずだ! 」

「わかった! ここは任せるぞ」

 俺はそう言うとこの場をヴァル達に任せて、 Tide Turnerアビリティーを解除し、焦る気持ちを抑えて冷静に Galahadを駆る。理由は今回の対戦カード、StalkerはStealthアビリティーこそ備えているが、8秒間耐えられてしまえばそれまで。Griffinの圧倒的な火力の前に、為す術なく命を落とすのみだろう。次世代の技術、レーダーに映らなくなるStealth能力を持つStalker。だがその体躯には軽武器が二門のみ。軽、やりようによっては中機体をも、単騎で破壊できるポテンシャルを秘めているが、 さすがに重機体を落とすのは難しい。速度を犠牲にした分厚い装甲に、火力重視の強力な武器スロット。今回のGriffinは中武器と軽武器が二門ずつ。軽機体が破壊するのは到底無理だろう。

「ミラ! 俺の後ろに!」

 到着したそこでは、ミラはStalkerの小さな体と建物を利用して、壁から壁へと隙の無いよう器用に乗りこなし、俺を待っていたようだ。

「少佐、遅いです……」

「悪かった」

 通信機越しでも、ミラの不機嫌さが恐ろしいほど伝わってくるが 、それは後だ。ここぞとばかりにStealthアビリティーを発揮し、後ろに回ってくるミラを守るように、俺はTide Turnerアビリティーを起動する。盾がGalahadの側面から前方を覆うように動くと同時に、Griffinがその姿を現した。

「チェックメイトだ」

 俺はそう呟くと同時に 、R40M Orkanミサイルに加えてSURA-F Pinataミサイル二基を掃射した。相手のGriffinも対抗するように、エネルギー砲E-SG Taran、EP Magnumを撃ち始めるが、盾に遮られてこちらに被害は及ばず、そこからは一方的な破壊だった。ミラのStalkerにも 少し削られていたのか、想定よりも早くに武器は壊れ、パイロットを宙へ飛ばし、その身は大破した。と、そこへヴァル達が追いついてきた。

「ルスフは間に合ったみたいだな。しっかし、何時まで軽機なんて乗り回してんだ? あんたは。そのうち死ぬぞ」

「何度その言葉を聞いたか、私はずっと乗ってるけど、こうして生きてるわ」

 ヴァルの軽口に冷静に応じるミラ。だがそうだ、彼女は1年もStalkerに乗り続けている。

 パイロットに関しては、機体が壊れる寸前に 、自動で高速射出されるよう設計されてるが、軽機体は速さを追い求めた装甲の薄さ故に、その機能まで壊され、戦死するパイロットも少なくない。しかし彼女はアビリティーの使いどころを見極め、クールダウンの時間を考慮して、生き残ることを前提に立ち回っている。そこに最新鋭の頑丈な盾を備えた鎧の騎士、Galahadが護るように動けば、それこそ傷の一つつけることは出来ないことだろう。「それもそうだな、ルスフがGalahad乗り回して始めてから無敗だし、この先もお前らのコンビが、負けることはないんだろうな」

「強いて言うならLancelotが難敵だが、まあなんとかなるだろうがな」

「……私たちは負けないわ」

「そうだな」

 

 

 

 絶対に負けないと、そう思っていた。

 けれど、絶対なんてなかった。

 

 

 人の世界は技術革新が進むように、GalahadやStalker、Carnageが次世代の技術で作られたから、それまでの機体へ優位に立てるように、新たにその上を行く機体が開発されることを、俺たちは失念していた。

 

その化け物は前触れもなく、俺の前に現れた。

 

 俺がミラとヴァルを率いて、Power Plantでの小規模任務の最中のことだった。順調に目的地へと進行していた俺たちを壊滅させたのは、三機の化け物だった。

 

「ん? ルスフ! こちらに高速で何か接近してるのをレーダーで捉えた! どうする」

「なんだこの速さは、こんな機体はなかったはずだ。皆、警戒体制に」

 Carnageを操縦するヴァルからの警告を受け、各々戦闘に備えるが、そこに通信機のチャンネルに割り込む謎の声が。

『タチサレ、イマスグニ』

「誰だ貴様は」

 誰何すると同時に、橙色の長身の機体が建物の向こうからその姿を現す。と、同時にヴァルに向けてE-SG Taran二基を撃ち始める。

「お前のAncilシールドはエネルギー武器を通す! 早く俺の後ろに!」

 そう叫ぶや否やTide Turnerアビリティーを起動し、前に出て行きCarnageを保護する 。

「今度はこっちの番だ!」

 やられてばかりではないと言わんばかりに、 こちらもR40M Orkanを撃ち始めるが、その機体は、鉄の塊とは思えないほどの速さを見せ、易々と反撃を避けてしまった。信じられない、あのような技術が開発されていたなど。 あまりの性能差に、ここが墓場になることを心のどこかで確信しており、私は呆然とする一方、ヴァルは諦めていなかった。

「速いがあれは一時的な加速にすぎない! 加速の終わる地点に撃てば、俺のTridentなら攻撃出来るはずだ!」

 そう言って、もうその能力を把握したのか、的確に加速の終了する地点に撃ち込むヴァル。 しかし、そこに素早く割り込む青の機影、恐らくその機体に備えられているであろう、電磁シールドのAncilに、中距離三連ミサイル武器のTridentは阻まれてしまう。

「なんだありゃ、お仲間か!? そしてあの鋏みたいな武器はなんだ!」

 その声に疑問を覚えて、その新手をよく見ると、鋏を縦にしたような、水色の武器を三基備えていた。

 その開いた鋏の中央から 、ジリジリと嫌な音のするエネルギーアークを放ち始めた。

「不味いぞ、こちらの機体も性能は良いが、相手はそれ以上だ! あの青いのも加速能力で割り込んできた、まだ何か隠しててもおかしくはない! ここは一旦引くぞ!ミラ、援護を頼む!」

「了解!」

 少し離れて移動してたミラが、Stelthアビリティーを使用しながら出てきて、後退しながら奇襲を仕掛ける。Tide Turnerアビリティーは、前方を保護する代わりに、移動速度が二十パーセント落ちるため、同時に俺はTide Turnerアビリティーを解除し、記憶を頼りに横向きで盾だけを相手に向けて、交代を始めた。ヴァルもRashアビリティーを使い、移動速度を上昇させて、早々にこの戦場から離脱する。

ミラのEP Magnumを避けるように加速をしながら、こちらを攻撃するため、順調に撤退出来ていたが、追い打ちをかけるように新たな情報が。

「もう一体別のが来てるわ!」

 焦ってるように聞こえる、ミラのその言葉に絶望した。 攻撃は受け続けているので、少しの間だけ機体を振り返らせると、見えたのは猛スピードで接近する深蒼色の機体。それは見間違えでなければ、一基でさえ凶悪な火力を誇るR40M Orkanを三基も備えていたのだ。極東の国で開発されたらしい、Fujinという中武器を三門装備できる機体も、あんな速さは持たず、タワーを立てて戦場の視界を広げ、内蔵のAncilシールドを展開するくらいのものだった。R40M Orkanはその火力と引き換えに、射程距離は300メートルと短いため、敵機に接近する技量がパイロットになければ、上手く扱えない武器だったが、あんな速さで動く機体が使えば、技量など関係なしに距離を詰められ、どんな機体も一瞬で鉄くずだろう。

 ババババとOrkanの発射される音が重なって聞こえ、直後激しい振動が襲い、Galahadの耐久値はどんどん減らされていく。破裂するOrkanミサイルの爆風までは、Galahadの盾では防げないのだ。このペースでは、射出装置が壊されるのも時間の問題だろう。

「頼む、耐えてくれ!」

 その願いが通じたのか、耐久値が2/5を割ったところで、振動は収まった。相手を見ると、エネルギーを使い果たしたのか、三機は壊れたかのように動かなくなっていた。

 こうして無事帰還することは出来たが、久々に戦場で死の近さを実感した。そして、まだあれらが試験段階でなお、Galahadをほぼ全壊に追い込んだことに戦慄した。いいや、一歩間違えてたら全壊にされていたか。あれはそれほどまでに、不完全の状態でさえ別次元の存在だった。

 それ以降、Galahadでは遭遇する新たな次世代機の能力の高さに、敗走を余儀なくされることとなった。そして、英国のNights of Camelotシリーズ、その一世代先の、米国のWild Westシリーズまでもが、戦場から姿を消していった。

 

 これは、それでもなおGalahadを駆り続けた、ある男の話。

 




ローペース更新なので期待せずゆっくり待っててくだしあ
先を少しでも読みたいって方は、モバスペBookの方にも顔を出してみるといいかもしれませんね。もしかしたら進んでいるかも。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。