と言っても本題に入るのはもう少し後…。
あと何話かはユーリの周辺やこの世界について、ユーリの生活に合わせて説明というか、わかっていただけたらなぁみたいな。
そんな話です。
朝8時。
春のセルトラルはまだ肌寒く中々起きれない。
「まぁ…」
寒くても暑くても起きる気はないのだが…。と目元まである前髪をうざったそうにする少年、ユーリ・ユークスは二度寝と遅刻を決心した。
「根は真面目な子」という評価を受けてきたユーリだったが、その評価がまるっきり的外れなものだということはユーリが一番知っているのである。
なんの躊躇もなく職務放棄するさまを見れば、この男の根も葉も腐りきってることが分かる。
「(布団の気持ちよさが悪いんだよな)」
ユーリは少年時代から現在にかけて睡眠が大好きなのだ。
布団に包まれる心地よさといったら!
そんな安全と幸福に包まれ、意識を手放そうとしている彼に、それとは正反対の
危険と不幸がプレゼントされる。
「ユゥゥゥゥゥゥゥリィィィィィィィ!!!」
ガチャ!と荒く玄関を開ける音が聞こえた時にはもう遅い。
緋色のモーニングコールことアンジェリカ・アンデュークの愛の目覚ましである。
「ゴハッ…!!」
緋色の髪を逆立たせたアンジェリカは服の上からでも分かるくらい形の良い2つの果実を存分に踊らせ、短いスカートから伸びる健康的な足でユーリを蹴る。
蹴るというより刺す。
つま先を尖らせ、猛烈な勢いでの飛び蹴り。
この起こし方は自分も多少ダメージがあるのだが、自分も痛いけどユーリはもっと痛いからいい、と以前真顔で言ってユーリを引かせていた。
「いったぁ〜…やっぱり痛いわコレ。次からは靴履いてやろうかしら」
「俺が一生起き上がってこなくなるぞ…」
のそりと布団から起き上がったユーリは前傾姿勢で歩きだす。
「どこいくのよ。早く着替えて準備しないと遅刻しちゃうでしょぉが!」
ユーリはキッチンの隣にある扉を指差し、
「便所」
と短く言うと、前傾姿勢を解いて中へ入っていった。
しかし扉を閉める直前で顔を出して
「アンリ、俺は黒派だから」
と意味不明なことを口にした。
「へ?」
アンジェリカが不思議そうな顔をして首を捻っていると、ユーリがニヤニヤしながらつぶやいた。
「レースのう・す・ピ・ン・ク」
そういうと扉を閉めた。鍵も閉めた。
「レースの…うすピンク?」
あっ!!と何かに気付いたような声を上げる。
そしてトイレに背を向けて、スカートの中を確認する。
「あのド変態…!!」
今日のアンジェリカの下着:レースの模様のうすピンク
「出てこいド変態ぶっ殺してやる!!」
アンジェリカの拳がトイレの扉を壊さんばかりの勢いで叩きつけられる。
中にいるド変態ことユーリは後悔半分、愉快さ半分といった心情で今日という日の始まりを実感したのだった。
もちろんユーリはトイレを出た後に死ぬほど殴られた。
緋色の髪の美少女、アンジェリカ・アンデュークが登場です。
美人というよりは元気で明るくて、まだ垢抜けない感じの娘を想定しています。巨乳好きとかではないよ。
さて、ユーリ君ですが。
プロローグのちょっとクールな感じからはかけ離れてる感じがしたと思いますが、心配いりません。
ちゃんとクールに決めます。
決めるところは。
前傾姿勢だったのは蹴られたからであって他意はないです。