最終選別を超えて俺は【鬼殺の剣士】となった。
満身創痍で帰宅すると麟さんがいて優しく抱き締めてくれた。照れくさかったけど。
何より…禰豆子が目覚めていた安堵に号泣してしまった。鱗滝さんも禰豆子ごと抱き締めてくれた。
鬼になった禰豆子は更なる変化があった。顔の目の下に麟さんと同じ痣と髪の毛の毛先も麟さんと同じく血のような真っ赤な【深紅】へと変わっていた。
麟さんは禰豆子に謝っていた。
禰豆子は幼子のように言葉を話せなくなっていたが麟さんを母親のように思い抱きついておそらく許していた。
「う!!」
と笑いながら言っていた。感情も乏しくなっていた禰豆子の鬼になってからの初めての笑顔。
麟さんは可愛いなぁと抱き締めていた。麟さんにとって禰豆子は娘のようなものと愛でていた。
…最後の方は禰豆子も煩わしそうだったけど。
後日。刀鍛冶の鋼鐵塚さんが刀を届けに来てくれた。
基本的に話を聞いてくれなかった。職人気質な人は偏屈な人が多いとは聞くけど。
俺の日輪刀は黒。錆兎さんと真菰さんは青。麟さんは深紅。
黒…?鋼鐵塚さんは俺を【赫杓の子】といい赤になるのを期待したらしい。理不尽にキレられた。
麟さんが持つ【神血】と同じくくらいの刀を作るというのが一族の悲願らしい。
それからは鎹鴉が初任務を知らせに来た。
北西の町にて少女が消えるという怪奇。
沼のように地面に沈む鬼がいた。3人に分裂する16歳の少女を喰らう鬼。鬼にも食の嗜好があるらしい。
そういえば麟さんも食べる鬼にも嗜好があるって言ってたなぁ。見た目麗しいのが美味らしい。うーん同列に見えてきたぞぅ。まぁ麟さんは人間食べないし恩人だ。
…麟さんや鱗滝さんからきいた始まりの鬼【鬼舞辻無惨】。その名を聞いた所沼の鬼は震え始めた。
言えない。ただ言えないと繰り返し聞き出せなかった。
鬼を人へ戻す方法。知っているとしたら奴だけと麟さん言っていた。もしくは奴に近しい鬼ならと。
そして俺は次の任務に来ていた。
浅草。都会だ。山暮らしの俺にはキラキラしていた。
人が沢山いる。
「夜なのに。夜なのに。こんなに明るい…都会って都会って」
禰豆子を連れて人混みから逃げるように歩く。
「あれ、炭治郎様。任務ですか」
「あれ?お雪さん…?」
ふと知り合いの顔を見つけ安堵する。
麟さんのお付きの1人。年の頃は見た目は俺より少し上の少女。お雪さんだった。
「あれ、お一人でいるなんて珍しいですね」
「麟様がとある方とお会いになっておられますので周囲を警戒しておりますの。他の者もいますよ。」
「へぇ麟さん来てるんだ。」
「炭治郎様お腹空いてます?」
「へ?あ、はい」
「うどん食べに行きましょう。」
ニコリと笑うお雪さん。ドギマギする。
「むー」
「な、なんだよ禰豆子。」
お雪さんに連れられて屋台までくる。
「お月見で」「山かけうどんでお願いします」
お雪さんはお月見。俺は山かけうどんで注文。
「……食べるんですね」
「麟様の影響で。あの方真似事で美食家ごっこするのがお好きで」
察した。本来栄養は【鬼喰らい】で間に合い人間の食事から得られる栄養など彼女からすれば微々なもの。
彼女の【人間好き】を象徴する彼女の慣習。
「…サボってて良いんですか?」
「私に炭治郎様の話を聞いて麟様に話す仕事が御座います故」
ニコリと笑う。ものは言い様だ。
まぁ他のお付きの人いるし大丈夫かな。
……!!?
臭い。屍臭。
探していた。あの惨劇の麟さん以外の残滓。
反射的に駆けていた。お雪さんの言葉も聞かずに。
駆けていた。匂いの元を辿る。
悪逆で卑劣で傲慢な全ての邪悪を詰め込んだかのような匂いを辿り人混みを掻き分けて一人のスーツの男の肩を掴む。此奴が【鬼舞辻無惨】!!
「何か…ようですか?随分慌てていらっしゃるようですが……」
此奴!!此奴!!人間の振りをして暮らしてるんだ!!
「おとうさんだぁれ?」
「お知り合い?」
人間だ。女の子と女の人は人間だ。人間の匂いだ。知らないのか鬼で人を喰らうって。
「いいや困った事に知らない子ですね。人違いではないでしょうか。」
「まぁそうなの?」
「その子は私の使いだよ。久しぶりだね。…【鬼舞辻】」
奴が通行人に振るおうとした手刀を掴む……麟さん。
「………おや久しぶりですね【血霞】」
「すいません。奥さん。仕事の話でね。ご主人借りますよ」
男装をしている麟さんは薄く笑う。
「あらそうなの?主人がお世話になってます。……あちらで待ってます」
「ええ、すいません麗さん」
会釈して離れていく麗さんと呼ばれた女性。
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「…………………ようやく尻尾掴んだよ【鬼舞辻無惨】」
「………………この人混みの中やり合うのかな?人に与する君だ。人死は望むまい。」
「…………【青い彼岸花】見つかったかしらん?」
「見つかったならばこんな煩わしい事はせずにすむんだがな」
軽く嘆息し振り返る。
「……私の【百鬼夜行】が取り囲んでいるよ」
「………だからどうかしたかね?」
ギャアアアアア!!?
悲鳴。混乱。人混みの所々に鬼化した人々が人を襲い掛かる。
いつの間に。ち。
「君に興味はない。…邪魔ならばいずれ殺してやろう。今は目につきすぎるから」
殺意。気配を消して【鬼舞辻無惨】の近くに控えていた。
微かに見えた眼光には【上弦】【参】と刻まれていた。
悲鳴と混乱の中雑踏の中に消えていく。この人混みの中【上弦】との戦闘は人死には避けられない。免れない。
「何をしているか!!きさまら!!」
「この人達は違うんだ!!違うんだ!!」
騒ぎを駆けつけ鎮圧しようとする警察隊。混乱を収めようとし鬼になった者を庇う炭治郎。
警察隊。クソ鬼殺隊は非公式だから法的権力薄いんだよなぁ。面倒。
血鬼術【惑血・視覚夢幻の香】
「貴方は鬼になってしまった者を【人】と呼んでくれるのですね。お助け致しましょう。麟さんのお知り合いのようですし。…麟さん鬼になってしまった方々の保護お願い出来ますか?」
美しい女性が少年を連れて現れる。この匂いは…幻覚?
「……珠世さんいきなり席外してごめんね。…わかったよ。皆!!」
「了解」「合点」「あいよ!!」
【鴉天狗】【火車】【犬神】という男性のお付きの人が現れる。鎮圧保護を行う。
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「…………狛治さん………?」
現場に駆けつけたお雪は懐かしい匂いを感じた。
ポロポロと涙が流れる。懐かしい匂いがしただけなのに。
貴方はどこにいますか?