鬼喰の血刃   作:九咲

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参の伍【那田蜘蛛山へ】

【蝶屋敷】

 

鬼殺隊の医療機関を併設する胡蝶カナエの屋敷。

 

最近運び込まれる剣士が多い。下位の剣士に限るが重傷の者も多い。

 

「アオイ~。宜しくねぇ」

 

「カナエさん!!?」

 

忙しさに目を回している。テキパキと手際の良い彼女すら目を回す忙しさだ。

 

医師の資格を持つの胡蝶カナエだけ。持ち場を離れるのは痛いが本業は【柱】だ。

 

「ごめんねぇ。任務だって。…いつも通りお願いね?」

 

「う、はい分かりました不肖神崎アオイ頑張ります!」

 

「ふふ良い子ね。アオイは頼りになるわごめんなさいね。帰ってきたら皆で甘いものでも作りましょ。」

 

ニコニコと励ますようにアオイの頬を撫でた後蝶屋敷を出る。

 

曇天。全く気分が滅入る。ダメダメ元気出してお姉さんしなきゃ!えいえいおー!

 

「……合同任務のようだ」

 

傷のついた狐面を付けた宍色の髪の毛の青年が立っていた。

 

「真菰ちゃんは?」

 

「別の任務だ。いつも一緒というわけではない」

 

「……何も言ってないじゃない」

くすくす笑う。

 

「………継子を連れて行くのか?」

 

いつの間にか側にいたカナヲに目を向ける錆兎。

 

「あら、何事も経験よ?…この子、無傷で最終選別クリアしたくらい優秀なのよ!錆兎くんもそろそろ継子見つけなきゃ」

 

「…俺はまだ新参の【柱】だからまだ自己研鑽でいっぱいいっぱいだよ」

 

「謙遜しちゃって~。水の呼吸は毎世代【柱】にいる呼吸だしウカウカ出来ないゾ」

 

「肝に銘じるよ。……今世代は継子を持っているのは貴女と岩柱くらいじゃないか?」

 

「なのよ~。不死川くんと伊黒くんは厳しいし。時透くんも厳しいのよねぇ。……宇髄さんも結局厳しいわぁ」

結局厳しいのかと嘆息する。

 

「煉獄さんと甘露寺さんは?」

 

「蜜璃ちゃんは伊黒くんがいる限り無理じゃないかしら?女の子の継子なら別だけど。……煉獄さんは探しているみたい。よもや!!よもやだ!!って言いながら」

 

我ながら煉獄さんの物真似は会心の出来だ。錆兎くんは鉄面皮。お姉さんは悲しいなぁ。 

 

「…麟さんは元気?」

 

「相変わらずだよ。半月前に会ったけどお変わりはなかった。」

 

道を肩を並べて進む。カナヲは黙々とついてくる。

 

「……麟さんが鬼って事は知っていたの?」

 

「…ああ。鱗滝さんに拾われてから彼女にも世話になっていたから。」

 

「…………そう。……【柱】の大多数は反【麟さん】よ?」

 

「…俺と甘露寺さんくらいじゃないか?あの人派は」

 

「あら、私も好きよ?彼女のこと。」

 

「…………妹さんと宵鷺のことは良いのか?」

 

「…………良くないよ。……でも彼女は関係ないもの。彼女からは本当に人間と仲良くなりたい気持ちは見えるもの。………………皆仲良くなればいいのに。」

 

「………そう、だな」

 

難しいことは知っている。そうあればと望む気持ちと許さないという気持ちは拮抗していずれ崩壊することも。

 

「やだー暗くなっちゃった。今回の任務なんだっけ?」

 

「那田蜘蛛山。……そこを根城にしている鬼がいる。任務に行った剣士達が帰還しない。お館様より直々に承ってきた。【十二鬼月】がいるやもしれぬと」

 

 

「だから【柱】二名の合同任務なのね。頑張りましょうえいえいおー!!」

 

我ながら空元気だ。全部曇天が悪い。

 

…………あの二人を思い出す。

 

胡蝶しのぶと宵鷺逢魔を。最愛の妹と鬼に姉妹を殺された少年を。

 

 

▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽

 

俺、炭治郎は世話になった藤の紋の家から出て任務への道中にいる。

 

黄色い少年・我妻善逸と猪の毛皮のかぶり物をした野生児・嘴平伊之助の前回の鼓の鬼との戦いを経て仲間になった。

 

前向きに後ろ向きな善逸は一人での任務は怖いとついてくるし伊之助は何かと力比べを強要してくる。

 

前回の骨折が癒えた頃三人同時に指令がきた。

 

那田蜘蛛山。そこへ一刻も早く向かうようにと。

 

「待ってくれ!!待ってくれないか!!」

 

善逸がやけに凛々しい顔をしていう。

 

膝を抱え道に座り込みながら。

 

「怖いんだ!!目的地が近づいてとても怖い!!」

 

「何座ってんだこいつ気持ち悪い奴だな」

 

「お前に言われたくねぇよ猪頭!!気持ち悪くない普通だ!!俺は普通でお前らが異常だ!!」

 

えぇ…。

 

ん…?

 

「誰か倒れている!?隊服を着ている。鬼殺隊員だ!!大丈夫か!!?何があった?」

 

 

倒れている隊員に駆け寄るが勢いよく森へ引っ張られるように飛ばされる。

 

繋がっていた(・・・・・・)俺にも…助けてくれぇ!!」

 

隊員は森に飲み込まれるように消えていく。

不穏なまでの静寂。緊張感が走る。恐怖心が生まれる。それを飲み込むように口を開く。

 

「俺は行く。」

 

「俺が先に行く!!お前はガクガク震えながらうしろについてきな!!」

 

 

「腹が減るぜ!!」

 

そんな恐怖心をものともせず伊之助は前へ出る。

 

「伊之助…」

 

「腕がなるだろぅ…」プルプル小さく震えている善逸が突っ込む。

 

いざ那田蜘蛛山へ。

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