鬼喰の血刃   作:九咲

22 / 53
裏の伍【煉獄杏寿郎の憂鬱と不死川実弥の激昂】

煉獄杏寿郎は迷っていた。

 

先代の父上も先々代の祖父も【血柱】殿を尊敬していたという。

その前の曾祖父も【血柱】殿に恩義を感じていたという。

 

さぞ立派な御仁であるかと期待値が高まっていた事は認めよう。柱となり相見えて女性で有ることはかなり驚いていたことは認めよう。

 

歴代の【血霞】家当主は【血柱】となると聞いていた。

 

煉獄家は血霞家のためにあれと教えをもち育ってきたのだ。

 

だが父上、先代方々…【鬼】であるとは聞いていない。

 

更に生き残りの婦女子を【鬼】にしたと先刻の会議で言っていたのだ。

 

彼女の人となりを知るには日はまだ浅い。

 

故に私は彼女の味方になるべきか。それともこの不死川と同じく【鬼】は【鬼】と断じて斬り捨てるべきかと。

 

 

迷っていた。

 

私は間違えない為に迷わねばならない。

しかし迷うという事は彼女の事を認めたいという事はではないだろうか?

 

よもや。よもやだ。私はこんなにも優柔不断であったろうか?ただ、自問する。答えを得るために。

 

私は【炎】

 

全てを燃やす篝火になるための【柱】でなくては。

 

 

▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽

 

不死川実弥は苛立っていた。彼が苛立っていたのは常だったがある女に関しては顕著だった。

 

気に食わない。ただ気に食わない。

 

最初は特別扱いの【柱】がいると聞いて気に食わなかった。

 

世襲制のボンボンがなにくわぬ顔でいていい場所じゃねぇ。傷みも辛さも知らねぇ温室暮らしが気に食わなかった。

 

俺は全てを失っている。ああだから気に食わなかったのだろう。

 

女だった。花よ蝶よと愛でられ育てられたお嬢様だろうと知ったこっちゃねぇ。柱稽古とかこつけてねじ伏せてやろうと勝負を持ちかけた。

 

結果は惨敗。見るも無残だった。

 

手も足も出なければ何したかも分からぬ無残さだった。

 

 

なんでだ!!?何故こんな女に!!?

 

更に気に食わないのがこの血のように赤い女の琴線に触れたのかはわからねぇが此方に構ってくるようになったというのが気色悪い上に鬱陶しい。

 

 

…………【鬼】。【鬼】だという。

 

気に食わない理由は分かったが今まで分からなかったことが腹立たしかった。

 

【血霞麟】

柱にて鬼。

 

鬼は全て殺し尽くしてやる。

 

俺は怒りの【風】吹き荒む激昂の【柱】

 

俺はお前らの生存は許さない。

 

 

 

▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽

 

 

炎の呼吸【弐ノ型・昇り炎天】

 

 

風の呼吸【肆ノ型・昇上砂塵嵐】

 

炎と風の斬撃が糸の結界を斬り捨てる。

 

「……煉獄杏寿郎と不死川実弥…!!?」

 

「【柱】!!?」

 

「…………なに寝てやがる血女ぁ…情けねぇな……!!」

 

「よもや【血柱】殿が押されてるとは」

 

「あ、いや麟様は自業自得というか…起きていれば敵ではありませんよ」

 

「間抜けめ。…まぁ邪魔だ。どけ」

 

「我らが引き継ごう。……不死川。全殺だ」

 

「当たり前だぼけぇ。…最近は雑魚鬼ばかりで苛立っていたとこだ。」

 

「ハッハハハハ!!不死川は運がないからな!!」

 

「うるせぇ熱血馬鹿。俺だけで十分だ」

 

「柱が二人いて一人が見学とは面目も立つまい。分けろ不死川。」

 

燃えるような獅子の髪型の青年と傷だらけの青年は構える。

 

鬼殺隊最高戦力の十人のうちの二人。

 

二人が何故我らの警戒区域にいるのか。

 

今回は助かったが疑問が出て来る。まあおそらくは。

 

「姫の監視か」

 

「…………お館様の指示ではない。安心めされぃ。我らが勝手にやっているだけでは無い。私は見極めたいのだ!!ハッハハハハ!!」

 

「俺はちげぇぞ。殺す大義名分欲しいだけだ。」

ち、と舌打ちをする不死川。

 

「…………なら当てが外れたな。姫の【人間好き】は筋金入りだからな」

 

「信用ならねぇ。てめぇらは血女の犬じゃねぇか」

 

「然り。故に姫のために嘘などつけんわ。……あの人は鬼の全殺を望んでるゆえにな。」

 

「てめぇも鬼じゃねぇか」

 

「姫は自身をも憎悪してるのよ。…くんでほしいものだ。人間。」

 

「知るかぼけぇ……悪鬼滅殺。悪鬼滅殺。この世全ての鬼は討ち滅ぼすだけだ。」

 

 

     風の呼吸・全集中【暴風ノ激】

 

荒れ狂う風の斬撃達は【鴉天狗()】を捕らえる糸の繭を斬り捨てる。

 

「…好きにやれや。俺はあの鬼を殺すだけだ」

 

 

 

「……【鬼殺隊】の【柱】か。…今は君らに用はないのだけど。まぁ良いや。いずれお嬢様の障害となるならば数を減らして良いよね。」

 

白い少年の両端には蜘蛛の頭部を持つ巨体の人型と妖艶な雰囲気を持つ女性型の白い装束の鬼。

 

「父さん、母さん。任せたよ。」

 

 

そしてワラワラと沸いてくる白い蜘蛛たち。

 

 

「燃やしがいがあるというものだ」

 

「…………【十二鬼月】かぁ?」

 

 

「いや、あれは鬼舞辻無惨の呪いを外れし鬼。【新月の純白】の手のものだ。」

 

「…【新月の純白】…?」

 

今の世代には馴染み深くはなく一種の怪談となっていた。

 

「…祖父様から聞いたことがある。色を奪う鬼がいると」

 

「けっ。そんな世迷い言が鬼殺隊の書庫に残ってたなぁ…事実だったか笑えるな!」

 

 

    風の呼吸【壱ノ型・塵旋風・削ぎ】

 

 

風を切る斬撃が蜘蛛鬼達を薙ぎ払う。

 

不死川は既に奴らの間合いへ入る。

 

「誰だろうと鬼なら俺らの敵だ。死ねや!!」 

 

不死川は迷わず違えず蜘蛛鬼達を切り払う。慈悲や憐憫もなくただただ切り払う。

 

悪鬼滅殺。それが存在意義故に。

 

 

    炎の呼吸【壱ノ型・不知火】

 

怒濤の踏み込みによる火焔の袈裟切りを放つ煉獄。その威力は脆い蜘蛛鬼を容赦なく滅殺する。

 

「滅殺!!」

 

 

 

   【破戒刹・雪結晶羅針】

 

 

雪結晶の羅針盤のような陣が鴉天狗の足元に展開する。

 

「雑魚鬼は受け持とう。」

 

羅針に飲まれた蜘蛛鬼達は凍りつく。そして砕ける。

 

 

「やって。母さん。父さん。」

 

 

巨漢の鬼の咆哮が開戦の合図となる。




捏造風の呼吸。はたして不死川くんの戦闘は原作で来るのか俺氏懸念。

不死川くんは最初麟と恋愛させる案がありましたが書くほどビジョンが見えなくなり没。

6月25日
風の呼吸壱ノ型と伍ノ型が既出だったので訂正。

7月13日
肆ノ型判明したので訂正。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。