【領域展開・縛鎖獄蜘蛛巣ノ糸呪】
【累ノ色彩】を名乗る【色彩ノ鬼】の【領域展開】
糸とそれを生み出す蜘蛛の鬼の巣と化す【領域展開】だ。
糸による獲物を狙い定める1つの捕縛領域。
ワラワラと際限なく現れる蜘蛛の鬼達は此方を狙い定める。
主たる【白い少年】をさらに父なる鬼と母なる鬼を守る壁となる。
だが烈火の如き炎と荒々しい暴風の前には塵芥に過ぎない。
炎の呼吸・肆ノ型【盛炎のうねり】
「ハッハハハハ!!」
烈火の如き闘気を纏うは【炎柱】煉獄杏寿郎。
彼は炎を纏う刃にて糸を断ち切り蜘蛛の鬼を燃やす。
風の呼吸・参ノ型【穿ち曲風】
「張り合いがねぇ。」
烈風吹く死の風を纏い糸を断ち切り蜘蛛の鬼を細切れにするのは【風柱】不死川実弥。
炎と風。糸を操る蜘蛛の鬼である【累ノ色彩】からしたら相性は悪い。
「相性が悪いね。母さんはあの炎の奴を。父さんは傷だらけの奴をやって!!」
糸を操る女性型の蜘蛛鬼は煉獄へ巨漢の蜘蛛鬼は不死川へ襲いかかる。
白い女性は人型の蜘蛛を複数操り煉獄へ突貫させる。
巨漢は咆哮を上げ膂力に任せて不死川を殴り付ける。
二人は苦もなく躱す。柱の中でも練度の高い二人だ。より貪欲に強欲に力を磨き研鑽してきた。
悪鬼滅殺。一匹でも多く屠る為に。
燃える力と吹き荒む力は薙ぎ払う。
「流石は鬼殺隊最高戦力だね。だが僕にも矜持がある。【色彩ノ鬼】としてね。……」
領域展開【縛鎖獄蜘蛛巣ノ糸呪・溶解ノ檻】
周りの雰囲気がまた一切合切変わる。まるで胃袋の中のよう。咀嚼し嚥下して消化する。
「姉さん」
「ええ」
姉と呼ばれた白一色の少女はつまらなそうに立つ溶解の檻の要のようだ。
【領域展開・縛鎖獄蜘蛛巣ノ糸呪・巨蜘蛛ノ豪傑】
さらに父と呼ばれた鬼はさらに肥大化。肥大化を繰り返し木を超える高さまで肥大化した巨大な蜘蛛となる。
【領域展開・縛鎖獄蜘蛛巣ノ糸呪・操り人形ノ劇場】
母と呼ばれた女性の鬼は巨蜘蛛の背に立ち無数の糸の人型を作り上げる。全て彼女の手元より現れ操り人形となっているよう。
3種の【領域展開】の展開。全て溶かす溶解の檻に巨蜘蛛に無数の操り人形。
「厄介な。あの巨大な蜘蛛でも厄介そうな上に胃袋の中のように溶解液が流れ出てくる。そしてそれをものともしない糸の鬼か。ハッハハハ!!笑えるな不死川。このような異能の鬼見たことないわ。」
「弱音吐くのか?煉獄ぅなら尻尾巻いて逃げやがれ」
悪態をつく不死川は舌打ちし一瞥する。
「笑わせるな不死川。俺はこのような鬼を滅する為に研鑽し力を蓄えてきた。剣士冥利に尽きるというものだ」
不敵に笑う。不死川という風が煉獄という炎を焚き付ける。
迷いなく臆せずこの戦いに身を投じる。
▽▽▽▽▽▽▽▽
【柱】というものを侮っていたのかもしれない。
主【血霞麟】という力を常に目の当たりにしていた為に同じ柱であり鬼である主よりはと無意識に断じていたのかもしれない。
私は人間の強さと弱さを知っていたのにだ。
救えた拳と救えなかった拳があったと朧に覚えている。救って救えなかった少年の顔を思い出す。愛弟子で息子となるはずだった少年の強さは間違いなく人間の強さであったと思い出す。
【烏天狗】は目の前の強さを持った人間に微かな記憶が重ねていた。
人間の【意思力】の強さに。
炎の剣士は炎を纏い笑い糸の鬼を薙ぎ払い打ち払う。
風の剣士は巨蜘蛛の攻撃を交わし傷付きながらも怯まず攻撃を繰り返す。
意思力は【悪鬼滅殺】
ただ害なす鬼を討ち滅ぼす為だけに力を振るう。
鬼には出来ない。それを。
「姫が好きな理由も分かるやもしれぬなと」
自身もまた、構える
【破戒刹・風式】
彼等を死なせない。姫に顔向けできぬ。
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【累ノ色彩】は苛立っていた。二匹の羽虫に手こずっていた事に。
自身はお嬢の創作物で彼女に類する力を与えられた。
存在意義で存在価値で存在理由。
それがなければ唾棄されると確信する。彼女にとっては作品。愛着はあれど劣悪であれば捨てられる。
芸術家とは失敗作には興味はない。
失敗作と断じれば直ぐさま埃に被れる。その程度の価値に成り果てる。
それは嫌だ。有意義であると証明し続けなければならない。そうしなければならない。
「人間如きが僕の邪魔をするなよ!!」
巨蜘蛛は多量の溶解液を吐き出す。濁流のような溶解液が流れ出す。
二人をおおう。骨まで溶かす溶解度。飲み込まれたら塵芥となるだろう。
「なに!!」
「しまった!」
【破戒刹・氷結式】
烏天狗が溶解液の濁流を凍らして風を纏う拳で砕き薙ぎ払う。
「……いけ!!鬼殺の剣士!!」
「うるせぇ!!言われなくてもな!!」
「かたじけない!!」
煉獄杏寿郎は上段に刀を構える。
不死川実弥は下段に刀を構える。
互いに鬼を討ち滅ぼすための鬼を殺すため鍛え上げた絶殺を誓った絶技を繰り出すため力を溜める。二人の刀に刻まれた【悪鬼滅殺】の文字を体言するために。
「炎の呼吸・玖ノ型奥義!!」
「風の呼吸・扒ノ型奥義!!」
二人の殺意が炸裂する。
「【煉獄】!!」「【
煉獄杏寿郎の怒濤の炎の燃える塊はその勢いのまま巨蜘蛛を薙ぎ払う。その強大なまでの威力はその巨体を討ち滅ぼす。横殴りに放たれた火柱は巨体に穴を開ける。
燃やし穿ち崩す。煉獄杏寿郎はそのまま巨体の穴を貫通し背後に出た。
不死川実弥はそのまま特攻。その名前の通り神風が如く特攻。捨て身の風を纏い糸の鬼達を薙ぎ払う。
狙いは【累ノ色彩】ただ一体。殺意を練り上げ突き進む。神風が如く速力でさらに特攻。特攻。特攻。
「死ねや!!」
【累ノ色彩】は糸の壁を創り出そうとするがその速力の前に間に合わない。
閃く一刀。清々しいまでの純然たる殺意が【累ノ色彩】の頸を刎ねた。
「なにぃ!!?」
「とれぇ!!おせぇ!!」
勢いは止まらず背後に行った不死川は反転更なる追撃を放つ。
【不死神風・弐撃滅殺】
返しの太刀が胴体をさらに真っ二つにする。
「くっそぉおお!!!!!!」
「お嬢に殺されろ!!【柱】ぁ!!鬼の楽園にはおまえ達など餌に過ぎないんだからな!!」
頸のまま咆哮。激昂したまま瓦解していく【累ノ色彩】
「鬼の楽園たぁ…んな気色悪いもの認めるかよ」
瓦解していく頸を踏み付ける不死川実弥。
「………お嬢とは気になるな」
「…【色鬼】って奴かぁ?【鬼舞辻】一派とは違うんか?何時まで寝てんだ血女!!説明しやがれ!!」
眠る血霞麟の頭を蹴り上げる。
「か、仮にも女性ですよ!!?不死川様!!」
烏天狗より分離したお雪が慌てて止めに入る。
「知るかボケ。鬼なら丈夫だろう。アホ抜かせ。」
「………仮じゃなくても女性なんだよなぁ…バイ麟ちゃん……いったぁい……お嫁に行けなくなるじゃん!責任取って貰ってよ!!実弥ちゃん!!」
「てめぇみたいな醜女誰がいるか!!ボケ!!」
「醜女!!?」
覚醒したばかりの麟は不死川の暴言にショックを受けていた。
「…醜女……無表情だけどさ……愛嬌はないけどさ…そこそこ美人だよね…?お雪」
お雪に泣きつく。
「はいまぁまぁそこそこ美人ですよ」
「まぁまぁそこそこ!!?」
「喧しい女だ…くそ、敵視すんのも阿呆らしい。」
納刀する不死川。盛大に嘆息する。全身が軋む。
奥義【不死神風】
その名の通り捨て身の超速剣術。
人の身で至るには代償が必要な速度の世界。
柱【最速】の剣士。
「……ちっ」
………ゆる…さ……。
許さない。
「ゆるるさななないいぃいいぃ!!」
瓦解した筈の【累ノ色彩】
「「「「!!?」」」」
【累ノ色彩】だったもの。瓦解したまま立ち上がる。
「ゆるるさななないいぃ!!ぼぼぼくは………なるものか!!!!!!用済み用無しになどどど!!」
崩れる色彩は形を成さない。だが妄執は混ぜた絵の具のようなぐちゃぐちゃな色彩で巨大な蜘蛛を形作る。
「…………なんじゃこりゃ」
唖然。この世ならざる子供の落書きのような巨大な蜘蛛を形作る。
「僕は役立たずなどどどになるかかか!!!!」
ただ妄執。意味なし意義なし理由なしを怖れ怯え立ち上がる。
それが【純白の呪い】
「ち、化け物が」
「…死に際程恐ろしいものはないな」
柱二人は再び抜刀。
だがその前に血霞麟が突き進む。既に左手に真っ赤な刀を構え抜刀していた。
背中に【喰】の文字が二人の眼前に入る。
「私の敵だ。……二人はボロボロだ。下がって」
「うるせぇ」
「聞けぬな。貴女もボロボロではないか?」
「…私は【鬼】だよ。……ありがとうね助けてくれて」
「うるせぇつってんだろ!血霞!!」
「下がれと言っているんだ小僧。此処からは魑魅魍魎。悪鬼の戦いだ。」
一瞥すらせず血霞麟は威圧する。
「てめぇ!!訳分からないだろが!!鬼は鬼らしく…!!」
膝をつく。全身が軋む。
「……不死川下がるぞ!」
不死川を抱えその場を離脱する煉獄。
「ちがすみぃぃりぃぃん!!!!お前のいろろろはもちかかえるぇえ!!」
「哀れ。」
襲い掛かる【累ノ色彩】巨大蜘蛛の脚を一閃。斬り捨てる。
悲鳴ならざる咆哮。黒墨みたいな体液を撒き散らす。
血の呼吸・肆ノ型崩し【狂い咲き紅蓮華】
刀を幾回振るう。狂い咲き華が如く血の刃が咲き誇る。
巨大蜘蛛を連続して切り払い薙ぎ払い斬り捨てる。
「眠れ。せめて安らかにな。」
今度こそ瓦解していく。塵芥となり風に消えていく。
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「…………凡作で御座いましたわね。」
ボソリと呟く。
「あら、貴女にしては優しい評価なのね真白。おかわりは如何?」
対面に座る灰色の和装の妙齢の女性。
茶室のような場所で白い少女と灰色の女性は対面で優雅に座る。
「頂きましょう……中々駄作しか生み出せない我が身がもどかしいですわ」
「貴女に謙虚な気持ちがあったとは意外ね」くすくす笑う。
「五月蠅いですわね。【新月の灰色】灰羅さん」
真白の不機嫌さに愉快そうに笑う。
「くすくす。我等が悲願【鬼の楽園】達成の為期待してるわよ。」
「……【血霞麟】はわたくしの観賞動物ですから手を出さないでくださいましね」
「ええ、分かってるわ。野暮な事はしないわよ。」
ただただ愉快そうに笑う灰羅に顔をしかめる真白。
「……次の作品に着手しますので失礼しますわ。お茶美味しかったですわ」
立ちあがる。
側に控えた琴を奏でる女性が音色を奏でると真白の姿が消える。
「…ふふっ」
愉快そうに笑う灰羅の姿も消え琴の鬼も居なくなる。