鬼喰の血刃   作:九咲

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捏造鱗滝さん。捏造設定苦手なお人注意。


弐【鱗滝少年と血の剣士】

【血柱】の血霞麟は謎の【柱】であった。    

 

継子を持たず柱合会議にも参加しない。

 

謎の女性で噂は噂を呼び現【柱】たちでも会った事があるのは古株のものだけで新参者の【柱】や階級の低い剣士の間ではまことしやかに囁かれている存在と化していた。

 

噂だけではなく確かに存在しているのは確かであり【血柱】のおかげかどうかは定かではないが【鬼殺の剣士】の死亡率は彼女が【柱】となってから格段とおちて居るのは事実であった。

 

歴代柱たちと比べやはり別格なのだと。

 

 

 

「だ、そうですよ姫。よかったですねー。モテモテですよ?」

と薄く笑いながら笑いを堪えれず明らかに馬鹿にしてるのは赤い九つの尻尾を生やしている【玉藻の前】

所謂【九尾の狐】だ。

 

「人前に出れんし仕方なくね!!?柱合会議も大体日中だし!!?」

 

「はいはいワロスワロス」

 

ぎゃームキーにゃー!!玉藻殺す。性悪過ぎません!!?逸話の玉藻の前再現してるんじゃね!!?

美人だからって調子のるなよ!!?

 

「お、落ち着け姫。なっ?」

 

「やっぱり君は癒しだよ。もふらせろ【犬神】」

 

犬顔の人型の【犬神】。性悪の玉藻と違い主人思いのイケメンやわ。可愛くて仕方ないわ。

 

 

妖怪としての【犬神】は怖いんだけどさぁ。

 

 

【剣士】となって幾何か。鬼を喰って【百鬼夜行】を増やして鬼を喰って剣士を助けていたら【柱】たちも世代交代をし【血柱】が【鬼】であることを知って居る者も少なくなってしまった。

 

【血柱】は【血霞】家の女性が世襲するという嘘設定が蔓延していた。まぁ【産屋敷】家の取り計らいだとは思うけれど。

 

「今代のお館様の宿哉様にも感謝やねぇ。なぁ姫」

 

「そだねぇ…入りたての頃は鬼嫌いもいたしやりにくかったし。こういった感じのが動きやすい……って勝手に出て来んな。【鵺】」

 

エセ関西弁を話す様々な獣を合わせたような怪物は飄々と話す。【鵺】と呼ばれたそれは意に介さず欠伸をする。

 

「勝手に出るなってば4人以上出ると私様は貧血起こすぞ!良いのか!!」

 

「いいんやない?」

 

「私はやですよ。しばらくぶりの外なんですから。」

 

「俺消えとくわ。じゃあな姫」

 

ああ……モフモフ……理由付けて帰りやがった。性悪と自由気ままのこいつら残して……。

 

 

「……………あれっきり【鬼舞辻】の接触もないよねぇ…………下弦すら見ない。上弦も【壱】以外見たことないし」

未だ自分が誰かは分かってなく解決せずもどかしい。

 

 

「色々現実逃避するのもええけど…そろそろ現実直視したほうがええで。姫。その小僧どうするんや?」

 

どうするって?

 

「どうしよう?」

 

血霞麟に与えられた屋敷の一室に横たわる齢十を超えたくらいであろう少年を見て嘆息する。

 

名を【鱗滝左近次】という少年だった。

 

 

 

▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽

 

 

いつの世も理不尽は存在する。

 

人による理不尽も鬼による理不尽も受ける側としてはたまったものではない。

 

理不尽は常に弱者に降り掛かる。

 

人間好きを自負している自分からしたら私はそれに対して嫌悪感があった。

 

振り払おうと思っていたしそれでも私の力には限度があった。

 

鬼による惨殺現場に遭遇するのは常だし幼子の死体を見るのはいつもきつかった。

 

 

先日の鬼狩りの際生き残りの少年を保護した。

 

 

名を【鱗滝左近次】という少年だった。

 

両親と思われる死体を前に茫然自失としていた彼を抱きしめ保護した。

 

泣いてはいなかった。強い子だと思った。

 

鬼に殺された少年が鬼である私が保護するのは気が引けた。

 

鬼殺隊に預ける。それが一番良いだろう。

 

 

「【八咫烏】」

赤い三本足の怪鴉は私の鎹鴉だ。

 

通常の鎹鴉は鬼である私には寄り付かないのでこの子が伝令係を担っている。

 

「伝えてくれる?」

 

 

「了解」

うーんイケボ過ぎませんかね?

 

それから鱗滝左近次少年が目を覚ます。

 

流石に異形の姿をした【百鬼夜行】達を消す。

 

1人は心細いのでお雪を出しておく。見た目は普通の美少女だから気にならないだろう。

 

「こんにちは。落ち着いたかしらん?少年。」

 

前髪で角を隠しているし今の私は一目で鬼に見えないのはお墨付きだ。

 

「…ここは…?」

 

「ここは私の家だよん。」

 

「貴女は…?」

 

「私は【血霞麟】鬼を狩る剣士だよ」

 

その言葉を少年は覚醒したばかりの頭で飲み込んだだろう。思考と逡巡が見て取れる。

 

「……お姉さん」

 

「何かな?」

 

「剣を教えて下さい」

 

「何故?」

 

「鬼を殺す為」

 

少年の目は真っ直ぐで断る術が私になかったのが間違いだったのかもしれない。

 

 

▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽

 

鱗滝左近次少年は思った以上に頑固な少年だった。

 

飲み込みは早く努力を惜しまない奴だった。

 

鼻が利くらしい。

 

百鬼夜行の皆は不評だったが鬼の独特の香りがあるらしく香水を使用していたため鱗滝少年も誤魔化せていた。

 

鱗滝少年が向いていた呼吸は【水】

 

 

奇しくも私の呼吸は水から派生した【血】の呼吸であったため基本的なところは似通っていた。

 

私の教えは忠実に守り鍛錬を怠らなかった。

 

頑固すぎて身体を壊すまでやっていた。意固地になって励んでいた。

 

 

「左近次。君は何のために鬼を殺す?」

 

「復讐?弔い合戦なら私は此処で指導をやめる。」

 

ふと溜め込んでいた疑問を聞く。

 

 

「師匠はお優しいな……………」

 

此奴を拾ってから少年は青年に近付く成長期まで成長していた。年に似合わず大人びた顔をする。 

 

「………最初はそうだった。両親や妹達を殺した鬼を殺し尽くす為に貴女に教えを請うた。けれど……何故か気持ちに変化があって………貴女のように自分と同じような人間が出ないように【鬼殺の剣士】になりたいのだ。」

 

私と同じく中々表情を変えない鱗滝少年は薄く笑う。

 

 

私のように…か。鬼の私に言われる資格があるのだろうか。

 

 

こうして鱗滝少年は私の教えを忠実に守り鍛錬をし【最終選別】へ至る。

 

立派な剣士となった。

 

 

▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽

 

 

「君の弟子は素晴らしい剣士だね。」

 

薄く笑うは【産屋敷宿哉(しゅくや)】鬼殺隊現当主の青年は先代の生き写しにしか見えない。

 

「そう?ありがと。あの子が優秀なおかげだけど?」

 

「……それで返事を聞かせて貰えるかな?」

 

「答えはNOだよ。ばかちん。鬼の私を口説くなんて正気かよ。鬼殺隊の当主の血筋に鬼の血を混ぜる馬鹿はいないだろよ。」

 

此処は産屋敷邸。彼は現当主。

 

未婚者で私に一目惚れしたとかで散々アプローチを受けたがその度断っている。

 

「そろそろ宿哉もいい年なんだからいい加減諦めなさいな。」

 

「そうだね。今回が最後にしようかな。……」

 

「そうしろそうしろ。産屋敷は何かとしがらみが多いでしょう?私様みたいなのに構ってたら後ろ指さされるよ」

 

「……君を悪く言う人は以前から減ったと思うけど。」

 

「所詮私は【鬼】だよ。宿哉。」

 

日の当たらない部屋でしかこうして友人に会えないしね。柱を護衛に付けないだけ最大限の信頼関係だと思う。

 

「あら、美味しい。【甘甘屋】の羊羹は美味しいわぁ…これ食べにきてるようなもんよ。」

 

羊羹を食べながらお茶を啜る鬼も私くらいだろう。

 

 

▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽

 

 

 

緩やかながら時は過ぎていく。鱗滝少年はもう青年で【水柱】を務めるほどの剣士になった。

 

 

「あの小さな少年がねぇ」

 

「感想が完璧おばさんですよ麟様。」

 

「うっさい。」

 

「え、姫。おばさんなの?可哀想に。」

 

ニヤニヤ笑うな玉藻殺すぞ。

 

 

 

「……左近次?どうした?」

 

【血霞】邸の庭に立ち尽くす青年【鱗滝左近次】がいた。

 

何も言わず招き入れる。今日は月が綺麗だ。

 

 

鱗滝少年…いや青年は無言。張り詰めた無表情が見て取れた。

 

「お前の活躍は聞いているよ。左近次。唯一の弟子が柱とは鼻が高いよ。」

 

無言。

 

 

「相変わらず無理をしてるな馬鹿だなぁ。私様みたいに力を抜きなさいよ」

 

お雪と玉藻は察したのか彼が来てから消えている。

彼の前では【百鬼夜行】は顔を出したことはない。

お雪などの人型がお手伝いを扮してちょこちょこ顔を出したくらい。

 

「………………幼子を救えなかった。」

 

そうか。分かるよ。

 

 

「……兄を喰らった鬼になった弟を殺した。」

 

いつものことだ。私たちはいつも間に合わない。

 

「………剣士になってから救えなかった命のが多い気がする。」

 

 

独白は続く。

鉄面皮に磨きが掛かった彼の顔には微かな苦渋。

 

「また、鬼が憎くなる。」

 

「憎くていいんじゃないかな別に。復讐は良くないよと言っただけだよ左近次」

 

「……恩人の貴女が何故…【鬼】なんだ…」

 

「あらん。気付いてたの?」

 

「私は鼻が利く…最初から気付いて居たんだ。……最初は取って喰われるかと思ったが……鬼の匂いとは別に優しい匂いがした。」

 

「照れるね」

まさか気付いていた上で私に教えを請うてたとは。

 

「何故?」

 

「私は歪な鬼だ。左近次。…私は鬼を喰らう鬼だ。…それ以上に『人間』が好きだ。人間の優しさも営みも全て愛しい。……私はよき師匠ではなかったな左近次。私が憎いか?」

 

「鬼は憎い。…けれど貴女は別だ。」

 

そう、ありがとう。左近次。と私は薄く笑う。

 

「これあげるよ。左近次。」

 

「…これは」

 

「『厄除の面』、厄災を払うまじないをしてあるけど…もう一つお前に必要なまじないをしてあげる」

 

「まじない…」

 

「これを付ける間は迷わず違えず鬼を狩れる。」

 

赤い天狗の面を彼の顔に付ける。

 

「…似合う似合う。救えなかった命があったとしても迷うな左近次。救えなかった命があったとしても救える命もまたあるんだ。私にとってはお前だ。」

 

「……ああ」

 

 

こうして私は『人間』が好きだという事を自覚する。彼らの優しさ、迷いが愛しい。




今回の百鬼夜行。

【九尾の狐】→【玉藻の前】史実のお人とは関係ないし某良妻とは違い性悪。麟をからかう事をライフワークにしてる。血鬼術は【呪い】

【犬神】…イケメン犬顔。百鬼夜行の良心。モフリストの麟には困っている。
【犬神憑き】の血鬼術。

【鵺】…エセ関西弁の合成獣の百鬼夜行。
血鬼術は【雷鳴】

【八咫烏】→麟の鎹鴉。
中田穣治ボイスのイケボ。
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