鬼喰の血刃   作:九咲

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新章突入。

やりたい所まで近付いてきました。


【夢幻列車】編
夢幻ノ壱【不吉な招待状】


【柱合会議】と【新月の空色】上臥原天との戦いから幾許かの日々が流れる。

 

私は暇を見つけ何かと蝶屋敷へ足を運んでいた。

 

炭治郎と禰豆子の兄妹の見舞いと機能回復訓練の進捗状況の為だ。

 

「あ、麟さん」

 

「…………お、鬼!!?た、た、炭治郎!!?禰豆子ちゃん以外に鬼の知り合いいるのぉ!!?なんなん!!?なんなん!!?あ、でも美人さんで、おまえぇぅええ!」

 

お、おう。美人とか言われると照れるね。

 

付き添いのお雪にもデレデレし始めた黄色い子は我妻善逸くんらしい。

 

友達か、良いことだねぇ。

 

「……勝負しろぉぉお!!」

 

猪突猛進と突っ込んでくる猪頭の少年。それを【犬神】が遮る。獣頭同士仲良くねぇ。

 

嘴平伊之助君ねぇ。

 

 

「はろろん。調子どー?」

 

赤い着物で暢気に声を炭治郎にかける。

 

 

「………怪我は良くなったんですけど……訓練が中々うまくいかなくて」

 

「全集中・常中?」

 

「……常中?」

 

「今炭治郎がしている訓練はそれが出来るようになるためのものさ」

 

全集中・常中。24時間常に【全集中】する呼吸法。心肺機能が強化される。【柱】を含む上級の剣士が当たり前に行っている【前提】の技術。

 

より、深く集中し感覚を鋭くする【深層】もあるが別な話。

 

「……何かコツはありますか?」

 

「…感覚的なものだしねぇ…」

 

鬼化して目覚めて普通に使ってたし鬼化してから得たのは【深層】の方だしねぇ。

 

「………………………………諦めないこと。繰り返す事。炭治郎は真面目だからね挫けないようにね」

 

炭治郎の頭を撫でる。15の子供が頑張りすぎだよ。

 

余り無理しないで欲しい。お姉さんは心配だよ。

 

なんか黄色い子も凄い顔で見ているからその子の頭を撫でてみる。

 

真っ赤になって倒れた。あらま。

 

 

 

「賑やかなのは困りますよ麟さん」

 

「ヤッホー」

 

すーっとカナエちゃんに近づく。

 

「カナエちゃんこの後暇?美味しい甘味処が…」

 

「じゃないです。大体お昼間出掛けられないでしょう?よく、ここまできたと感嘆しますけど」

 

「えー。なら日が沈んでから」

 

「任務ならまだしも夜出掛けるのはお姉ちゃんの模範行動的に駄目ですよー」

 

「くっ…ガード硬ぇ…」

 

「蜜璃さんと合わせて今度行きましょ。女子会です」

 

「うん、行こう」

カナエちゃんの手を握る。

 

 

「………………血霞さん女の子好きなの?」

 

「本人は両方いけるって。禰豆子もウチに来なさいとか言われてた」

 

「えー」

 

「………ちなみに俺も。」

 

「え、兄妹ごと!!?こわ!!?」

 

炭治郎も我妻くんも何か言ってた。

我妻くんも家族にしてやろうか?

 

「……………で、麟さん真面目な用事があるんですけど」

 

「………はいはい?」

 

 

「…上弦の弐について、何か知ってますか?」

 

 

「…………上弦の弐?……うーん。ごめんねぇ【上弦の月】に遭遇したことあるの【壱】だけなんだ」

 

「そうですか…」

 

【上弦の弐】の名前を出した一瞬彼女の目が深く澱んだ気がした。

 

「カナエちゃん?…」

 

「気にしないでください……ね?」

 

唇に指をあて首を傾げる。

 

「う、うん」

 

もしかして………【宵鷺逢魔】くんとしのぶちゃんの関係かしらん…?…まぁ、あからさまな地雷ポイントだから深入りは厳禁よねぇ。手伝えたら手伝うんだけどねぇ。

 

鬼にしか出来ないこともあるだろうし。色々揶揄って余計なお世話は無粋だしねぇ。信頼度はぶっちゃけ高くは無いし彼女からの。

 

多分彼女の態度に-はない。余程の悪人じゃない限り平等に接しているはず。

 

普通の+と特別の+があると読んだ。私はせいぜい-寄りの+。鬼だしね。

 

彼女とは仲良くしたい。何故かそう思う。

 

そうか、私は彼女と友達になりたいのだ。

 

「蜜璃ちゃんに、言っとくねん」

 

「お願いしますー。炭治郎くん達検診ですよー」

 

検診されてぇ。痛いお雪脛蹴らないで。

 

 

▽▽▽▽▽▽▽▽▽

 

 

 

「…………」

 

 

血を被ったような青年。子供のような笑みを浮かべ女子を喰らう。

 

『救っているのさ』

 

夜な夜な夢に出て来る。ただただ不快な鬼の笑み。

 

『この世に救いなど無く、極楽もない』

 

嘘。救いはある。彼等は私の救いだった。

 

『だから、俺が喰らってあげているのさ』

 

否。奪ったのはお前。お前だ!!

 

 

「…!!……またこの夢…」

 

定期的に、この夢を見る。この気持ちを忘れないためか。

 

「…お水飲んでこよう……」

 

胡蝶カナエは立ち上がる。羽織を羽織り台所へ。

 

「……………ふぅ」

 

 

「………きひっ」

 

「誰!!?」

 

闇色の少女が背後に立っていた。

 

体は細く髪を1つでまとめ和風な要素を持った洋装を着ている。何より面影があった。

 

「【宵鷺夜深】…覚えあるでしょう」

 

「逢魔くんの、妹さん……こんな夜分に何か御用かしら?」 

 

 

「御用。……用ねぇ。お兄ちゃんを返してよ。ねぇ」

 

「!!?……いや、…あの……」

 

「返してよ」

 

逢魔くんの訃報。それは送っていない。けして不義理ではなく場所を知らないわけじゃなかった。

 

 

彼は天涯孤独(・・・・)の筈。

 

 

「貴女生きてたの…?」

 

「死んでるわよ。死んでたわよ!!死んでたわよ!!」

 

猫のような縦長の瞳孔に、鋭い犬歯。鋭い爪。

 

そして、純白の紋章。

 

【色彩ノ鬼】

 

「貴女…鬼に…!!」

 

しまった、帯刀していない。

 

「安心して、何も取って食おうって訳じゃないの」

 

小柄で、細身で彼から聞いていた病床の躰から想像出来ない怪力で胸ぐらを掴まれる。

 

「お兄ちゃんを、殺したのは誰?」

 

 

「…」

 

「誰?」

 

「【上弦の弐】童磨……」

 

「そう」

離される。床に崩れ落ちる。

 

「ど、どうするの?」

 

「磨り潰して粉々にして間引いて殺す。報いを。応報を。悪因には悪果を。…………殺し尽くしてやるだけだわ。」

 

黒く暗く淀み澱のように積もった殺意。

 

 

「…私も…………殺したいのソイツ」

 

「…へぇ」

 

「…………分けてやらない。」

 

「そっちこそうちの妹の仇でもあるの。…………譲ってあげないよ」

 

「くふっ………なら早い者勝ちよ。義姉さん?」

 

「そうね。」

 

闇夜に溶けるように消えていく【宵鷺夜深】

 

「【新月の闇色】宵鷺夜深。よろしくね」

 

 

▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽

 

 

 

風雲急告げる【血霞邸】

 

 

一つの郵便物と鎹鴉の死体。その鎹鴉が持ってきた郵便物。血霞邸に届けたと同時に息絶える。

 

 

誰の鎹鴉かは分からないが丁重に埋葬した。

 

 

「……姫。不穏なものを感じるが」

 

「捨てちゃいましょう。なんかの罠ですって」

 

「…………うーん」

 

「どうしたの零余子」

 

「あ、いやこの郵便物に残る微かな残滓。どっかに見覚えが」

 

「なら【鬼舞辻】?」

 

「を装った【新月】の罠の可能性も」

 

不穏&不穏。

 

「開けてから判断しましょ。」

 

開封と同時に起爆したらやだし血の腕を作り出しそれで開封する。

 

「………無限列車の切符?」

 

「無限列車?」

 

「都会で走っている汽車よ」

 

「はぁ、汽車」

要領えないあやかし達。まぁ縁ないものね。

 

「走る鉄の塊よ。乗り物よ乗り物。人間の叡智よ。乗りたかったのよねぇ。わーい行こう行こう。」

 

「…いやいやいやいやあからさま怪しいですって。そんな招待してくれる知り合いいないでしょ!!」

 

お雪が叱責する。えー。

 

「そもそも死に体の鴉が運んで来たんだよなぁ。不穏ですよ不穏」

 

顔を顰める零余子。

 

 

「姫。手紙だ」

 

【鴉天狗】が渡してくる。

 

 

【この切符の日付に来なければ乗客全員喰らう】

 

 

と、殴り書きの血文字で書かれていた。

 

おおう。

 

「………………日付はいつ?」

 

「三日後の夕暮れだな」

 

「………上等じゃん、頭を使いやがって」

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