浮かれていた。
これは任務ですし乗客の命も掛かった大事なものだ。
それにこの切符を送りつけてきた【鬼】は何者でどういう魂胆かは分からないが確実に麟様を陥れる為のものだろう。それは間違いない。
「どう似合う?最近の流行の洋装だってー」
麟様は新しく仕立ててもらった真っ赤な洋装を見せつけてくる。百歳児ですか貴女は。
「はいはいお似合いですよ麟様」
「投げやりだな!!?…零余子どう思う?。」
「お似合いかと。麟様スタイルいいですからねー…無駄に」
「無駄に!?…」
最近は零余子さんも麟様の扱いが分かってきたのか塩対応だ。零余子さん若干の私怨入ってませんか?
麟様はそう浮かれていた。
基本的に【深い森】での隠居生活。
浅草などの、都会の散策などはたまにしますが基本的に浮かれています。
まぁ楽しそうで良いんですけどねぇ。
今は赤い洋装を着て年甲斐もなくはしゃいでいるのを生暖かい眼差しで見守る。
時間は夕暮れ。日は沈み駅舎で問題の列車を待つ。
私、お雪と零余子さんで麟様に付き添う。
基本的に異形である【百鬼夜行】は、目立つ。角のある零余子さんは帽子を被って貰ってますが。
「お雪~。駅弁食べる?」
「頂きましょう」
キリッ。麟様の影響で食事は数少ない楽しみだ。
【百鬼夜行】は栄養取る必要ないはないが嗜好品として頂ける。
摩訶不思議ではありますけど心の栄養にはなります。
「むっ?…血霞殿ではないか」
燃えるような髪に炎のような羽織に隊服。特徴的な出で立ちをする一目で煉獄家の血縁とわかる姿の煉獄杏寿郎さんその人がいた。
購入している駅弁の数がおかしいがまぁ甘露寺さんに比べればまだ常識の若干の範囲外だ。
「やっほ~。杏くん。おひさ~」
「……その、呼び方は控えて欲しいわけではあるな」
「この前はありがとうね」
「是非も無し。【柱】として当たり前のことしただけだ。……貴女のことは多少認めてはいるがな。……よもやこのようなところで会うとは!!」
「お忍びだよー。まぁ遊びに来てるわけじゃないんだけど。そっちは隊服ということは任務かな?」
「うむ。」
麟様は煉獄さんに話しかけ談笑する。不死川さんに比べればまだ友好的な煉獄さんはそこまで塩対応ではなく元来の性格なのかそれなりに会話が弾んではいるようだ。
この前の会議で敵対する理由は今のところないのもあると思います。
「短期間のウチにその汽車で四十人以上の人が行方不明となっている。数名の剣士を送り込んだが全員消息を絶った!だから柱である俺が来た!」
「なるほどねぇ……私のところには脅迫染みた招待状が来たんだけど関係あるのかしらぁん?…」
「ふむ、血霞殿はプライベートかと思ったがそのような事情か。なるほど共同任務といこうじゃないか!」
煉獄さんは麟様に見せられた招待状を見て怒気を纏っていた。
なるほどまっすぐな人。まるで炎のようなお人ですね。
「そだね。…………私は【百鬼夜行】がいるから人海戦術染みた事は出来る。………固まってはあれだから一旦別行動しよう。一緒にいて万が一一網打尽に出来る術を持つ鬼かも知れない。」
「鬼は徒党を組まないが【鬼舞辻】などの意思が介在したら別であるからか!複数の鬼かも知れぬしな。何があれば鎹鴉にて連絡しよう!」
「こちらも【百鬼夜行】にて連絡するよ。…よろしくね杏ちゃん」
「うむ!……ここの駅弁はオススメと甘露寺にきいてな。血霞殿も食べてみると良い。」
「そうするよ。お兄さん。三つください」
「毎度」と煉獄さんに勧められた牛鍋弁当を麟様、私、零余子さんの分を麟様が三つ受け取る。
零余子さんの人食い衝動と必要性が無くなりみ零余子さんは私達と違い生きたまま百鬼夜行にしているので普通に食事が必要らしい。
別行動で去って行く煉獄さんに軽く会釈しながら購入した駅弁を麟様から受け取る。
「………鬼殺隊も動いているんですね」
「…零余子~?…置いてくよ~どうしたの?…」
「知っているような匂いがして…」
「もしかして現【下弦】?…」
「でもあまり下弦同士で交流はありませんでしたから。基本的に。……会ったことあるのは【伍】の累と【壱】の厭夢くらいでしたから。まぁ、顔見知り程度ですけど」
「……まぁ【下弦】程度ならなんとかなるでしょう。面倒くさい【血鬼術】じゃない限り……だけど」
「麟様。運が悪いですから悪い方向悪い方向に行くんですからそんなこと言わないで下さい縁起の悪い」
「ひどっ!!…まぁ幸運値は低いけどさぁ…………この前占い見て貰ったんだけどね」
「甘露寺さんに見て貰っただけでしょうに。本格的なモノではないでしょ麟様」
全く流行に弱いんですから。と軽く嘆息する。
あれは…あの黄色い頭に猪頭は我妻さんに山の王ですか。ということは炭治郎様もいそうですね。あの二人ではストッパーがいない組み合わせです。
あ、見失いました。炭治郎様たちも任務でしょうか。煉獄さんと同じ任務なら煉獄さんに合流するでしょう。
「どしたの。お雪」
「いえなんでも」
微妙に過保護だから余計なことしそうなんでだまっときます。
「そう?…ならそろそろ出発だから乗るよ~?やっぱり凄いねぇ。人間は。こんな大きいモノを走らせるなんて。弱者を喰らうしか能の無い鬼とは違うよ~」
感嘆の声を上げながら汽車へと乗っていく麟様。べた褒めですね。
「まぁ江戸の頃からお供してますけど…こういった技術の進歩はまぁ確かに凄いですね」
「同意。山暮らしでしたから文明的ね…まぁいい経験ね。鬼ならこういった経験できないもの」
零余子さんも同意して3人並んで席につく。
「…………【八咫烏】」
『現状異常なしだ。どう仕掛けてくるか分からん気を抜くなよ姫』
「あいよ」
上空を飛び警戒する八咫烏と念話する麟様。
指定された日時の夜の時間帯となる。
乗客の命を賭けられた戦いが切って落とされる。
「その前に腹ごなし腹ごなし~」
台無しです。あ、確かに美味しそうな牛鍋弁当です。
▽▽▽▽▽▽▽▽▽
「…準備出来たかしら?【夢ノ色彩】」
「頃合いだね。【僕】も仕掛けに来るはずだ」
「紛らわしいわね。……【血霞】は来たかしら?」
「汽車へ乗り込んだのは確認済みさ。ただ」
「ただ何よ?」
「……………【柱】と3名の剣士も確認した」
「………それこそ【あんた】の出番でしょう?」
燕尾服を着た少年は薄ら笑みを浮かべる。
「そうだね鎖天川さん」
「ぬかるんじゃ無いわよ」
「もちろんだよ、夢ノ世界に沈めてあげるさ」
愉快そうに笑う【下弦の壱】厭夢の複製体【夢ノ色彩】