鬼喰の血刃   作:九咲

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夢幻ノ扒【漣ノ真紅無意識領域旅行(なにそれ聞いていない)

漣は【雨獄衆】として初めて塗り替えられた鬼であった。黒髪の三つ編みに女学生の格好をした地味目の女の、鬼。

 

鎖天川瑠偉は手足となる駒を欲していた。

 

鬼殺隊時代孤立無援状態に陥り死亡したことにより痛感していたからだ。自身のプライドの高さも重々承知していた。

 

だから自身を崇拝し忠誠を誓うような下僕を欲していた。

 

死にかけの鬼を選んだのは気紛れだったかそれとも直感めいたモノだったかもしれない。此奴はけして私を裏切らない忠実な僕になると。勿論枷的な契約を込みとして【雨獄衆】として雇用した。

 

 

驚いたことに【新月の灰色】から貰った権能は【鬼舞辻】の呪いをも外すモノだった。

鬼にとって【鬼舞辻】の呪いとは枷で有り縛りだ。

そういう連鎖であると理解して服従する縮図であった。

 

 

それから解放された事は夢心地だと漣は言う。足枷だと。ああ、此奴は私のために死ねると確信する。

 

ただ縛るモノが変わっただけというのに気付かず。

 

恐怖から崇拝にというくだらないものに変わっただけ。

 

あまりのくだらなさに失笑する。ああ、その盲信使い潰してあげるわ。

 

▽▽▽▽▽▽▽▽▽

 

 

【血霞麟】の無意識領域に侵入を果たした漣は【精神の核】を探す。

 

【夢ノ色彩】の【血鬼術】により夢へと侵入が可能となる。

 

場所は静かな邸宅だった。けして大きくはないが二人が暮らすには広い邸宅。

 

笑いあう黒髪の女性に【血霞麟】の少女時代と思われる真紅髪に真紅の瞳の少女。

 

かなりの深層の無意識領域と推察される。【夢ノ色彩】も元の【下弦ノ壱】も【鬼】の夢の中に入った事が無いため予想外の事象へ警戒するよう言われている。

 

人とは重ねた年月が違うため夢の厚みも違うのかもしれないと。

 

蛮勇とは言わざるを得ない。虎穴何たらよ。

 

漣は自身の忠誠を示すため真紅の【無意識領域】へと歩を進める。夢の住人に気付かれぬよう【精神の核】を探す。

 

いくら鬼とはいえ【精神の核】を破壊されては生きた屍となる筈だ。肉体の再生能力は【上弦】相当でも精神に対しても再生能力は働くのかは疑問であるし。基本鬼は我が強く【十二鬼月】程なら尚更。【新月】も同様だが核は核。精神の心の臓だ。

 

死に腐る筈よ。

 

 

歩を進めると場所が変わる。むせ返る血の臭い。

 

鬼ならばむせ返るはずもないのに嫌悪感を催す血臭。

 

【血霞麟】の【幸せな記憶】から暗転。

 

真紅の空間が其処にはあった。反射的に怖気が走る。我が身を抱き締める。

 

 

まるで血の海地獄。あらゆる真紅を塗りたくった空間。

 

地獄を彷彿させる血の地平。人気もなくただただ赤くただただ見渡すだけの赤い地平線。

 

【血霞麟】の本質を見た気がした。

 

【鬼】の為の地獄。そこはおぞましい寒気がした。鬼になってから希薄になっていた死への恐怖を再び想起させる。指の先は痺れ足は震え唇は色を失う。

 

 

「…………」

 

 

漣は【鬼喰らい】の【血姫】の噂を【雨獄衆】になる以前から聞いた事があった。

 

鬼を喰らう鬼。同族喰らい。【鬼喰(きじき)血刃(やいば)

 

 

我等の天敵。我等を喰らうだけの捕食者と。

 

 

少女の形をした化生がそこにいた。赤い装束を纏った赤い少女。無表情から一転。獲物を見つけたように薄く笑う。

 

少女の身の丈より長い赤い長刀が抜かれた。

 

あ、え、……なにそれ聞いていない。

 

夢の中で逆に殺されるなんて…!!?

 

 

一閃。それで私の意識は暗転した。

 

 

 

▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽

 

 

 

「…………【夢ノ色彩】」

 

「なんだい?」

 

夢縛りをする漣と眠る【血霞麟】を見守る瑠偉は椅子に座り楽しそうにする厭夢の複製体・燕尾服の鬼の少年に声を掛ける。

 

 

「……………こんなんで血霞の秘密なんて分かるのかしら」

 

「君が何を知りたいのかは知らないけど【夢】とは無意識の情報の塊だよ、まぁ、知りたい事柄がすぐ見付かるとは思えないけどね。……まぁ本来は眠らして殺すだけの【血鬼術】さ」

 

「……………つまらない力だわ」

 

「勘違いしないで欲しいね。それは僕の本体の話。僕の与えられた【領域展開(ちから)】はそれだけじゃあない。…………君は本気の彼女に勝ちたいんだろう?」

 

「……………【色】も持たない分際で生意気言うわね」

 

 

「【見えざる月】においての地位なんか興味ないだろう?お互い。僕は他者の絶望を啜るだけの鬼さ」

 

「ち、性格の悪い奴ね」

 

「それこそお互い様さ。性格の良い鬼など直ぐに淘汰される。他者を蹴落として喰らい強くなる。それが摂理さ」

 

意地の悪い笑みを浮かべる鬼に不快感を示しながら視線を逸らす。

 

そうだ、どうであれ私は【血霞麟】を叩き潰せればそれで良い。それ以外些事だ。

 

前方の車両からは、戦闘の気配を感じる。

 

こいつの本体の【下弦の壱】がこの汽車の同化し乗客を人質に柱を含む【鬼殺の剣士】4名、鬼一匹と戦闘をしていた。

 

存外苦戦しているよう。そうだ【柱】はそれだけの力を有している。まぁ手伝うつもりはない。

 

この8両編成の8両目に来るならば撃退ぐらいはするがな。7両目にて雨円と波浄が【血霞】の手駒と戦闘をしているようだしね。

 

 

「情けないなぁ仮にも僕の本体だろうに。」

 

この8両目は同化させていないのは【夢ノ色彩】の力。

 

【血霞麟】を殺すための棺桶となる。

 

「いつまでちんたらしているのよ、漣。お前は無能なのかしら?」

 

 

「ああ、瑠偉様申し訳ありません……あぁあああ!!」

 

眠っていたはずの、漣は瞳孔を見開き苦痛の表情を浮かべる。瑠偉へ謝罪の言葉と共に悲鳴を上げたと同時に頸が飛ぶ。

 

 

「……な、」

 

 

「…にぃ?…」 

 

夢縛りをしていたはずの漣の頸が飛んだのは流石に驚愕する二人は警戒をする。

 

瑠偉は水晶如き刀身をした日輪刀【刃泪】を抜き構える。【夢ノ色彩】は目を見開く肉塊を曝け出し麟へ向ける。

 

 

「………………」

 

麟の前へ血溜まりが現れる。血溜まりが形を成してくる。

 

地獄が、現へと顕現する。

 

血の化生が少女の形を成してくる。

 

「……」

 

物言わぬ地獄が、確かな存在感を放ち薄く嗤う。手には身の丈より長い赤い長刀。流麗な殺意が禍々しさを内包していづる。

 

「………………【血霞麟】…?」

 

顔立ちは【血霞麟】とは違う。幼げではあるが【血霞麟】とは違う系統の可愛らしい風貌だ。それでも【血霞麟】だと瑠偉の殺意は肯定する。

 

余計に怖気が走る。少女の形をした地獄を見せられたと言おう無しに肯定出来る。あれは我等を殺す為のモノだと。

 

禍々しい真紅の長刀を水平に構える。瑠偉は即座に反応する。

 

 

    涙の呼吸・拾ノ型【水屑鮫雨(みずくずさめざめ)】   

 

 

獰猛で鮫が如き連続した突きを繰り出す。雨のような突きを繰り出す。

 

 

    血の呼吸・肆ノ型【血刃】

 

飛来させる血液の斬撃が全ての突きを相殺させる。

 

 

「!!?」

 

少女の形をした地獄は薄く嗤い続ける。

 

 

「上等じゃない。あんたに負けるなんて気に食わない。ええ、気に食わないわ!!」

 

ギロリと水晶如き鬼眼で真紅の血獄を睨め付ける。

 

最上級の殺意を練り上げぶつける。

 

 

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