終始穏やかな人生になればなと思っていた。
鬼になってから【鬼舞辻無惨】との遭遇は最初のあれ以来なりを潜めていたし上弦どころか下弦すら見ない。
まぁ一時期【下弦】を殺し尽くしていたから是非もないのだけど。
【鬼殺隊】に属してから【鬼舞辻】と遭遇したのは私くらいらしい。…いやまぁ【鬼】の私は遭遇したのは当たり前っちゃ当たり前なのだが。
…1人の柱が殺された。
【傷柱】
私はあまり関わりはなかったのだが左近次曰く将来有望の若手ながら鬼狩り最多を誇る剣士だという。
私の領土のあの深い森内で殺されていたため発見者は私の【百鬼夜行】が壱【管狐】だった。斥候の役割をもつ【管狐】が発見し慌てて私に知らせてきた。最初は【柱】とは気付かなかったが奇妙な死体であったことが一因だった。
【色彩】がなかった。無垢なまでの白。
流れる血液さえも色がなかった。
「色が奪われているのか?」
「妙な【血鬼術】ですねぇ」
「喰ってないってことは食にそこまで頓着しない鬼かしらん。珍しいね。」
【上弦】すら喰らうのだが。鬼にとって食欲・飢餓感は逃れられない呪いだ。
まぁもしかしたら彼が嗜好外だった可能性もある。私も【鬼喰らい】も食の嗜好がある。見た目が麗しい上にかつ【血鬼術】持ちが美味しい傾向がある。
まぁ私の【血鬼術】に関係していたりするけれど。
色の奪われた死体。
下弦もしくは上弦相当の鬼。【柱】を殺したほどだ。
私の知っている上弦は壱【黒死牟】しか知らないし下弦は様変わりしてるだろう。
「とりあえず報告。ホウレンソウは大事。はっきりわかんだね」
「変な役職にいる麟様がいえることじゃないですよねぇ」
「変な役職とは失礼な。【柱】だぞぅ私」
「柱合会議にも出ない癖に」
お雪は鼻で笑う。他には人見知りするくせに。前には玉藻に泣かされた癖に私にはなんで辛辣かなぁ!!?デレツンか!!デレツンなのか!!?
「…………落ち着け姫様。」
おおぅ。どうした?【火車】
「色彩奪い。通称【色鬼】と呼ぶが……それらしき鬼を見たって情報があった」
【火車】と呼んだ燃える偉丈夫は低い声で言った。
「………誰?」
「【犬神】の憑いた鬼の1体だがな。まぁそいつも色を奪われてるが。異国の白い衣装を着た白い女らしい。」
「そんな奴鬼舞辻にいたかなぁ…まぁ【黒死牟】以外知らないからあてにはならないか」
「……そも鬼なのかしら?そいつ」
ふと、した疑問。
「【鬼】ぐらいしか思いつかんな姫。」
「そだね。まぁ【柱】を殺したんだ。【敵】なのは変わりはないだわね。」
大好きな【人間】に牙を剥いたのだ。敵には変わりはない。
「…麟様悪い顔してる…」
「食べたら美味しいかどうかしか考えてないかもな。」
人を食欲の塊に見るのはやめて頂きたい。グルメなのだよ私は!!まぁ見た目が麗しいの期待だけどね!!
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柱合会議
珍しく夜分に行われた。柱たちは産屋敷邸に招かれて集まっていた。
「…夜に集まるなど珍しいのではないか?」
鳴柱・桑島 慈悟郎が言い放つ。
「【血柱】殿が主賓らしい」
炎柱・煉獄轟寿郎が答える。
「存在したのね【血柱】は」
涙柱・鎖天川瑠偉は口を挟む。
「……」
水柱・鱗滝左近次は無言を貫く。
「……【傷柱】の彼はどうしたの?いつも先に来てるじゃない彼は」
天柱・
「彼の事が議題かな?彼の活躍には目を見張るものがあるしね」
やけに明るい口調の忍者風の男。
音柱・宇髄天竜はおちゃらけるように言う。
「彼は来ないよ。」
産屋敷宿哉はこの度夫婦となった灰髪の女性。
「お館様、此度はお招き頂きありがとうございます。」
煉獄を筆頭に深々と頭を下げる。
「皆、元気そうで何より。けれど悲しい知らせを私はしなければならない」
上座に座る宿哉は沈痛な面持ちをしている。
「裂傷が戦死してしまった。彼の死に私は深く心を痛めている。」
「「「「!!?」」」」
驚愕する一堂は困惑を露わにする。
「馬鹿な!!?彼を殺せる鬼がいるというのですか!!?」
「後れを取るとは不甲斐なし…!!」
「どこの鬼かしら?」
「落ち着け。若人共。お館様の前はした無いわよ。」
我ながら凜とした声だわ。
普段着ない隊服に鮮血のような真っ赤な羽織。
背中には【滅】ではなく【喰】の文字。
【血柱】血霞麟ちゃん爆誕。かわええやろ?
まぁ無表情だから私様のお茶目な心の声は通じないんだけどね。
「誰かしら?貴女は」
「…【血柱】だわよ。今日はお集まり頂きありがとうね。」
「………仕切ってんじゃあないわよ!!いつも柱合会議に参加してないクセに!しかも鬼じゃない!!なに鬼が柱って!!喧嘩売ってんの!!?」
がなりだつ【涙柱】目の下の涙マーク可愛いね?
「………刀を抜くとはお館様の御前。不敬だぞ?鎖天川。」
「…」
背後より涙柱の抜刀する手を止める煉獄くんと私の前に立つ左近次。
ふー行動がイケメンね?
「何?あんたら鬼の肩持つの?そっちこそ不敬じゃない。」
「瑠偉。座りなさい。彼女を【柱】に定めたのは先代だ。申し立てがあるなら代わって私が聞くよ」
「いえ、……申し訳ありません…」
「こうなるからあまり出たくないわけよ。宿哉ごめんね?」
「構わないよ麟。」
「おや、美人さん捕まえたじゃん。初めまして。」
「噂はかねがね聞いてます。ふふふ面白い人。」
宿哉の付き添う灰色の女性は薄く笑う。おやまぁわりかし友好的。
「…お、お館様を呼び捨て…」
【涙柱】からの熱視線にドキムネだわ。
まぁ、彼女からのは当たり前の反応よね。一目で鬼ばれするとは中々慧眼ね彼女。
「【血柱】さんよぅ。集めたからさっさと話してくんねぇか…【傷】の坊主が死んだ理由を知ってんのか?」
【鳴柱】の桑島くんが急かしてくる。
「……【色鬼】って聞いたことあるかしら?」
【色鬼】と聞き首を傾げる一同。ま、そうよね。
「まぁ私が付けた暫定的な呼称だけど。【色彩】を【奪う】鬼よ」
「色を奪うって何よそれ血鬼術?」
「異能の鬼か」
「それがどうかしたの?」
天ちゃんが可愛らしく首を傾げる。やっぱり可愛いは正義だわ。
「昨日未明に彼の死体が私の担当警戒区域で発見されたわ」
「あんたがやったんじゃないの?」
敵対視し過ぎじゃんよ瑠偉ちゃんよー。
「【色】を【奪われて】死んでたわ。私たちには出来ない芸当だわ。」
「…達…?」
黙殺。【百鬼夜行】は秘密なのよ。
「【色鬼】と名付けたそれ。皆のところに似た情報無いかしらん?【柱】を殺したんだ敵でしょう?」
「……【色彩奪い】ねぇ…」
考え込む天竜くん。
「………うちの警戒区域で1件あったな」
左近次が口を開く。
「………真っ白な死体。鬼の食い散らかしにしてはあれだがたまに芸術家気取りの鬼がいるからそれと断じて居た」
「あらま」
「大事になるとは思わず。申し訳ありません」
「構わないよ。左近次。」
「まぁ『異国の白い衣装を着た白い女』を見掛けたらよろしくね。皆。」
背伸びして立ち上がる。やっぱり柱合会議はいたたまれなくてあれだなぁ。やっぱりわざわざ私様出なくてもよかったかなぁ変に爆弾入れただけな気がする。
わりと親『血柱』な左近次や煉獄きゅんにあからさまな反『血柱』の鎖天川ちゃんが居るからなぁ。
和平は難しいなぁ。私はこんなにも『人間』が好きなのに。片思いつらたん。
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「ねぇ」
「殺気隠れてないよ鎖天川ちゃん?」
綺麗な黒い長髪にスレンダーな体型に泣き黒子みたいにある涙マーク。
【涙柱】鎖天川瑠偉は帯刀して私の帰り道を遮る。
「…そんなに鬼嫌い?」
「あったり前でしょう!!?害獣で害虫のあんたらなんて大っ嫌い!!!!死ねっ!!」
一定数、鬼殺隊には鬼に大事な人を殺された人間がなった剣士がいる。そう言った感情がつらくてキツい【鬼殺】を続け【柱】まで至るエネルギーになることも理解していた。
それが【鬼】である私にぶつかることも理解出来る。
「…人間と戦うつもりはないんだけど?鎖天川瑠偉」
「嘘つけ!!そうやって虎視眈々喰うタイミング見計らってるんでしょ!!」
涙の呼吸・参の型【涙葬送】
鋭い連続した突きが放たれる。
無刀・血の呼吸・零の型【血陽炎】
陽炎のように消えるような歩法で突きを全て躱す。
「ちぃ!!チョコマカと!!鬼の分際で呼吸なんか使うんじゃないわよ!!」
涙の呼吸・㯃の型【時雨月泪雨】!!
無刀・血の呼吸・弐拾壱の型【血雪崩】
鎖天川ちゃんの鋭すぎる居合いを血液の雪崩で受け流す。
「!!?」
「ごめんね。まともにやる気は無いぞぇ…私は人間が大好きだからね。私はけして傷付けない。喰らわない。」
「信じ…られるか!!」
「…【玉藻の前】」
「はいさ、何用でしょう?」
「【睡眠の呪】お願い」
「あいあいさ。今度イケメンの百鬼夜行作って下さいね!」
婚活かよ。
「【眠呪】朝までおやすみなさーい」
玉藻は軽めの呪いを彼女に振り掛ける。彼女は抗えず眠りに落ちる。
「貴女の人間好きは筋金入りですねぇ……足元いつか掬われますわよ。」
「人間の為に死ねるなら本望さね。」
「理解出来ませんわね。お姉様。」
異国の白い白い衣装を纏うの女がいた。顔の作りは日本人に見えるがどこか神秘的だった。
「だれだい。」
「貴女の言うところの【色彩奪い】の【色鬼】ですわ。」
薄く嗤う。
「幾重に隠された【産屋敷】邸に辿り着くなんて【鬼舞辻】すら至って無いんだけど?」
「ご安心を。私は貴女同様きゃつの【呪い】を外しております故」
「名乗れ。」
「【新月の純白】の【真白】ですわ。以後お見知りおきを。お姉様。」
今回の百鬼夜行。
【管狐】…群体型の百鬼夜行。担当警戒区域での斥候。見回りが仕事。思考は獣程度。
【火車】…燃える偉丈夫。気の良い男だがお雪避けられるのは悲しい。
オリジナル鬼
【新月の純白】真白…?????