無限列車8両目。暴走する無限列車の中。激戦が展開する各車両でも異質だった。ただ赤い。赤い空間と変質する車両内。
血獄の呼吸・壱ノ型【
朱が纒い、頸を狙う無慈悲な死神の鎌を思わせる一撃。
少女の姿ににつかわない容赦ない一撃に奥歯を噛み締めギリギリで躱す瑠偉はそのまま後転。
赤い少女はそのまま血液で骸骨兵を複数体作り出す。
死の恐怖はそのまま背後に纏わり付く。
「嗤わせるんじゃないわよ!!私はあんたを殺すために死の淵から鬼に堕ちてきたのよ!!訳の分からないまま再び死ねるかよ!!」両手で印を結び自身の在り方を拡張する。ただの怒りを外側へ向ける。それが私の領域展開。
領域展開【
自身の殺意をもって憎悪をもって領域展開と成す。
鎖天川瑠偉の一身は殺意と憎悪をもって構成される。
私の根幹はどうしようもない怒りだから。
私の記憶は淘汰し始める。怒りの涙を流している理由を。
『姉さん、……どうか赦さないで欲しい。』
赦さない。お前を殺した凡てを。弱くて強いお前を殺した報いを。
『ううん、僕の弱さをだよ姉さん』
理解できない断片の言葉。奪ったモノを何故赦しお前を赦さないのか理解できない。
私の憎悪は間違ってなんかいないのだから。
私の断片は薪となり篝火となる。水蒸気を撒き散らし雨となる。怒りの涙を。私の憤怒は雨のように叩きつける。叩き付けた雨は骸骨共を破砕させる。
【雨】の【領域展開型血鬼術】
上臥原天と同じ天候に影響を及ぼす血鬼術。
水の呼吸の派生である涙の呼吸の底上げは勿論。水に類する血鬼術を持つ【雨獄衆】の底上げにも繋がる。
それ以上に
涙の呼吸・玖ノ型奥義【雨太刀・死閃軍】
血獄の少女へ向け放たれた雨のような複数の水の刀を振り払う。殺意をもって殺意を練り上げ込めた一撃達。
血獄の呼吸・壱ノ型【血纒斬朱】
その一撃達をすり抜け私の腕を斬り捨てる血獄の少女はいつの間にか背後にいた。
「くそ…!!舐めやがって…!!お前はなんだ…!!?本当に【血霞麟】か!!?」
「………違うよ。私はただの【朱】。地獄の鬼の一体。【血霞麟】の力の源泉。まぁ欠片のようなモノ。そこの眠鬼の力で一時的に目覚めただけ。領域展開は心の在り方を外側へ拡張するもの。【核】に触れようとした奴がいたから防衛するため一時的に目覚めただけだよ。この子の領域展開あってこそだけど」
眠る【
「…今はその時では無いわよ雨の鬼。いや涙の鬼。気性にしては可愛い事ね。退きなさい。私に殺されては面白く無いでしょう?」
「…………そいつの味方なら殺しとくべきじゃないかしら?」
「それでは、つまらないもの。……………それでは私の地獄の糧にはならないから。私の【鬼喰】の赤い地獄にはね」
「………………お前いや真白を含めお前らは何なんだ?鬼喰らい共」
「…………………」
核心への質疑。鬼であって鬼でないもの。
「…さぁ?私達も【鬼】よ?ただ【鬼舞辻】のような紛い物とは違う。」
「私達は鬼に孕まされた人から生まれた存在よ」
「は…?」
けして交わることのない双方。人は鬼を愛せないし鬼は人を餌としか見ていない。
「…人を愛した
薄く嗤う血獄の少女は素敵でしょうと言い放つ。
気持ち悪い。さぶいぼがたつ。吐き気がする。吐瀉物を口に含んでしまったかのような気持ち悪さ。
嫌悪感。ありえない。ありえない。ありえてなるものか。
「有り得るわけ無いでしょうが!!」
「有り得るからこそ二極化した
「あんたらは…!!」
「血霞麟と神代真白は姉妹よ。…まぁ麟は知らないし真白は認めないでしょうけど」
人間好きと鬼至上主義者。真逆の2人。
「神代りん。…ただ2人の忌み子。」
「巫山戯るのも大概になさい!!」
涙の呼吸・壱拾壱ノ型【雨龍撃鉄流転ノ
雨が水の龍となり嵐が如く咆哮を上げる。ただ一つの殺意の嵐。激情の渦。
「鬼への激情なまでの怨嗟。分かるわ。人間として正しいもの。私は人としての貴女の激情は受け止めてあげる。けど【鬼】なら容赦はしないさね」
少女らしからぬ老獪さを含んだ妖艶な笑みを浮かべる。
彼女を纏う朱は形を変え展開する。
領域展開【血怪百鬼夜行】
【血獄ノ陣・八岐大蛇ノ図】
八つ首の大蛇へと展開する血の地獄。雨の龍を八つ首の顎が咥え取り込み咀嚼する。
「く、糞が…!!」
悍ましさと怒りとの様々な感情で呼吸は乱れる。
「私は何のために【鬼】まで堕ちた!!力だ!!力が欲しい!!新たな力を得たら訳の分からないものが阻むんだ!!!!」
【強制覚醒】
「落ち着きな。鎖天川さん。これが【血霞麟】の夢からこぼれ落ちたものなら強制覚醒させるよ。」
「【夢ノ色彩】…!!」
燕尾服の鬼の少年の手の平には【覚】と【醒】と刻まれた眼が見開く。
「僕の【領域展開】を展開する。後は引き継ぐよ。…元よりこれは僕の略奪だ。君は僕のそれに相乗りしただけ。引きなよ。……僕はイリスの為に【血霞麟】の朱を奪う。それがお嬢様の命令」
【血霞麟】への【催眠】の【血鬼術】をとく。
「…ちっ…!!」
血霞麟の覚醒により【血獄ノ鬼】の意識は薄れ赤い空間は紐解け始める。
「……残念だわ。私の意識が表立つ事なんてけしてないことなのに。けど私はこの子。この子は私…貴女の憎悪は受け止めてあげる。鬼は全て喰らい尽くしてあげるから」
「殺してやる!お前が誰であろうと私はお前を殺してやる!!!引き裂いてばらばらにして殺してやる!!!」
「気持ちいい程の殺意ね。」
ニヤリと笑いながらにして霧散する。
赤い空間は元々無かったように元の車両へと戻る。
「………休むわ」
「ゆっくり休むがいいよ。………僕は他の者が苦しむ様が好きだ。……苦悩して突き進む者が苦しむ様も好きだよ」
「悪趣味ね、ろくな死に方しないわよ」
「………作られた僕達に安息の未来は無い。
だからこそと大仰に指揮者の如く腕を広げる【夢ノ色彩】
「悪辣に、この刹那を愉しまねば損だよ。」
「……鬼め」
吐き捨てるように水となり消える。雨が止む。
「そうだよ。【人間】を捨てられないのかなぁ?」
血の呼吸・肆ノ型【血刃】
放たれた血の刃を躱す【夢ノ色彩】振り向くと血霞麟が覚醒し赤い刀を構えている。
「…不覚眠らせてしまうなんて。お雪達に迷惑かけた…お前が手紙の主かな?」
「正解。血霞麟。君の色を奪いに来たんだけど中に化け物を飼っているとは聞いてないね?まぁ君の本性か」
「何の話?」
「…いいさ僕は君が何者であろうとも興味は無い。人間好きの君の苦渋を見せておくれ。…この無限列車乗客全ては君への人質だ。あちらで【鬼殺の剣士】を相手にしている【
領域展開【夢獄夢幻列車ノ悪夢ノ跡】
悪夢が力となる。夢は反転し害を成す。
夢の領域が展開される。悪夢へと誘う眼が大量に周囲に開眼する。
もう一つの【無限列車】が【無限列車】に並走している。
「さぁ、苦渋に歪み屈服しなよ【見えざる月】にね」
「…冗談!!」
【血腕創成】右手を作り出し両手で【神血】を構える。
血霞麟対【夢ノ色彩】の悪夢の死闘の幕が上がった。