鬼喰の血刃   作:九咲

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夢幻ノ壱拾参【狂信者・白銀川鞠衣】

白銀川鞠衣。

 

産屋敷家先々代の奥方。白銀川灰羅の孫。

 

それ以外の経歴は不明。灰羅以外の白銀川家は鬼殺隊とゆかりは無い。先々代の嫡子の末娘は凡庸に生きそして天寿を全うしている。

 

五年前の最終選別にて突破者ただ一人この白銀川鞠衣のみであった。藤襲山の鬼を殲滅。あの手鬼とは遭遇してはいないようだったが遭遇したとしても問題なく鬼殺出来ているであろう。

 

最終選別で既に上級の剣士の実力を有していた。

 

雷の呼吸・炎の呼吸・水の呼吸を使用した特異性が当時は話題になった。

 

次期【柱】と称されていた。

 

しかし、鬼殺の剣士になってからは【甲】となりそれなりの活躍をして凡庸に生きていた。

 

違和感。特異性を有していながら柱にもならずそれなりに生きているのか。

 

 

「……君か」

 

「随分手こずっているようだけど。」

 

 

暴走した【夢幻列車】の運転室にて銀髪の女剣士がいた。

 

【新月の純白】の子飼いの人間。この【見えざる月】の唯一の人間。

 

「………………五月蝿いな」

 

「自身の脆弱さで八つ当たりはやめてくれる?それで【真紅】は手に入りそう?イリスの色彩に【真紅】は必要不可欠なのだけど」

 

「人間風情が」

 

「別に私に当たったからお嬢様に反旗を翻したとかは言わないけれど。私のが強いわよ?お嬢様以外の誰よりも」

 

「……っ」

 

「人間嫌いのお嬢様に私が傍におかせて頂けてる意味を考える事ね。私は剣士として【日】の域にいる。」

 

浮き上がる半身を覆う痣。痣者。

 

「……下弦の複製如きがお嬢様の手を煩わせるなよお嬢様の命には必ず応えなさい」

 

「……分かっている。…………必ず色を持ってくる。」

 

「それでいい。」

 

「わざわざ言いに来るとは暇な事だね……」

 

「挑発?まぁ良いけど私には私の用事があるのよ……全てはお嬢様のためにね。……これを使いなさい。」

 

地面に色彩の入った注射器を置き銀髪の女剣士は琴の音と共に消える。

 

「やってやるさ。僕の愉悦のために最後までね……使い捨てには使い捨ての矜恃があるからね」

 

注射器を拾い澱んだ笑みを浮かべる。

▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽

 

 

「俺の名は桐夜(きりや)白兎(しろう)。……鬼殺隊・甲の剣士だ。」

 

赤髪の隊服をきた青年はそう言う。

 

「ここに居るのは任務?」

 

「いや……私情だ。妹が鬼に囚われている」

 

「妹さんも【鬼殺の剣士】?」

 

「いや……病床に伏せて居るので自分の住み家で休んでいたのを狙われた」

 

「……そう」

 

「貴女は……?」

 

「自己紹介がまだだったわね。……【血霞麟】【柱】の一人よ」

 

「【柱】……!」

 

「【柱】が三人も居るんだし安心しなよ。狐面の彼も」

 

「錆兎さんは存じ上げています。既知ですから」

 

「白兎。お前がいるとはどうした?お前程の剣士が遅れを取るとは、」

 

「買い被らないでくださいよ。俺は凡才だ。妹すら守れない」

 

「…………白梅ちゃん、捕まったの?」

 

「さっきの子かな……」

 

「知ってるんですか!!」

 

「……この空間の主の鬼が捕らえているなら。…………まだ、無事なはずギリギリのラインだけど。君と同じ赤髪?」

 

「はい。……」

 

「ついてくる?といっても……この血鬼術の領域に君を残すわけには行かないけれど一応聞いとく。桐夜くん」

 

「はい、ついて行かせて下さい。血霞さん」

 

「ん、物量戦になりそうだから……君にも戦ってもらうよ」

 

再び抜刀。

 

     【遅咲き紅蓮華】

 

再び沸いてきた悪夢の権化の鬼共を再び切り伏せる。置いていた遅咲き紅蓮の華が如き斬撃が咲き乱れる。

 

 

 

    【水車】!!【雫波紋突き】!!

 

 

錆兎と真菰も即座に行動し抜刀。技を繰り出す。

 

桐夜白兎も、抜刀。鉄色の無骨な日輪刀。

 

 

     鉄の呼吸・壱ノ型【黒金・斬鐵】

 

▽▽▽▽

 

 

床に無様に死にかけている桐夜白梅は兄・白兎へ罪悪感を抱いている。

 

痩せこけた自分。兄と同じ赤髪は栄養が足らずつやが無い。満足に歩く事も出来ずいつも兄の足手纏いになっていた。

  

結核を患った私は足手纏いだ。あの時死ぬべきなのは私なんだ。兄の仇討ちにすら足手纏いになっていた。

 

桐夜家は鍛冶屋の一族だった。

 

日輪刀を打つ鍛冶屋でも、異質だったと思う。自身も鬼殺の剣士として戦場に立っていた父は尊敬していた。

 

だからこそ、危険と隣り合わせだったことも重々承知していた。

 

私は治療のため母方の実家で療養していた。結核は不治の病として当時は絶望的なものであった。

 

私は緩やかな死を覚悟していた。兄は私が寂しくはないよう見舞いによく来てくれた。うつってはいけないと口では言っていたけれど嬉しかった。

 

末期を迎えていた私は突然の訃報に愕然とした。先に両親の訃報を先に聞く等想像だに出来なかった。生き残った兄の顔を見た途端私は私が死ねばよかったのにとただ思った。鬼に我が家を襲撃されたという。

 

兄は鬼殺の剣士となった。けれど変わらず見舞いに来てくれる兄に私は嗜める術はない。結核の私に顔を出してくれていることを嬉しく思いながら来て欲しくは無かった。

 

母方の実家の自分からしたら祖父祖母だった二人も私への甲斐甲斐しい世話に無理がたたり末期の私より先に死んでしまった。

 

「白梅、兄ちゃんと二人だ。大丈夫兄ちゃんがついているから」

 

「どうか、捨て置いて下さい。私は死にますから。兄ちゃんの足を……引っ張って生き長らえたくはないのです」

 

 

「…………俺はもう、失いたくないんだ」

 

 

兄の初めて見た弱った顔に言葉を窮した。でも私はもう長くはない。

 

どうか、私を殺して下さい。体の苦しみと心の苦しみとから解放してください。兄を解放するためにはもうそれしか。

 

 

▽▽▽▽▽▽

 

 

悪夢の激しさはより一層深まっていく。

 

様々な悪夢が実体化し私達へ襲い掛かる。

 

針地獄。水責め。磔。火刑。あらゆる拷問、処刑方法が悪夢の形となり私達を責め立てる。

 

薙ぎ払う。

 

 

血の呼吸を持って薙ぎ払う。水の呼吸の派生である血の呼吸は多様性にこそ真価を発揮する。

 

桐夜白兎の手前【血鬼術】を使うわけには行かず犬神とは別行動を取っていた。

 

「流石柱ですね」

 

「一応現【柱】では古株だからね」

 

「悲鳴嶼さんより上なんですねお若く見えるのに」

 

「……ありがと」

 

100歳超えてますからねはい。

 

 

「麟さんお婆ちゃんだものね」

クスクス笑う真菰になんだと~とじゃれつく。

 

 

「緊張感を……」軽く嘆息する錆兎。

 

まぁ確かにわらわらと沸いてくる悪夢の鬼の軍勢にそれどころじゃない。

 

最悪なのはこの夢幻列車から炭治郎達が居る無限列車へとこの悪夢が移動してしまうこと。多分領域展開内だけの実体化だとは思うけど。

 

 

しかしこのあやふやな空間も問題だよね。……感覚を狂わしてさらに車両移動は恐らくランダムに移動している。ここはさっき印を付けた4両目。しかも無限列車と一緒の8両編成とは限らない。

 

 

「麟さん!!」

 

錆兎の呼びかけにはっとする。私と真菰。錆兎と桐夜くんの間を分断される。見えない壁だ。

 

切り離される。くそ、もっと警戒しとくべきだった。ここは【夢が溢れ出した領域】だ。なんでもありだ!!

 

「錆兎、桐夜くん!!」

 

「麟さん、だめ!!」

 

真菰が私の羽織を引っ張って後ろへ飛ぶ。完全に空間が分断され二人の姿が見えなくなる。

 

 

「しまった。戦力を分散してしまった」

 

「…………信じよ?麟さん。錆兎も【柱】だもん」

 

「そだね。……先に……あれを殺せばいい話だ。」

 

 

 

 

血の呼吸・玖ノ型奥義【紅蓮ノ顎】

 

 

▽▽▽▽▽▽▽▽▽

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