浸域纏開【血纏装束】を纏った際にのみ使用できる【死】ノ型の剣技。
追撃の【絶対必中】。対象を狙い続ける刺突の技。
それは視認する必要はなく一度対象の気配を確認しているならば攻撃を加えるまで追い続ける。追撃ノ刺突。
先の沼の色彩の鬼を討った技。それを使用し【夢ノ色彩】の居場所を特定したのだった。
「…………遅かったね、錆兎ごめん」
「……こちらこそすいません。俺がいながらにして……」
「ううん、こんな雑魚に手こずった私の腑抜け具合にいやにはなる【鵺】」
「了解や」
様々な獣を繋ぎ合わせた【血怪】が【夢ノ色彩】の背後に立ち【夢ノ色彩】に雷撃を喰らわす。
「ぎゃび!!」
「……手応えが、ねぇわ姫。既に実体ではねぇわ」
「想定内。【血怪百鬼夜行・雷鳴轟ノ陣】」
私の周りがばちばちと雷鳴が響き渡る。深紅の雷撃を乱発する。
「【血ノ雷鳴】【血ノ主命雷】【血ノ雷撃装】」
連続した雷撃、雷鳴、雷ノ槍を乱発する。靄の空間が瓦解し車両へ場所を戻す。
血の呼吸・肆ノ型崩し【狂い咲き紅蓮華】
血の呼吸・肆ノ型崩し【早咲き紅蓮華】
血の呼吸・肆ノ型崩し【遅咲き紅蓮華】
雷鳴と合わせた咲き乱れる紅蓮の花が如き斬撃を放つ。
左右上下から発現しようとした【悪夢】の弾を顕現する前に斬り潰す。
錆兎。後についてきた真菰。そして血塗れで伏せる桐夜白兎を避けながら斬り捨てる精密な剣技。
「………………もう種は割れてるんだ。あまり私を舐めるなよ?小僧。」
ここにいる全員の背筋が凍るほどの殺気。血霞麟の本領。本性。
【色彩ノ鬼】である【夢ノ色彩】は怖気が走る。
けれど【夢ノ色彩】はそれと同等かそれ以上の悪意を知っている。
自身の創造主。神代真白を。白い鬼を。
あれに意味を意義を奪われるのは末恐ろしい。このまま血霞麟に殺されるのがましなくらいに。
「五月蝿いなぁ。血霞。それくらいで勝ったつもりなんて甚だおかしいよ。僕はあの神代真白の創作物だ。これで終わるわけ無いだろう?」
「…………終わらしてやるよ」
「こっちにも奥の手があるんだよ、諸刃だけどね!!」
白銀川鞠衣に、渡された注射器を自身の首に打ち込む。
▽▽▽▽▽▽▽▽
目の前が、霞む。死ぬのか俺は惨めで蒙昧だ。
あまりにも惨めだ。白梅の顔を見ずに死ぬのか。
俺の人生はなんだったんだろう。
妹も救えず妹は死を望む有様。家族の仇を討つことも出来ずこの様は無いだろう。
足掻かず慎ましく、妹の世話をして看取れればよかったのだろうか。身の程、身の丈を知ればよかったのだろうか。
凡人には凡人の矜恃はある。どんな不様でもどんな醜くても……俺は……あまりにも選択を間違っている。
「いや……だ……」
「このまま……終わるなんて……嫌だ。」
「力を下さい」
誰か力を。
▽▽▽▽▽▽▽▽
「使うか。そうそれが正しい。……お前はお嬢様の役に立つにはそうするのが正しい。見せてくれ。【色ノ麻薬】の効果の程を。窮極の鬼【イリス】へ至れるか」
白銀川鞠衣は夢幻列車の車掌室にて嗤う。銀髪の剣士はただ嗤う。
「………………この戦いの幕引きを」
▽▽▽▽▽▽
「……はっはははははは!!はっはははははは!!!この高揚感!!はっはははははは!!!!」
狂ったように嗤う【夢ノ色彩】、その姿は変容していく。
より、硬く強く激しい色彩を纏う。個体としてより強靱に。今や下弦の複製体として遙かに超越している。白い鎧のような強靱な鱗を纏った威容と化している。
単純に上弦すらをも超えようとする意図すら感じる注射器のそれ。
「ははは!!いいねぇ!!最初から使っとくんだった!!」
このあらゆるものを超越した高揚感、万能感。あの小生意気な銀髪の剣士すら陵辱しねじ伏せれる。色彩の座位を頂ける。
血の呼吸・肆ノ型【血刃】
飛来する血の刃を進化した【夢ノ色彩】は弾く。ちぃ。
「……ははは!!君の力もいまや僕には効かない!!」
「……調子乗るなよ、」
衝撃。私の下腹部が無情になにかに貫かれていた。
「「麟さん!!」」
錆兎と真菰が叫ぶ。
貫いていたのは肉塊の触手。この夢幻列車の一部。くそ、注意力散漫かよ。膝をつく。
「ははは!いまや僕は君の同格かそれ以上だ。」
単純な膂力増強。単純な強靱な肉体増強。この鬼に足りなかったものを補っているようだった。
「………………【領域展開】!!」
【烏天狗】【犬神】【火車】、我が百鬼夜行の中でもとりわけ力自慢の三人を展開する。
「姫、我らが足止めしてるから回復に専念しろ」
「【烏天狗】の叔父貴、足止めどころか討ち取ってやるぞ」
「お雪と零余子二人も頑張っているんだ、俺達も頑張って行かねば」
「無理するなよ。おそらく無理な強化のはず。頼むよ三人とも」
3人はもはや元の【下弦の壱】とも判別出来ない白い鎧のような強靱な鱗を纏った鬼となっていた【夢ノ色彩】の前に立ちはだかる。
「はっはははははは!はっはははははは!アリンコみたいなものだよ!!君たちなんて相手にならないよ!!」
湧き出る力に高揚感からか調子づく【夢ノ色彩】、華奢な元々の姿はなく3メートルは超える巨躯となり立ちはだかる。
「分相応の力に酔い振り回される小物にしか見えないがな」
「……口だけならなんとでも言えるのさ!!主共々死ぬが良いさ!!」
風の拳を放つ【烏天狗】の間合いに入り踏みつける悪夢の鬼。襲いかかる二体の【犬神】と【火車】を背中から生えた2本の強靱な腕が二人を吹き飛ばす。
水の呼吸・壱ノ型
「「水面斬り!!」」
錆兎と真菰が悪夢の鬼の左右から頸を切り落とそうとするが強靱な鱗に覆われた頸はやいばを通さなかった。
二人は弾かれさらに生えた腕に叩きつけられる。
「錆兎!!真菰!!退きなさい!!」
「俺達だけ見てられるか……!!」
「鬼殺隊だもん……!!」
「……あははは!!訳分からないなぁ!!!まぁいいやどうせ君たちは死ぬんだ!!」
▽▽▽▽▽▽
「…………ちぃ」
貫かれていた傷は一向に回復しない。色を奪う。かつて右腕を奪われた時と似ていた。
小娘の色彩奪いとは違い侵食はしない。それでも、傷は傷のまま。色を奪う。
「…………けふっ」
吐血する。鬼は回復する。だから多少の傷には頓着しない。ある意味慢心だった。
「…………けど、このままじゃいけないよね」
血怪達は錆兎と真菰を庇い立てしながら戦っている。
上弦すらをも超えようとする強靱な鋼のような巨躯を持った鬼は圧倒してくる。
あんな、化け物を量産でもしようとしているのか小娘は。
あれの美的センスからは満足できないだろうからおそらく試作。
「……回復しないなら動かないと……」
「麟様!!」「大丈夫ですか……!!」
「お雪、零余子……やっほぅ」
雪のような少女と小柄な鬼娘はようやく合流する。
「……どういう状況ですか」
「あれ……厭夢と同じ気配なんですけど……」
「……あれは【下弦の壱】の複製体。何やら投与してあの化け物に変わった」
「はい?」
零余子は訳が分からないと目をパチパチさせる。可愛いかよ。
「……さてね、…………私も行かなきゃ……」
再び右腕を血液で作り出し【神血】を握る。立ち上がる。
「麟様……この方……」
私の足を掴む桐夜白兎が死に体で有りながらこちらを幽鬼のような眼差しを此方を見ていた。
「……戦う……力を……下さい……俺は……俺は……白梅を……」
「…………私は見ての通り、鬼だよ。桐夜白兎。その私に頼んでる意味を……分かってる?」
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力が湧いてくる。これは周りの悪夢を力へと増強している僕の色彩の力だ。
周りの人間を。ああ、核にしていた白梅とかいうメスの悪夢はやはり強い。それほど絶望、失望がありそれに裏返って渇望も強い。生きたいけど生きれないという裏表の絶望。ああ、なんて蜜のように甘い悪夢なんだ。死体になっても残留するほどの悪夢なんてそうはない!!
足掻くなよ!!血霞の配下!!鬼殺隊!!
僕は君たちを殺してあの境地に至る!!色の位を持つ鬼共の地位に!!
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「このまま、…………俺は……死にます……けれどそれじゃ…………あまりにも……」
俺は血のような彼女を見上げる。冷たい雰囲気を持ちながら優しい感じはした。
額の小さな角に犬歯。猫のように縦長の瞳。
鬼だ。俺の人生をめちゃくちゃにした鬼と同じ鬼。
彼女がなぜ鬼殺隊にいるのだろう。
日輪刀を振るい鬼共と対峙しているのかは知らない。
初対面の俺には関係はない。
だけど彼女に、恨みを抱くつもりはない。ぐつぐつと煮えたぎるような悔恨だけが死に体の体を突き動かす。
「…………力を下さい」
弱い自分だけが嫌いだった。
「白梅を……奪い返せるだけの力を……」
血鬼術【百鬼創生・禍ツ華】
血液が桐夜白兎を包み込む。存在を書き換える血鬼術。
血液の情報を書き換え自身の存在に近付け【百鬼夜行】として同一にする。
血霞麟として桐夜白兎を一部にする。力を与える。
人でも鬼でもない
「…………ごめんね。人間。私にはこうするしか出来ないよ」
咆哮。血液から現れるのは鉄を繋ぎ合わせた巨人。
咆哮。ただただ殺意で鉄を繋ぎ合わせた巨獣。
咆哮。桐夜白兎だった鉄の人外は体を完全に血を纏う鉄の塊になる。
咆哮。鉄の塊は歪な巨大な人型として再誕する。