鬼喰の血刃   作:九咲

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雨獄ノ伍【ずれ始めた世界は雨を呪う】

水の呼吸・肆ノ型【打ち潮】!

 

花の呼吸・弐ノ型【御影梅】!

 

 

血鬼術【咆哮弾・疎撃ち】!

 

 

水と花の術理の連携は初めてとは思えない程噛み合っていた。炭治郎の性根かカナヲの性格かは分からないが上手く作用して連携は上手く鬼の攻撃を凌いでいた。

 

カナヲを中心とした円状の斬撃に炭治郎は打ち潮を放つ。

 

だが獣のような俊敏さや膂力を持つ鬼を捉える事が出来なかった。

 

 

炭治郎の鼻とカナヲの目をもってしても捉えられてなかった。同じような野性を持つ伊之助ならば捉えられたかもしれないがこの場にはいない。

 

雨を降り続け隊服が濡れ動きが多少鈍くなっているのも一因かもしれない。また雨で匂いは掻き消え視界も悪かった。

 

咆哮が弾となる衝撃波も厄介で距離を詰めれず持久戦に持ち込まれてる。

 

いや、獣の狩りのように隙を見せれば即座に喉元を掻き切られるだろう。

 

    【咆哮弾・疎撃ち】!

 

獣の鬼は再び咆哮。その咆哮が疎らな衝撃波となり2人を襲う。聞くに堪えない罵倒と共に発生する衝撃波に二人は顔を顰める。

 

    【流流舞い】!!

 

疎らな衝撃波の間に水流のような流れるような動きで炭治郎は悪環境の中進む。

 

鬼殺の剣士は不利な状況に慣れている。鬼の有利な夜に戦うのは常だ。

 

    【ねじれ渦】!!

 

呼吸の連携技を使いねじれ渦のような回転斬りを放つ。微かに見えた【隙の糸】を狙う。

 

微かにぴんと張る【隙の糸】を断ち切る。

 

「てめぇ!!柱じゃねぇくせに!!」

 

横薙ぎに両断する。獣の俊敏さ故か頸ではなく胴体を両断する。

 

「炭治郎!」

 

「わかってる!!」

 

 

直ぐさま再び頸を狙う為に日輪刀を構え直す。視線の先には二体(・・)の獣の鬼。

 

      【咆哮弾・乱打ち】!!

 

 

「!!?」

 

両断したはずの上下が二体の獣へと分裂した。乱れ打ちされた衝撃波をまともに喰らってしまう。

 

「…………!」

 

「…………駄目だ!禰豆子……!」

 

吹き飛ばされた炭治郎の制止を聞かず背負った木箱から禰豆子は跳躍。かかと落としを分裂した獣鬼の一体に叩きつける。

 

 

「……鬼!だと……!!?」

 

「ああ!!てめぇが鬼を連れた花札の耳飾りの剣士かぁ!!?ひゃは!ちょうど良い!!!!てめぇを手土産に【十二鬼月】になってやる!!」

 

叩きつけられた鬼も直ぐさま立ち上がる。獲物を見付けたような歓喜の声を上げる。

 

3体、4体と増える四足獣の鬼はニタァァァと笑う。

 

「…………カナヲ、撤退しよう。麟さん達と合流しよう」

 

「う、うん……そうだね……」

 

「…………ん!!」

 

      血鬼術【爆血】!!

 

血液が爆ぜ爆撃するがこの雨の中十二分威力が出ない。

 

「むー!!」

 

禰豆子がむくれるが2人を掴み後退するため駆ける!!鬼の膂力を持って【鬼ごっこ】が始まる。

 

 

▽▽▽▽▽▽▽▽

 

 

桐夜白兎視点。

 

 

【九十九神】の血怪にて鬼殺の剣士の青年は幽鬼のようなただ住まいのまま進む。

 

白兎は【血柱】の継子という形でまだ鬼殺隊に籍を置いていた。自身の弱さを知ってなお血霞麟さんに力を与えられ鬼の殲滅を願う。もう安息を願う資格すら無いと自責する。

 

【血柱】から離れる事が出来ないので当然この大規模任務に駆り出される。【血怪百鬼夜行】の一員として。

 

「白兎」

 

「零余子」

 

「零余子さん、私の方が先輩なんだからね!」

呼び捨てが気に食わないのか威嚇してくる。

 

「……元鬼のくせに」

 

「麟様も鬼なんだから関係無いでしょうが」

 

「姫は人食いはしてないと聞くがな」

 

「いがみ合ってもしゃあないでしょうが。なんでこの組み合わせにしたかなぁ!!」

 

「…………さぁな」

 

姫の仲良くしなさいというお節介な気もするけど。

 

 

二人は歩を進め雨の中裏路地へと進む。

 

 

「………酷い鬼の残滓だ」

 

「……根城だったのかな」

 

地下へと進む入り口を見付ける。古ぼけた壊れかけの階段。酷い臭いもする。俺と零余子は顔を顰める。

 

「……誰も近づかない場所のようだな。下調べした【隠】のひとによると曰く付きの場所のようだ」

 

「曰く付き?」

 

「【神隠し】……【人攫い】にあうとな」

 

「……この街の鬼の餌場かな。でも【十二鬼月】ではないと思う。少なくとも下弦は」

 

「虎穴入らずば虎児を得ずってな。……行くぞ零余子」

 

「零余子さんだってば!」

 

階段をおりはじめる。

 

 

▽▽▽▽

 

 

 

【雨の東京】とある高台。

 

この雨の元凶。【新月の無色】は雨の降る帝都を見渡せる高台に来ていた。

 

「…………来たわね、【鬼殺隊】」

 

「き、鬼殺隊だと……!!」

 

「なに、怖いわけ?鬼殺隊が?」

 

「…………【血霞麟】が来たらどうする?鬼喰らいの鬼……」

 

「来るわね、確実に」

 

獅子の鬼【獅子鐘】は顔を顰める。

 

「私は【血霞】を殺したいのよ。今更降りれないわよ。獅子鐘。」

 

「……てめぇ……」

 

「逃がさないわよ獅子鐘。降りたってこの帝都を鬼の巣窟にするのだから。」

 

「私の私の為の私による軍勢とするのよ。私の百鬼夜行を作り出すわ。血霞にも真白にも負けないね。役に立つなら【十二鬼月】にだって引けを取らない地位を与えるわよ?まぁ強くならないとだけど」

 

「……本気か?」

 

「基本鬼は群れない烏合の衆だから狩られるのよ。此処の鬼は多少なりとも統率力があるわ。知恵があるわ小狡いけどね。」

 

「……俺の【血鬼術】だ。俺より弱い鬼を統率出来る。」

 

「名前の通り【獅子】ね面白い。」

 

 

「……使い潰してあげるわ。【無色】の特性、お前で試してあげる感謝しろ。」

 

 

      血鬼術【無色再誕・雨檻】

 

雨の楔を獅子鐘に打ちつける。

 

「て、てめぇ…………!」

 

「ああ、死にはしないわ。生まれ変わり書き換わるだけ。より強く。でも、初めてだから成功は保障しないけど」

 

亀裂のような笑み。あの白い鬼と同じような笑みを浮かべる自覚は今はない。

 

「…………」

 

私の怒りは私の。今は何もかもが憎い。

 

だが血霞麟、あんたが一番憎い。

 

 

「ここ東京を私の地獄【雨獄】、【幽世(かくりよ)】へと堕とす。【幽世】の力を持ってお前を殺す」

 

東京を見下ろし呟く。

 

 

▽▽▽▽

 

 

東京都、外れの小屋。【上弦の陸】宵鷺逢魔と遭遇から一旦ここに身を寄せていた。私は周囲を警戒しカナエは隅に座り込んでいた。

 

 

「………………炭治郎達と合流しないとねぇ」

 

「カナヲも心配だわ」

 

「【犬神】と【八咫烏】を放ったからすぐ見つかるよ」

 

「そっか」

 

「麟さん……」

 

「んー?」

 

「……麟さんって鬼なのになんで人間が好きなの?……」

 

「……変かな」

 

「うん、麟さんくらいだもの。…………私もしのぶがいなくなる前は鬼も元人間で助けたいなって気持ちは有ったけど……なんで?」

 

「好きに理由はないよ。それが私の存在理由。私は私として鬼になってからそう生きてきたしね。鬼になる前の記憶はなかったからそう思ってた………………好きになった理由は思い出した」

 

「理由……?」カナエは首を傾げる。

 

「孤児だった私を拾ってくれた姉の話。聞いてくれる?」

 

優しく不器用でお節介で……鬼を恨んでいた姉の話。

 

 

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