祝わなければ!!
今日、響の様子がおかしかった。ううん。今日だけじゃない。昨日からずっとおかしかった。昨日の響はまるで私を避けるかのように家に早く帰って私が響の家に行っても響は喧嘩腰で
「来んなよ!帰れ!!」
と、言われた。
昨日のデートも無視されてあんな風に追い返された私はすっごくショックだった。今日は私、小日向 未来の誕生日なのに響は祝ってくれないと思うと私は悲しくて仕方なかった。でももしかしたら仕方ないかもしれない。私は響を裏切っている。響も本当は心の奥底では私を許していないのかもしれない。私みたいな裏切り者を響は祝いたくないのかもしれない。今日のリディアンから響の姿を見たけど響は私に目もくれず走って行った。響を誕生日会に招待できなかった。
だけど今日の夕方オルフェノクが暴れていることを知った私達は急いで現場に向かった。私の誕生日なのに響から距離を取られてオルフェノクに台無しにされかけた状況で私は何かがキレた。
結果、私はトリカブトオルフェノクを焼き尽くして灰になった後も焼き尽くしてやった。これを見ていたクリスとセレナちゃんと切歌ちゃんと調ちゃんは
「なぁ、クソ女。あたし達ってもしかしてとんでもないことに首突っ込んじまったか?」
「言うなアホ女。今ウチもすっげぇ後悔してるから」
「「未来先輩も怒らせてはいけないタイプ(デス)」」
と言っていたけど私は気にしなかった。そして響が来ないまま誕生日会が始まった。調ちゃんが作ってくれたご飯はとてもおいしかった。でもたまにゲテモノ料理が入ってるのはやめてほしかったかも。弓美ちゃんが涙目になって悲鳴をあげたのは可哀想だった。みんなでゲームをして遊んでる時クリスが何回か自爆してゲームオーバーになった時セレナちゃんが煽って殴り合いの喧嘩をしたりトランプでババ抜きをしている時に切歌ちゃんが何度も負けて何度も罰ゲームをして涙目になってたから私が切歌ちゃんが負ける理由を教えてあげたりした。
私は少しベランダに出て外の空気を吸ってる時。頭の中にあるのは響だった。みんなに失礼かもしれないけど私はやっぱり響がいないと楽しく感じなかった。夜中まで続いたパーティーが終わると私はベッドに入って眠った。
次の日の朝。私は朝ごはんを作ろうと冷蔵庫を開けると目を見開いた。そこにはプレゼントの箱があった。私は誰かが入れたのかなと思いなんとなくリボンを解いて中身を見てみるとそこにはぐちゃぐちゃに形が崩れておりイチゴも溺れ落ちたショートケーキがあった。そして一番上のチョコプレートには「誕生日おめでとう」と書かれていた。私はこの時なんとなくだけど直感した。昨日の誕生日ケーキはみんなで食べてもう残っていない。だけどここにある。これは響が作ったケーキなのだと。
その証拠に私はケーキのクリームを舐めてみるとこのケーキはしょっぱかった。響が砂糖と間違えて塩を入れてしまったのだろう。そのケーキはとても不味かった。時々ガリって音がしたから卵の殻も入ってると思う。だけど私はそのケーキがとても美味しく感じた。
私はリディアンに向かっていると響が1人で歩いているところを見つけた。
「響」
「・・・・・未来」
響はバツが悪そうに目をそらした。この様子だと響はたぶん私の誕生日を忘れてて急いでケーキを作ってそれを誕生日プレゼントにしたけど形とか潰れちゃったからどうすればいいか悩んでる感じだった。
「響。昨日は私の誕生日だったの」
「・・・・そ、そうか」
「それでね。朝起きたら冷蔵庫にぐちゃぐちゃになったケーキが入ってたの」
「そうか」
「食べてみたらすっごく不味かった。塩の味がしたり卵の殻が入ってたり形が悪くてすっごく不味かった」
「・・・・・」
響はそっぽを向いてバツが悪そうに頬をかいていた。
「でもなんでかな。あんな不味いケーキなのに私すっごく美味しく感じたの」
私がそう言うと響は驚いた顔をして私を見た。
(響そんな驚き方をしたら自分が作ったってバレちゃうよ?)
私はそう思いながら言った。
「ねぇ響。今日の放課後、私の寮に来てくれないかな?正直誰があんな酷いプレゼント持って来たのか分からないけどケーキだからすっごくカロリーが高いの。一緒にそのケーキを食べよう。そして1日遅れだけど私の誕生日響に祝って欲しいの」
私がそう言うと響は顔を真っ赤にしてそっぽ向いて。
「お、お前の誕生日何か知らねぇし興味ないし祝う気もねぇよ。だけど・・・・・そ、その酷いケーキの処理ぐらい手伝ってやるよ」
響はそう言って早足で行っちゃった。放課後響は約束通り響が寮に来ると。
「ほらっ」
と言って私に赤いチューリップをくれた。そして2人で不味いケーキを一緒に食べた。すっごく不味いけど昨日の誕生日会より私は楽しく感じた。
「たっくよ。こんなグチャグチャにしやがって」
響とクリスの家では台所がグチャグチャになっていた。洗い物もしておらず砂糖とか小麦粉などが溢れておりカオスだった。
「自分の恋人の誕生日くらい覚えておいて欲しいですね」
セレナはクリスの片付けを手伝っていた。
「それだよな。でも驚いたぜ。まさかあの○○○○○があたしに頭下げてまで教えてほしいなんてな」
「それまで何度も失敗してたけどね」
クリスとセレナは響にケーキ作り方を教えていた。だけども何度も何度も失敗して結果響は真夜中にこっそり私に行く羽目になっていた。セレナは溢れた砂糖を舐めると驚愕した。
「ん?どうした?」
「あの女間違えてやがる」
「あ?」
「あいつ砂糖と間違えて塩入れてやがったんだ。うえっしょっぺ」
それを聞いたクリスはため息をついてあのバカ女と言った。