この神浜にすんでいる私はいろはよりも先に水名区へ移動出来た。
そこには既に鶴乃もおり、楽しそうに待っていた。
「いやぁ、後はいろはちゃんだけだね!」
「そうですね」
「うーん、敬語もやめて欲しいんだけどなぁ」
「しかし、同じ学校の上級生でしょ? 制服もそうですし」
この鶴乃は私の高校の上級生だった。
まさかの高校3年生。色々と話を聞いたがどうにも
成績は優秀で、なんとこの小中一貫校で休んだことがない皆勤賞らしい。
まさしく鉄人。最強と自分で言ってるだけはある。
それを言えるくらいに戦績を残しているのだからな。
「大丈夫だよ、気にしないで!」
「…じゃ、じゃあその…よろしく」
「うん、それで良いよ!」
しかし、上級生相手にタメ口というのは抵抗があるな…
いや雰囲気は上級生という感じはしないんだけど。
それからしばらく待機していると、いろはもやって来た。
「いっろはちゃーん!」
「鶴乃ちゃん、梨里奈さん、こんにちは」
「うん、今日も元気いっぱいで頑張ろうね!
何てったって今日は3人だから!
3人って事は3人4脚だよ!?
これはもう、見付かるかも知れないねー! ふんふん!」
本当に凄く元気が良いな…
「あ、あのね鶴乃ちゃん。今日も別行動で良いですか?」
「ほ?」
「あの、昨日電車に乗ってたらビルの上に神社があって」
「ビルッ!? ありゃりゃ? スマホの地図にはなかったけど
どの辺りか分かる?」
「えーっとぉ…たぶん…この辺り…?」
「水名ホテル参番館…建物の名前しか無いね」
この建物と神社が一体になっているとか、そんな感じなのだろうか。
「でも、確かにあったと思うんです! そうですよね!」
「あぁ、私も確かにそこに神社が見えたと思う」
「そうなんだ、全然気付かなかったよ!」
「だから、私はそっちを見てみようと思うんですけど…どうですか?」
「うん、気付けなかったことに気付けたのは良い事だよー
はなまるあげちゃう!」
「あ、はい、それで」
「いいよ! じゃあ、今日も別行動だね!
梨里奈ちゃんはどっち? 私と一緒に回るのか
いろはちゃんと一緒にここに行くのか」
「じゃあ、私は鶴乃ちゃんと一緒に探すよ」
「りょうかーい! それじゃあ、何かあったら連絡しようね!」
「あ、それと…無料で電話が出来るって聞いたんですけど
何処から電話をすれば良いか分からなくて…」
「およよ、それはね、アプリを落とさないとね!」
「そんな機能があるんだ…私も知りたいな」
「わかった、じゃあ教え…お、およ? 梨里奈ちゃん、その携帯…」
「ん?」
「そ、その携帯じゃ無理だと思うけど…」
「そ、そうなのか!?」
や、やっぱりこの折りたたみ式の携帯電話じゃ駄目なのか…
す、スマホとやらを買うべきなんだろうか…うぅ、お金が欲しい…
とりあえず私は駄目だと言うことで、私は何もしなかった。
「よーし、それじゃあ探そうか」
「そうだな、まずは何処に行く?」
「まずはここだね!」
「…少し遠いんだな」
「大丈夫! 走っていけばすぐだよ! 行くよぉ!」
私の了承も無しにすぐに走り出すとは…これは、彼女に付いていくだけでしんどそうだな。
「えっと、ここは違うんだね。あ、屋台がある。ソフトクリーム食べよ!?」
「あ、そ、そうだな」
ソフトクリーム、結構高いな…だが、久しぶりに食べてみたい。
私はソフトクリームのバニラを購入し、神社近くにあったイスに座って食べた。
「甘いね!」
「そうだな」
席に座って、2人で一緒にソフトクリームを食べる。
何だか凄く懐かしい感じがした。
「は! 甘い中華っていいかも知れない!」
「…絶対にあわないから止めた方が良い」
「なんで!?」
「奇抜な物に挑戦するのは足場が固まった後が良いと思うからな。
万々歳はまずあの安定した味を広めるべきだと思う。
でも、50点では無くて60か70点位に上げるべきかな。
美味しすぎると駄目だし、不味いのも駄目だしな」
「60点…なんとか目指さないと!」
「10点の壁は大きそうだけどな」
テストなら勉強すれば事足りるが何かのレベルを上げるのは難しい。
料理というのは正解がない迷路。人によって採点基準も違うからな。
その全ての採点基準に対して50から70点を出せる料理…難易度は高い。
決っている答えにたどり着くだけの勉強と
決ってない答えを探しだして向う料理では難易度がかなり違う。
家での食事であれば、採点基準は大体分かるかも知れないが
不特定多数の採点基準となれば話は別…難易度は高いだろう。
「よーし! でも今は、口寄せ神社だよね!
さぁ! 次の神社に出発だよ!」
「あぁ、その前にポテトを」
「お、良いね!」
屋台でポテトを買って、走りながら食べて移動した。
はしたない気がするが…食べやすいし良いだろう。
「……ん? これ、魔女の気配?」
「そうだな、どうも強そうな気配だ」
「よし、行こう梨里奈ちゃん!」
「そうだな、しかし他の気配より大きく感じるが」
「大丈夫! 最強の私が居ればどんな魔女も余裕だよ!」
「……油断はしないようにした方が良いと思うぞ」
「大丈夫だって!」
まぁ、放置するわけにも行かないしな…行くしかないか。