七美の考えに従い、
私達はすぐにマギウスの元に戻った。
「ん? もう来たの?
流石にこの短期間じゃ
ウワサは出来ないよ?
それとも、何か妙案でも浮かんだのかにゃ?」
「いや、ちょっと試したいことがあって」
「試したいこと?」
「あぁ、私の魔力の限界突破だ。
七美にお願いしたら、
3人も一緒に居る状況じゃないと
許さないって言われてな」
「何かあっても、あなた達が居れば
梨里奈ちゃんが死んじゃうことも無いだろうし」
「た、確かに梨里奈の限界突破が
自身の概念的な部分にも影響があるのか。
それは知りたい事ではあるけど」
「結構リスキーだと思うケド?」
「最悪の場合は私が蘇生するし」
「し、死なないからな?」
「そう言えば、弥栄も蘇生の魔法なんだよね
お姉様と一緒で、蘇生って異常だよね」
「僕としては再構成の方も異常だと思うよ?
再構成は対象の時間を戻してるような物だ。
特に久美の魔法は時間を戻してると感じる。
七美の糸で繋ぎ、破壊した物体も
久美の再構成で元に戻すようにして対抗してる」
確かに弥栄の魔法と久美の魔法も異常だな。
弥栄の蘇生は使者を蘇させる効果がある。
死後の世界が存在すると仮定すれば
その世界に干渉するのが蘇生……で。
し、死後の世界……そ、存在するのだろうか。
分からないが、可能性はあるかも知れないな。
で、久美の魔法は再構成だが
これも実際、時間を戻してるに等しい。
壊れた物体を無理矢理元に戻そうとする魔法だ。
スマートフォンを破壊して戻したときも
久美が持ってたスマートフォンのデータは消えてた。
壊した時にメモリーまで破損したのかもだが
そう簡単にはメモリーまで壊れないだろう。
それに、周囲の部品も戻ってきてたし
やはり時間を巻き戻してると言えるかもな。
「まぁ、確かに2人の魔法は強力だよね。
色々と試してみたいけど、まずは梨里奈だね」
「あぁ、そうだな。現状の仮想定では
私の存在は必須だ。
私が魔力の限界突破が出来るかどうかは
やはり重要な要素だ」
「だね……じゃあ、リスクはあるけど」
「あぁ、やってみるぞ」
「……」
私は魔法少女に変身してソウルジェムを手元に。
……試すぞ、私の限界突破の魔法が
私のソウルジェムにさえも影響を与えられるか。
私に与えられた力が、キュウべぇが干渉した
私の魂にさえ、影響を与えることが出来るのか。
私の魔法がキュウべぇの力に影響を与えるのかどうか。
……私の限界突破の魔法が
概念に近い部分にも影響を与えられるのかどうか!
「魔力の限界突破……行け!」
魔法を行使して、自らのソウルジェムに影響を与える。
ソウルジェムが一瞬の間に黒く染まる。
「う、ぐ……」
「梨里奈ちゃん!」
七美が即座にグリーフシードを使い
私のソウルジェムから穢れを吸わせた。
同時にグリーフシードが砕けた。
「な!」
グリーフシードが砕け、そこから魔女が姿を見せる。
だが、私のソウルジェムは綺麗にはなってない。
とは言え、最初と比べれば穢れは減ってる。
僅かだが……動けるくらいには回復した。
「い、1回の使用だけで魔女が孵化するなんて!
それに、梨里奈ちゃんのソウルジェムは
まだ全然穢れが残ってる! こんな事!」
「魔女が孵化……そして、梨里奈のソウルジェムは
完全に穢れが取り切れた訳じゃ無い」
「成功だね!」
「中々エキサイティングな展開だよネ!
魔女を任意にってかなり便利!
七美の魔法で洗脳して、戦力にも出来るしネ」
「急いで倒そう!」
「う、うん!」
不意に孵化した魔女だが正直言って敵では無かった。
マギウスの3人に私、七美、弥栄、久美。
これだけの戦力が相手だ。
流石に単体の魔女だけでは脅威では無かった。
「す、すまない、まさか魔女が孵化するとは…」
「全然問題無いよ、これで梨里奈の限界突破が
梨里奈の魔力にさえ影響を与えると証明された」
「そ、それで……ど、どうする? も、もう一回?」
「うん」
「よし……今度は覚悟して、もう一回」
もう一度、グリーフシードで私の穢れを取った。
再び魔女が孵化したが、
私のソウルジェムは僅かに穢れが残る。
「2回分か、相当な消耗らしいね」
「あまり試したくないことだな……
死んでしまった魔法少女の魂を
冒涜してるようで……多用できる事じゃ無い」
「とは言え、仕方ない事だよ。
しかし、グリーフシードが砕けて
魔女が発生してしまう場合では
ドッペルシステムの影響下でも
なんの変化も無いんだね……」
「だな、もしもこれで蘇生が出来るのであれば
魔女達でさえ救えたのに……残念だ」
これで分かったことも多く出来た。
イブの影響下だったとしても
グリーフシードからは魔女が発生する。
私は魔力の限界突破が可能ではあるが
一度使用すれば、魔力消費により
大量の穢れが発生し、グリーフシードを用いて
全快しようとすれば、2回は魔女が生まれてしまう。
強力だが、使用した後の事を考えると
かなりリスクのある奥の手だと言えるだろう。
その代わり、魔力の限界突破を用いれば
まさに無限に近い魔力を得られると言える。
「……倫理観を無視すれば色々と解決するね」
「……そうだな」
私達が戦えば魔女は大した相手では無い。
魔力の限界突破を用いればいくらでも
グリーフシードから魔女を発生させられる。
その魔女を排除し、グリーフシードを確保。
私は魔力の扱いが得意であり消耗は少ない。
だから、魔女を撃破した後にグリーフシードを得て
周囲の魔法少女達に配れば良い。
穢れをある程度吸ったグリーフシードを
私が再び使い魔女を孵化させて魔女を撃破。
実質再浄化出来たグリーフシードを周囲に流布。
そうすれば、魔女の枯渇問題に対策できるかもな。
とは言え、その行動は死んでしまった魔法少女を
何度も何度も再利用してるだけだ。
そんなの、あまりにも残酷すぎる。
「それに、需要に対して供給が追いつかない。
やはり別の方法を考えるしか無いね」
「だね、でも一歩は進んだよ」
「あぁ、ルール制定の前に進めて良かった」
3回目の浄化で、ようやく私のグリーフシードが
完全に回復することになった。
「今回は2回は別のグリーフシードだったけど
最後は最初に撃破した魔女のグリーフシード。
再利用が可能だというのが分かったね」
だが、この方法はあまりにも残酷だ。
しかし、何度かやるしか無いと言うのも事実だ。
未来の為にも……覚悟を決めよう。