私達の計画に必要なのは魔力だ。
莫大な魔力と莫大な数の仲間。
その仲間達を集めて同じ未来を見る。
私達が持つ感情の可能性を信じた計画。
「今回はここまでにした方が良いね」
「あぁ、心も痛む」
あの後、3回ほど魔力の限界突破を行ない
グリーフシードを活用してのサイクルをした。
やりたくない事だ、とても残酷な行為だ。
魔法少女だった彼女達の亡骸を利用する行為だ。
だが……やらなくてはならない事だ。
罪のない人達を巻き込まないためにも
誰かが悪にならなくてはならない。
「……」
「魔女を利用するって言うのも忍びないね」
「僕達は躊躇わなかったが
流石にこの方法は堪えるかも知れないね」
「アリナ的には何度も何度もあのエキサイティングな
瞬間を見ることが出来て、満足だけどネ」
アリナはまだ魔女が生まれる瞬間に
喜びのような物を感じてるのかも知れない。
だが、雰囲気からあくまで刺激程度なのだろう。
「梨里奈ちゃん、こう考えてみようよ。
私達は死んでしまった仲間達と協力して
全ての魔法少女を救うための準備をしてる。
きっと、彼女達だってそれが大願だよ。
1番は自分達も一緒に救われる事だけど
2番目はきっと悲劇を繰り返さないことだから」
「死人に口なしだ、気持ちの持ちようは
僕らの解釈に担われてる。
だから、辛い事は考えない方が良いよ」
……私には彼女達の気持ちは分からない。
だが、彼女達も私達へ気持ちは伝えられない。
ならばせめて、自分達だけでも……か。
押しつけなのは変わらないだろうが
それは、どんな時でも同じ事。
ならせめて、彼女達の事を好意的に捉える。
その為には、七美の考えの方が正しいのだろう。
「……しかし、グリーフシードが穢れきれば
魔女が生まれてしまう……私は知らなかったな」
「僕達は知ってたけどね」
「マギウスが利用してた魔女は殆どがこの方法か?」
「まぁね、みたまから魔法少女が使ったグリーフシードを
私達が入手して、穢れを蓄積させて魔女を生む」
「そして、私がドッペルを発動させて魔女を洗脳する」
「その後、アリナが結界を作って魔女を幽閉して
いつでも魔女を召喚出来る」
「で、一部の魔女は神浜に放って
魔法少女達が倒し、グリーフシードを得る」
「そのグリーフシードを使って魔法少女が穢れを移し
それをみたまに持っていく」
「このサイクルがアリナ達が生み出した
パーフェクトなシステムの一部ってワケ
使い魔を放置しても魔女が生まれるから
いくらでも戦力補強も出来るしネ。
アリナの結界の中で魔女を育てれば
いくらでも強く出来るし
魔女の量産だって出来ちゃうってワケ」
「な、なる程な……物量が凄かったのも頷ける…」
他にも魔女を神浜に集めてたみたいだしな。
魔女を集め、魔女を狩った魔法少女から
グリーフシードを得て、アリナの結界内で
グリーフシードから魔女を生んだ後に
七美のドッペルで魔女の洗脳をして戦力とする。
ドッペルの多発は魔法少女に悪影響だろうから
多分、七美が無理をしすぎない程度にしたのだろう。
魔女の数が揃ってきたら発動させて纏めて洗脳。
そんな感じだったのかも知れないな。
更には使い魔から魔女が生まれるから
使い魔を育てて魔女を量産してたと……ん?
「つ、使い魔は魔女になるのか?」
「そうだよ、知らなかったの?」
「うーむ……使い魔が危険なのは分かってたから
魔女を排除するときには全て仕留めてたが…
魔女になるのは知らなかったな」
「魔女になるよ、
使い魔が人を4~5人くらい食べた場合ね」
「な!?」
「ただ、勘違いしないで欲しい。
僕達は人を食わせたことはないよ。
今まで集めてきた情報でそう言う記載があっただけだ。
育てる方法も目星が付いてたからね。予想通りだった」
「ど、どう言う形で育てたんだ…?」
「イブの育て方と同じだよ~
穢れを集めておけば勝手に進化するんだよね~」
「様は穢れで生まれると言う事だね。
人を食べてと言うのも人を捕食した際の穢れだろう」
……そ、その方法が確立されていたと言う事か。
そ、その気になればマギウスはいくらでも
魔女を量産できていたと言う事なんだな…
「なる程……その気になれば魔女をいくらでも作れてたのか」
「そう言う事、因みに今でも出来るよ?
ういの協力があればね」
「ういに負担が掛るから、絶対にしないけどね」
「そもそも、今は魔女作り出しても意味ないしね~
なんなら、魔女発生も今の状態なら
梨里奈が居ればいくらでも出来る訳だし」
「私の負担が凄いが…?」
「知ってるよ~、だからやろうとはしないけどね。
本当、梨里奈がマギウスに所属してたら
戦力が凄い事になってたって事だね。
色々な意味で」
ま、まぁ、一度の限界突破で私自身も強化され
グリーフシードの数だけ量産できる。
同時に大量に量産できるのであれば
七美のドッペルを発動した際に
一気に魔女を洗脳することが出来たと。
魔女の量産はグリーフシードが尽きない限り
止めどなく行なう事も出来て
使えば使うほど、私自身も強化されていく。
……この使い方は世界が滅びかねないぞ。
「ふっふっふ、無敵の軍隊になってたね!」
「世界が滅びかねないだろ、それ……」
下手したら戦争が出来てしまうな。
魔法少女と全人類の全面戦争さえも。
しかも、勝てる可能性が高いというのが恐ろしい。
「本当、君の魔法は汎用性の塊だと言えるね」
「時間が経つにつれ、そう思うよ」
しかし、魔女は使い魔からも生まれるのか。
使い魔は魔女の一部と言う事なのかもな。
魔女になってしまった魔法少女の感情の一部。
だから、穢れを溜め込むと魔女になると。
「……本当、よく分からないな。
魔法少女は……
そうだ、灯花とねむに聞きたいことがある」
「何かな?」
「確かういと一緒に魔法少女になった際の願いは
確かあなたの機能が欲しい…だったよな」
「うん、そして私が変換の機能」
「そして、僕が具現化の機能を
で、ういが回収の機能を得たんだ」
「じゃあ、魂をソウルジェムにする機能は?」
「それは知らないね」
「同時に、願いを叶える機能も知らない」
……魔法少女を救うために契約したから
そう言った機能の部分しか得られなかったと。
しかし、違和感があるというのはある。
実際、灯花とねむが願いを叶える機能を
得ようとは思わないのは何となく分かる。
だが、ういはどうなんだろう?
ういはいろはの妹、確かに芯は強いが
2人のような天才的な子供では無い。
なら、願いを叶える力を欲しいと
何処かで思いそうな物だ。
もし思ったなら、願いを叶える部分も…
「……いや、そもそも考える対象が違うのか」
「考える対象って何さ」
「願いを叶えるのはキュウべぇの機能では無く
私達に備わってた何かなのかも知れないと思ってね」
「え?」
「もしキュウべぇのシステムに
願いを叶える部分があるなら
自分達が不利益を被りそうな
願いは叶えられない可能性が高い。
だから、3人の願いが叶わない可能性がある。
自分達の機能を奪われるような願いを
キュウべぇ達が叶えさせてくれるとは思わない」
「た、確かに言えてるかも…?」
「だから、キュウべぇが持つ機能は
4つ、私達の魂をソウルジェムに変換させる機能。
グリーフシードを回収して穢れを浄化する機能。
恐らく、この機能は変換の一部だろう。
私達が魔女化した瞬間のエネルギーを回収する機能。
これは回収とエネルギー変換だろう。
宇宙に感情のエネルギーを放出する機能。
これが変換と具現化の同時だと予想出来る。
願いを叶えると言う機能の一部が
ねむの具現化に近しい部分かも知れないが
最後の部分こそが具現化の正しい使い方かだな」
そして、魔法少女の願いが叶う瞬間は
魔法少女が契約をした瞬間だとするならば。
恐らく……魂がソウルジェムになった瞬間に
願いが叶ってる可能性がある。
ならば、一瞬取り出された人間の魂が
自らの力でその願いを叶えた……とか?
だから、本人の感情などが影響されるとか?
「うぐぐ……た、魂がソウルジェムに変換されて
そ、その瞬間に願いが叶ってるとすれば
魂が自力で願いを叶えてる可能性があって…
この魂はなんだ? 感情の塊か?
それとも感情というのは魂が作ってるのか?
なら、感情を分離させても……いや、違う違う。
感情は分離させられる筈だ。
そうじゃ無いと、やちよさんの魔法の説明が…」
「り、梨里奈ちゃん? いきなり頭を抱えなくても」
「ふむふむ、魂がソウルジェムに変換された瞬間に
願いが叶ってると考えてるわけだね」
「そうだ、願いを叶えてるのはキュウべぇでは無く
私達自身なのでは無いかという仮定。
だが、心の願いとは違う願いが叶うこともある。
いや、そもそも心の願いと叶った願いは逆…か?
あくまで口に出した願いを叶えてるという形だ。
となれば、キュウべぇが叶えてる方が自然か?」
例えば私の場合だが
心の中で何処か願ってた七美の蘇生は叶わず
口に出した自分の限界を越え続ける願いになった。
魂が直接叶えてるのだとすれば、こうはならない。
七美の場合も口での願いは居場所。
だが七美、弥栄、久美の考えでは
一番欲しかった居場所である私は
願いが叶った直後にはその場には居なかったと。
マギウスの2人とういも場合もそうだ。
心の願いは魔法少女の救済だが
実際はキュウべぇのシステムを奪った物の
機能せず、ういを失いかけてしまった。
……キュウべぇが干渉したとか?
本来の心の願いが叶わないように
魂を変換した際に妨害して
心の底からの願いを叶えない。
そうすることで魔法少女に喪失感を与えたり
一時的な幸せを与えながらも絶望に突き落とし
魔女化させるために……うーむ。
「……とは言え、分かる事が1つだけある」
「と言うと?」
「キュウべぇは私達を了承無しで
魔法少女に変化させる事は出来ない。
それが出来るなら、わざわざ契約等不要だ。
恐らく私達が了承さえしていれば
願いを叶える必要も無く
私達を魔法少女に出来るだろう。
だが、了承が無ければ不可能。
だから、キュウべぇは私達に了承して貰う為に
なんでも1つだけ叶えて上げると良い
了承して貰い、魔法少女に変化させてる。
つまり、キュウべぇは私達の魂よりは
力を持ってないと言う事だろう。
感情のエネルギーやそれを発する。
恐らく魂という部分が受入れなければ
そのエネルギーを利用できないんだ。
それだけ、莫大なエネルギーだ。
恐らくはそのエネルギーを一部利用して
キュウべぇが願いを叶えてる可能性がある。
あくまで相手の力を利用して願いを叶えてる」
とは言え、それだと不都合な願いをかき消せそうだな。
奴らが感情を持たない故に意外と律儀な性格だから
自分達に不都合な願いでも叶えてるのか
はたまた、明確な目的や目標がある場合は
エネルギーの補助が無くても叶える事が出来るのか。
こればかりは明確に分からない。
だが、奴らのシステムよりも
私達の魂と言える部分の方が上なのは間違いない。
奴らは効率を求めている獣だ。
どう考えても願いを叶えて魔法少女にするよりも
強制的に魔法少女にした方が効率が良いからな。
それをしてないと言うことは
私達の魂に強制的に干渉は出来ないと言うことだろう。
「分かりきってた事だが、やはり奴らのシステムよりも
私達の持つ感情のエネルギーは上であり
そのエネルギーは世界のルールにさえ影響を与える。
……そして、私の限界突破はそのエネルギーに対して
影響を与えられる可能性だってある。
恐らく魂のエネルギーである筈の
魔力にさえ影響を与えた訳だからな」
自分のソウルジェムにチラリと視線を向け
少し考えた後に腕に着いてる宝石にも視線を向けた。
……魔女の莫大な魔力を利用出来るか疑問だが
私の魔力が増えれば、
制御出来る可能性も0では無いか。
「やっぱり魔力を集める必要がある訳だね。
奇跡を再び起すためにも」
「あぁ、とは言えまだ検証する必要がある。
だから、その間に犠牲が出ない為にも
ルールが必要だというわけだな」
「あぁ、どんなウワサにするかもある程度は決めたよ。
だから、少しの間だ待ってて欲しい。
明日、君にどんなウワサを用意するか話すから」
「うん、資料はこの後作るから、明日まで待ってね?
梨里奈もしっかり休んでおいてね」
「あぁ、分かった。すまないな付き合わせて」
「大丈夫、必要な事だって理解してるからね」
よし、今日はここまでにして休もう。
明日、マギウス達の資料を見て
ウワサをどう運用するかも考えないとな。