私達が始める計画。
魔法少女達の感情エネルギーを集め
奇跡を再び私達で起す為の計画。
だが、その計画を達成するためには
私達神浜マギアユニオンのみでは無く
他の魔法少女達の組織の協力も
必須となる大規模な計画だ。
この計画を達成するために
他の組織達の協力を取り付け
同じ道を歩めるように説得する。
その為に必要なのは時間と信頼だ。
だから、この両方を確実に得る為に
私達はルールを決める必要がある。
「……」
「……」
「そこまで睨み合わないでくれ」
私達が全力で動き回り
今回はそれぞれのリーダーを呼んだ。
その結果、この場所には各代表があつまる。
プロミストブラッドのリーダー格である
紅晴結菜、大庭樹里、笠音アオ。
ネオマギウスのリーダー、
宮尾時雨、安積はぐむ
神浜マギアユニオン各代表
西神浜の代表、環いろは、七海やちよ
東神浜の代表、和泉十七夜
南神浜の代表、都ひなの
そして、神浜マギアユニオンの
魔法少女解放計画の責任者である
アリナ・グレイ、里見灯火、柊ねむ。
オマケで私と七美が一緒に居る状態だ。
私が立ってる場所はアリナ達の近く。
代表や幹部では無く
解放計画の為に動いてるだけの
一般魔法少女という立場だったりする。
そして、進行役を任されている。
「睨むのは当然だろ、何故集めた」
「ルールを決めるためだよ。
キモチを奪い合う戦いのルールを」
「殺し合いにルールは無い」
「殺し合いにしないためにルールを決めるんだ」
プロミストブラッドはやはり攻撃的だ。
だが、恐らく強いリーダー達と言える。
恐らく、リーダーを説得できれば
部下達も説得してくれると予想出来る。
そのリーダーを説得するのが難易度が高いが
成功すれば、一気にこちら側に傾くだろう。
「灯花様……ぼくは」
「うぅ…」
そして、ネオマギウス代表の2人。
雰囲気で分かるが、かなり内向的な性格だ。
恐らく、この2人はあまり強いリーダーじゃ無い。
周囲をあまり纏めるのが得意では無い様だ…
ある意味では、1番危険な組織かも知れない。
リーダーが部下を説得できない可能性が高く
リーダーを説得できても
ネオマギウスの全員をこちら側に引き込めない。
最悪の場合、周囲を引っ張り上げる事が出来る
そんな部下に組織を乗っ取られてしまうだろう。
そうなると、代表同士の話し合いの意味が薄れる。
ならどうするか、
リーダー達の性格を変える必要がある。
自分に確かな自信を持てるように。
「……」
十七夜さんが私に視線を一瞬だけ向け
ネオマギウス代表の2人に視線を向けた。
十七夜さんには他の代表達の心を読んで貰い
納得してるかどうかを教えて貰う。
今回視線を向けたのは、確認と
私の心を読んだのだろう。
だから、私が抱いた懸念を十七夜さんも知った。
私の懸念を知ったから、
ネオマギウス代表の2人を見たのだろう。
同時に、心を読んで彼女達の状況を見た。
「今回、それぞれの代表を集めた理由は
最初に言ったとおり、ルールを決めるためだ。
これは当然、私達の為と言うよりは
プロミストブラッドとネオマギウスの為だ」
「何が言いたいわけ?」
「理解してるんじゃ無いのかにゃ~?
ハッキリ言うけど、戦力差が違うんだよね~」
「規模も質もアリナ達とあんたらでは
全然違うってワケ」
「んだと!?」
「……」
アリナと灯花の挑発に樹里が反応した。
だが、結菜は私と七美に視線を向けただけだ。
同時に鋭い目で私達を睨んできてる。
「睨まないでくれ、今は戦う訳にはいかない」
「あんたらが動けば、私達は殲滅できるわ
それぞれの代表を集めてただの話し合い?
あなたらが動けば代表は全て殲滅できるのに」
「何言ってんだよ! こんな奴らに樹里サマが!」
「まぁまぁ、落ち着きなって」
「でも!」
「今回は本当にただルールを決めるためだ。
同時に、何かの拍子で誰かを殺さないために。
魔法少女同士の戦いとなれば
お互い、意識しなければ弱点を誤って攻撃し
殺してしまう危険性が存在する」
「相手を殺すなんざ当然だろう?
殺し合いだぞ? お前らみたいな甘ちゃんには」
「あぁ、その通りだ。私達は甘ちゃんだ。
相手を殺す事をどうしても躊躇う。
出来るが、出来ないんだ。
その為、このままだと私達は不利になるな。
だが、多少不利でも関係無く私達なら排除できる」
「実際、梨里奈が動けばプロミストブラッドも
ネオマギウスも容易に退ける事が出来る。
梨里奈の強さは戦った経験がある
ネオマギウスなら理解してるわよね?」
「そ、それは…」
ネオマギウス代表の2人は明らかに私を見て怯えてる。
それはある意味では、当然の反応だと言える。
ネオマギウスは元々はマギウスの翼だからな。
マギウスの翼であれば、
私の強さはよく知ってるだろう。
マギウス達と私達が全力でぶつかった戦い。
あの時、私は1人でほぼ全てのマギウスの翼を牽制し
動きを抑止して、マギウスの代表4人と同時交戦。
マギウスで最強クラスの幹部である七美とマミ
そして、マギウスであるアリナと灯花。
この4人と同時に戦い、実質撃破している。
それも、最後以外はほぼ無傷で。
その場面を見ているマギウスの翼達の中に
彼女達が居たのだとすれば
私の強さが異常だと言うことも理解してるだろう。
更にはワルプルギスの夜を上空から突き落とし
地上で素早く動きズタズタに引き裂き
撃破した瞬間も見ている可能性だってある。
「当然、梨里奈の強さは疑う余地も無い。
それだけじゃ無く、僕達には七美も居る。
彼女達は圧倒的な実力者だと言えるよ。
特に七美は対魔法少女であれば無類の強さを誇る。
梨里奈以外には対処出来ないほどにはね」
「……戦った経験があるわけ?」
「あぁ、七美とは何度か戦ったさ」
「で? 勝ったと?」
「あぁ、辛うじてな」
「よく言うよ、勝負になったのは最初だけで
後は全部圧倒してたくせにさー」
「私はかなり攻撃を喰らったぞ?
何度も怪我をした記憶があるしな」
「全部不意打ちだし、今の梨里奈ちゃん相手じゃ
絶対にダメージ与えられないって」
「だろうな、今はあの時よりも強くなってるし」
「な……」
私の一言に時雨とはぐむが反応した。
この会話で重要なのは挑発だからな。
私達の強さを顕示して、2つの組織に
ルールが無ければ勝負にならないと
そう理解して貰う必要がある。
圧倒的な戦力差を理解して貰い
ルールが無ければ絶対に勝てないと
そう思わせる必要がある。
説得はその後だ、今はルールの制定が必須。
ルールに納得して貰う必要がある。
「本当、何処まで強くなるつもりだ?」
「必要ならば、何処までも。
それが私の生き方であり
私の願いであり、私の魔法です」
「……」
私の言葉に結菜が反応した。
今回、私は強さを顕示する必要がある。
私が動けば、まとめて排除できると。
戦いにすらならないぞと、そう伝えるために。
「梨里奈は自分自身の限界をいくらでも越えられる。
限界突破の魔法であり、その気になれば
自身に関わる事象の全てを強化できる。
治癒能力も環境適応能力も身体能力も
勘という概念も、そこまで強化できるんだ
その気になれば、魔法耐性も上げられるかもね」
「今度試してみようか? 魔力の限界も越えられたし
恐らく魔法耐性も限界突破出来るだろう」
「最悪、ドッペル出るかも知れないけど…
てか、未だ梨里奈ちゃんのドッペル知らないし」
「どんなドッペルになるのか興味はあるヨネ」
「ま、恐いから意図的には発動しないがな」
恐らく、私のドッペルは……あの夢で見たような能力。
周囲の期待に答えて、いくらでも強くなるドッペルか。
あの夢がただの夢か、ある意味での現実か。
それは分からないが、ああなる可能性は高い。
とは言え、ドッペルの法則はよく分からない。
七美のドッペルは居場所が欲しいという願いで
ドッペルの能力は糸で繋いだ相手を
友人にするという能力だった。
だが、弥栄と久実のドッペルは願いは関係無い。
弥栄のドッペルは言わば執念のドッペル。
私を殺すと言う執念の具現化だろう。
久美のドッペルは鎖で相手を拘束するドッペル。
これは、正直よく分からない。
いろはのドッペルもよく分からないしな。
法則性を知りたいとも思うが
ドッペルは危険な力だ。
そう簡単に使わない方が良いだろう。
如何せん、魔女の力だからな。
「ドッペルは神浜の魔法少女が使う
最大の武器なんだけどね~」
「最大の武器を使うまでも無いという事だろう」
「ただの魔女では相手にならないからな」
「調整もしてないんでしょ?」
「する必要が無いからな」
「はぁ!? 適当言ってんじゃねぇよ!
調整をしてないだと!?」
「あぁ、して貰った事は無いぞ」
「冗談じゃ無い……」
私の言葉で反応したのは私の強さを知ってる魔法少女。
ネオマギウス代表の2人と結菜だった。
そう、私は調整などしては居ない。
それなのに調整を行なってる魔法少女達と互角以上。
それが私の異常性であり、私の強さ。
だが、種明かしをすれば簡単な話だ。
私は私自身の魔法や願いで自分を強化できるから
他者の干渉が必要無いと言うだけでしか無い。
周囲の期待に応え続けて、他者に助けを求めなかった
私らしい強さの理由だと言える。
私は1人であったが為に強いんだ。
「みたまから話は聞いてたけどね~
やっぱり飛び抜けてるって思うよ~」
「でも、これで分かったんじゃ無い?
ルールが無ければ勝負にならないって」
十七夜さんが私の方を向いて頷いた。
どうやら、十分それぞれの代表の心を動かした様だ。
「それで? どうだ? 理解してくれたか?
これは、私達の為だけでは無い。
むしろ、プロミストブラッドとネオマギウスの為だ」
「……わ、分かったわぁ」
「う、うん」
「おい! 樹里サマは納得してない!」
「いや、ここは引くべきだよ姉ちゃん。
間違いない、ルール無用じゃ勝負にならない。
まだ私達が有利になるように交渉する方が良い」
よし、上手く丸め込めたぞ。
ここからが重要になるな。