魔法少女の道化師   作:幻想郷のオリオン座

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とある日の日常

魔法測定機のウワサが完成するまでの間だ

私達は普段通りの生活をするしか無い。

今日はいつも通り、学校の授業だ。

大分簡単だから、私は問題は無いが。

 

「うー……」

「はぁ……」

 

ももこと七美は頭を抱えてた。

2人は私が勉強を教えれば

大体理解してくれるのだが

新しい内容を先生から聞く場合は

大体授業中に頭を抱えてたりする。

 

「わ、わかんなーい!」

「あ、あたしもいまいち理解できない」

「それはそうだろう、まだ今回の授業は

 内容の紹介程度で簡単な解き方は

 まだ教えて貰ってるわけじゃ無いしな」

「え!? 簡単に解ける方法が!?」

「あぁ、学びには以外と抜け道が多い。

 正攻法の解き方もあれば

 正攻法以外の解き方もある。

 まぁ、私は両方覚えて解いていくが」

「え? か、簡単な方法を知ってるのに

 わざわざ難しい方法でも解くの?」

「あぁ、両方覚えてたほうが良いからな。

 まぁ、テストで高得点を取るだけなら

 簡単な覚え方だけで大丈夫だ」

「あー、やっぱ痛感するって言うか

 私達はテストの為に勉強してるけど

 梨里奈ちゃんは

 テストの先の為に勉強してるんだね」

「あぁ、私はそうだな」

 

だが、大体の勉強というのはテストだけで十分。

生きる上で必要な知識というのは

生きていれば勝手に覚えていく物だからな。

その道のプロは話題に上がることも多いが

実際、得意分野以外は手付かずだったりする。

歴史的な偉人もそう言うケースが多く

結局は1つのことを極める方が成功するのだろう。

 

一部、例外と言える偉人は存在するが

大体の場合は1つの分野に特化してる。

異常な天才は色々出来たりするがな。

 

「はぁ、やっぱり心意気から違うって分かるね。

 これが本当に頭が良い人の考え方か」

「どうかな、本当に頭が良い人間は

 得意な部分をひたすらに伸ばすからな。

 私の様にあらゆる分野を勉強するのは

 あまり賢い生き方とは言えないだろう」

「梨里奈ちゃんの場合はあらゆる分野を勉強しても

 あらゆる分野の頂点に即座に到達するじゃん。

 全教科常に100点満点……本当に無理しないでよ?」

「はは、無理はしてないぞ?

 それにこれは必要な事だからな。

 全教科100点満点なら学費が無料になるんだ、

 最高じゃないか」

「……そ、そうだね」

 

私の言葉を聞いた七美が、少しだけ落ち込んだ。

 

「な、なんで落ち込んでるんだ?」

「はは、それはね……

 私が梨里奈ちゃんを知ってるから」

「は?」

「私は家が凄い成功しててね

 こう見えても結構なお金持ちなんだよ。

 別荘もあるし、意外とお嬢様なんだよね」

「な!? そうなのか!?

 そんな雰囲気無いけど!?

 や、弥栄も久実もお嬢様って感じじゃ…

 だ、だって、全然上からって雰囲気ないし」

「七美がお嬢様だと知ってるのは

 神浜だと私と本人くらいだろうな。

 七美は自慢をするような性格じゃ無い」

「どうしてだ?」

「私は病弱だったからね。 

 今は魔法少女になった影響なのか

 大分体が丈夫になったんだけど

 魔法少女になる前の私って

 いつもいつも調子を悪くしててね。

 いつもお父さんお母さんに迷惑を掛けて」

 

七美は元々はかなり病弱だったからな。

病弱で何も出来ないことをよく嘆いてた。

弥栄や久実の話では、私に会うまで

七美は殆ど笑ったことが無かったらしい。

今の七美からは想像出来ないが。

 

「ずっと迷惑を掛けてるって思ってたんだ。

 勿論、私の両親はそんな事は言わなかったよ。

 ずっと大事にしてくれてた。

 

 私が病気で倒れたって時は仕事も止めて

 即座に来てくれるくらいには大事にしてくれてた。

 一度だって、私を貶すことも無かったし

 ずっと私を褒めてくれたり、応援してくれたり。

 

 だから私は、私の事が嫌いだったんだ。

 自分は上等な人間じゃ無いし

 誰かに上からの態度で接する事が出来る

 そんな人間なんかじゃ無いって思ってたから。

 

 だから、私は家のことは殆ど話さないんだ。

 地元でも私の家のことを知ってるのは

 梨里奈ちゃんだけだし」

 

私だけが唯一知ってる七美の話し。

本当に対等の友達だと思ってくれてると

そう思えて、とても嬉しかったな。

 

「そして、弥栄と久実が自慢げにしてないのは

 尊敬する姉である七美が

 そう言う風な態度を一度も取ってないからだ」

「はは、今でも不思議なんだよね。

 なんであの2人は私なんかを尊敬してるのか」

「それはお前が大事な妹達から尊敬されるような

 そんな立派な生き方をしてたからだろう。

 病弱で何も出来ないとしても

 それを言い訳にしないで

 必死に頑張って挑戦してきたからだ

 何かに挑めるのは強い人間だけだ」

 

七美は病弱だった、だが、どれだけ体が弱かろうと

必死に色々な事に挑戦しようとしてた。

だから、そんな姿に2人は憧れたんだろう。

 

「それに、お前は本当に優しいからな。

 自信が無くても優しさで手を差し伸ばす。

 そんな事が出来るんだ、しっかり誇れ」

「優しい……かな?」

「あぁ、お前は優しさで私に手を伸ばしてくれた。

 その結果、私は道化師じゃ無くなったんだ」

「え、えへへ、そ、そうかな……

 私、役に立ててたかな?」

「あぁ、お前は私の自慢の親友だ」

「あ、あはは、は、恥ずかしい…」

 

顔を赤くしながら、七美は照れていた。

私も堂々と伝えたから少しだけ恥ずかしい。

 

「本当に仲が良いんだね、2人とも」

「あぁ、親友だからな」

「う、うん、親友だし」

「でも、だとしたらどうして最初

 少しだけ暗い表情になったんだ?」

「うん、それはね、私はお金があって

 両親にも恵まれて、妹にも恵まれてる。

 そう、私は少し……恵まれすぎてるんだ」

「……」

「私はこんなにも恵まれてるのに

 私よりも誰よりも努力してる

 梨里奈ちゃんは……辛い思いをしてる」

「私も恵まれてるさ、両親にも恵まれてる

 そして、才能にも恵まれてるし

 何より、私は友人達に恵まれてる。

 私は世界一幸運な女の子だと

 堂々と宣言できる位には幸せ者だ」

「そこまで言えるって、本当に凄いね」

 

ここに来るまではそこまで恵まれては無かった。

いや、恵まれてる環境に居たのは確かだ。

夢を押付けられてたとは言え両輪は

私を愛していなかったわけでは無い。

 

両親は私をしっかり愛してくれたし

私を大事にしてくれていた。

だが、考えというのは環境で大きく変わる。

きっと七美が私と友達になってくれてなければ

私は両親の愛を歪んで解釈してたかもしれない。

 

どれだけ愛されていようとも、両親が愛してるのは

私では無く私の才能でしか無いと曲解しただろう。

両親が私を大事にして居る理由は

家を復興する都合の良い道具だからだと

そう考えて居たかも知れない。

 

私は十七夜さんの様に心を読めないからな。

心を読めない以上、自分で補完するしか無い。

だから、その時の精神状態が大きく出るだろう。

 

なのにこんな風に考える事が出来てる。

それは、私が幸運である証拠だ。

 

「ここまで堂々と言えるのは全て七美のお陰だ」

「え? わ、私?」

「あぁ、七美が私に出会ってくれたから

 私は私で居られる。本当に私は幸せ者だ」

「うー、な、なんか恥ずかしい…」

「はは! 堂々と宣言できるって本当に凄いね!

 あたしはバットタイミングだから

 そこまで堂々と何かを言える気もしないけど

 でも、そんな風になりたいって思えるくらいには

 今の2人は輝いて見えるよ!」

「ふふ、そうか? ありがとうな。

 あ、そうだももこ、今日は弁当あるか?」

「え? 今日は無いかな」

「そうか、それは良かった」

 

鞄からももこ用の弁当を取り出した。

 

「え!? お弁当箱!?」

「あぁ、今日はももこ用の弁当を作ったんだ。

 今日は私が料理当番だったからな。

 昨日の残り物が多かったから、多めに用意したんだ。

 ももこにも食べてもらおうと思ってな」

「えー!? マジで!? 最高にグットタイミング!」

「梨里奈ちゃんのお弁当は美味しいよー

 だって、今日の弁当は本気で作ってくれてるし!」

「ふふ、普段は全力では無いがな

 点数で言えば70点程度を目安に作ってる」

「また微妙な……どうして70点なんだ?」

「当番制だからな、私が作る時だけ

 飛び抜けて美味しい料理では

 他の料理を素直に味わえなくなってしまう。

 それでは食事が楽しくならないかも知れないからな。

 だから、極上の料理というのは記念日だけで良い。

 でも、今日は美味しい料理だ」

「ど、どうしてだ?」

「今日は七美の誕生日だからだ」

「そうなのか!? 今日は3日だし

 七美は7月3日が誕生日なのか」

「あぁ、因みに久美は9月3日

 弥栄は8月8日だぞ」

「……もしかして千花姉妹の名前って」

「はーい! 誕生日が由来でーす!」

「因みに法則の最初は七美らしい。

 七美が7月3日に生まれたから七美

 弥栄と久実はこの法則に合わせるために

 両親がそれぞれ、8月8日と9月3日に生まれるよう

 色々と頑張ったらしい」

 

ふふ、あまり派手に祝える状態とは言えないが

少なくとも去年よりは祝えそうだな。

去年は久美と弥栄の誕生日は祝えなかった。

七美にも髪飾りを渡しただけだしな。

だが、今年はしっかりと祝おう。

 

「と言う訳で、パーティーするからよろしくー」

「あぁ、是非出席させて貰うよ!」

「ふっふっふ、さぁ弥栄と久実がどんな風に

 私の誕生日を祝ってくれるのか

 何だか楽しみー!」

「準備もしっかりしたからな。期待してくれ」

「おー! 楽しみー!」

「あ、そうだ、梨里奈の誕生日はいつなんだ?」

「ん? 私の誕生日か? 正直言うと覚えてない」

「どうしてだよ!」

「興味が無いからな」

「もう、梨里奈ちゃんは相変わらずだね。

 周りの誕生日は祝うくせに自分の誕生日は

 全く興味無いって、やっぱり寂しいって。

 なので、代わりに私が答えましょう。

 梨里奈ちゃんの誕生日は9月9日だよ」

「覚えやすいね、それは」

「久美が梨里奈ちゃんに興味津々なのも

 誕生日が近いからって理由もあるらしいよ」

「確かに近いな」

 

とは言え、私は殆ど覚えてなかったが。

全く自分に興味が無いというのもな。

 

「しかし、意外と覚えやすいかもな。

 千花姉妹は名前で梨里奈はゾロ目だし」

「あ、私の誕生日は覚えなくても」

「覚えるって!

 しっかり祝うから楽しみにしててくれよ!」

「私の誕生日を祝う必要は無いと思うんだがな」

「梨里奈ちゃんの意思に関係無く

 私達は祝うからね!」

「……そ、そうか、だが今日は七美の誕生日だ」

「ふふ、そうだね、ちゃんと七美も祝おう」

 

今日は少しだけ楽しみな日になりそうだ。

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