ビーチバレーの後は流石に日が暮れた。
海に入ることは出来なかったな。
その後、別荘に戻って料理をした。
今回は結構な人数がいると言う事で
何人かで料理をする事になった。
「梨里奈さん、料理も出来るんですね」
「あぁ、私は大体の事は出来るからな。
まどかも料理はするのか?」
「はい、良くお父さんのお手伝いをしてます」
「む? お父さんが家事をしてるのか?」
「はい、お母さんが仕事をして
お父さんが家事をしてます」
ほぉ、主婦ならぬ、主夫と言う奴か。
そう言う話を聞くには聴くが
本当に男の人が厨房に立つことがあるんだな。
私の考えは古いからなのか
料理は女性がする物としか考えてなかった。
そもそも、母からは常にそう教わってきたしな。
「凄いな、私には想像も出来ない」
「そうなんですか?
私は普通だと思ってましたけど」
やはり家がそうだと、それが普通だと感じるよな。
生まれたときからそうなら、それを疑わない。
私も同じ様なところもある。
「それが普通だと思えば普通って感じるよね。
因みに私の家はお母さんが家事をしてるよ」
「へぇ、さやかちゃんに聞いたときも
お母さんがしてるって言ってたけど。
私の家が珍しい方なんですね」
「そうかもな、少なくとも今は」
これからは、その常識が逆転するかも知れない。
結局、常識というのは集団の行動で決る。
とは言え、私は逆転しないで良いと感じるが。
少なくとも私は女性が家事を熟すと教えられて
今まで生きてきた立場だし
私も厨房に立つことに抵抗はないからな。
むしろ、料理を作るのは楽しいと感じてる。
誰かに私が作った料理を食べて貰って
美味しいと言って貰えるのは嬉しい。
「だがまぁ、今回は良い経験になるだろう。
普段交流があっても、ここまで親密に
誰かと交流することは珍しいからな。
ましてや、複数人と寝泊まりと言う経験は貴重だ。
積極的に話し掛けて、色々と学んで欲しい。
中学2年生だったな、確か」
「はい、見滝浜中学校の2年生です」
「なら、今回の経験を将来の糧にするんだ」
「はい!」
「……」
ほむらの方は少しくらい表情を見せてるな。
まどかは元気が良いのに。
「ほむら、どうしたんだ?」
「いえ、その……」
「ん?」
「私達魔法少女に……将来があるのか
少しだけ、不安になっちゃって」
「……将来はある、断言するよ。
私達はその為に戦ってるんだ。
魔法少女達の未来を作る為に。
今は、その目標を果たす前の休憩期間。
こう言う青春の思い出というのは
いざと言う時に、必ず役に立つ」
「……」
「因みにほむら、君は誰かが魔女になる瞬間を
見たことはあるのか?」
「え? あ、いや……その、いえ、ありません」
まどかの方を一瞬向いた?
まどかはほむらの視線に気付いては無いが
何故、あの場面でまどかの方を向いたんだ?
誰かが魔女になる瞬間を見たことあるか
と言う問いに対し、何故、無事なまどかを?
少し私から目を逸らせばまどかが居るから?
返答に困り、まどかに救いを求めたなら分かる。
だが、あの場面で返答に困る要素はないだろう。
見たことが無いなら、見たこと無いと言えば良い。
それなのに、まどかに助けを求めるか?
今まで、普通に会話をしてたのに。
「……」
「あ、え、えっと……どうしました?」
見たことが無いだろうから
そこを起点に励まそうとはした訳だが。
……意外過ぎる反応を見せられたことで
私は色々な思考を働かせてしまう。
彼女の魔法は時間停止の魔法だった。
さて、果たして本当に時間停止だけなのか?
そう言えば、彼女の盾には砂時計があったな。
時間を止めるときは、盾が動いて
砂時計が水平になっていた。
恐らく、水平になった瞬間に時間が止まる。
水平になる前に盾を止められたら
時間を停止できなくなる可能性はある。
そして、その砂時計が180度回る可能性もある。
その場合は……時間を遡るとか?
少しだけ違和感があったんだ、彼女に。
妙に達観してるというか……
「……ほむら、君の魔法は時間停止で良いんだよな?」
「え!? あ、は、はい、時間停止ですよ!?」
「武器は何処から? 銃火器は魔法少女っぽく無いが」
「え? あ、た、盾に用意してて!」
時間停止で時間に干渉するであろう盾に武器を潜めると?
さて、時間停止でそんな芸当が出来るのだろうか。
時間を止めるだけで?
四次元空間というのが存在してるのは知って居る。
色々な説が存在してるわけだが
良く話題に上がってるのは、四次元空間は
時間であると言う理論も存在してる。
それの初出は小説だったような気もするな。
四次元空間には無限に近い空間があり
それを制御すればいくらでも道具を入れる事が出来る。
これも、有名な作品で語られ、もはや常識レベルに
世間一般に浸透してる話だ。
あの盾の裏が四次元空間だったとすれば
異常な程の収納も可能と言えるだろうが。
……時間を停止させるだけで
四次元空間を制御出来るとは思えない。
だが、隠してるというのは間違いない。
ここで深く言及しないで
後で個別に聞いた方が良いか。
「そうか、悪かったな。少し気になったんだ。
時間停止なんてかなり凄い能力だしな」
「そうですよね、ほむらちゃんの魔法は
本当に凄い魔法だなーって思います。
私なんて、治癒の魔法ですし」
「誰かを治癒する魔法は大事な魔法だ。
私も治癒の魔法が無かったら死んでたからな。
本当、弥栄と久実には感謝してるよ」
「治癒じゃ無くて蘇生なんだけどね…」
「私は再構成、でも梨里奈お姉ちゃんを
私の魔法で助けられて、本当に良かった」
「ありがとうな、2人とも」
さて、少しだけ気になる要素が出てきたわけだが
ひとまずは料理を用意しないとな。
「さ、難しい話は後にしよう。
料理をしようか。まどかは私を手伝って欲しい。
多分、勉強になると思うからな」
「はい! 勉強させて貰います!」
「なら、私も勉強させて貰おうかしら」
「マミ、君も料理をするのか?」
「えぇ、私は1人暮らしだから」
「中学生なのに大変だな。
3年生だろ?」
「えぇ、色々あってね」
「そうか、なら節約料理を教えてやりたいが
今回は高級料理だからな」
「節約料理って、あなたそう言うの得意なの?」
「あぁ、何を隠そうみかづき荘でお世話になる前は
1人暮らしで、1万円生活してたからな」
「よ、よくそれで過せてたわね」
「節約術が得意だったんだ。
まぁ、今は万々歳でバイトをしてて
みかづき荘でお世話になってるから
かなり楽に生活できてる、ありがたい限りだ」
「私もあなたが来てくれて、かなり楽になったわ」
「炊事洗濯は何でも私に任せてください。
裁縫だろうと勉強だろうと、何でもね」
「本当に頼りになるわ」
そんな会話の後、私達は料理を始めた。
いつもと違って高級な食材を使っての料理。
今までとは違う手応えに驚きながらも
やはり高級食材、かなり上手に出来た。
「出来たぞ」
「こりゃ、スゲー豪華だな!」
「いただきまーす!」
「あー! ズルい! フェリシア!
いただきまーす! あむ、うまぁ!」
「高級食材だからな」
「美味すぎる! これが高級食材!」
そのまま皆、美味い美味いと料理を食べてくれた。
流石は高級食材、肉が溶けるようだ。
あぁ、こんな贅沢が出来るとは、幸せだなぁ。