魔法少女の道化師   作:幻想郷のオリオン座

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少女の秘密

さて、食事の後お風呂に入った。

個室にそれぞれ風呂場があって

もうホテルかと感じてしまった。

 

更に大風呂まであるのだから驚きだ。

だが、今回は個室風呂でゆっくりした。

個室で聞きたいことを纏めたかったからな。

 

そして、風呂から出て、ほむらの部屋に行く。

 

「はい、あ、梨里奈さん」

「ほむら、聞きたいことがあるんだ。

 今、大丈夫か?」

「あ、はい、どうぞ」

「ありがとう」

 

そして、私はほむらの部屋に入った。

やはりこの部屋もベットは2つ。

流石は七美の別荘だな。

 

今回は1人1人個室になったが

その気になれば、同室で4人までは過せそうだ。

ベットの広さ的に2人は眠れるからな。

 

「さて、ほむら。私が来た理由は分かるか?」

「は、はい……私の魔法の事ですよね?」

「あぁ、あの場で隠してたって事は

 周りに知られたくないんだろう?

 だから、こうやって個室に来た訳だ。

 さぁ、教えてはくれないか? 君の魔法を。

 私の予想では、君の魔法は時間操作だが、どうだ?」

「……はい、その通りです」

 

私の言葉を認めた後、ほむらは魔法少女に変身。

そして、私に腕の盾を見せてくれた。

 

「私の魔法はこの盾で使う事が出来るんです。

 この盾の砂時計を水平にすれば時間停止。

 そして、この盾を180度回すと時間遡行。

 これが、私の固有魔法です」

 

やはり時間操作か、だから盾に武器を収納できる。

 

「何故、それを隠してたんだ?」

「……私の言うことなんて信じてもらえないかもって。

 それが、恐くて。変な事を言って

 嫌われて、また独りぼっちになるのが恐くて……」

「そうか」

 

また、と言う事は過去、彼女は独りぼっちだったのか。

そして恐らく、まどかに救われた経験があるのだろう。

だから、妙にまどかに依存してるように思えたのか。

 

「まどかに救われた経験があるんだな」

「は、はい。私、心臓の病気を持ってて。

 学校にも通って無かったんです。

 だから、友達もいなくて……

 私、とても気弱で後ろ向きな性格だったんです。

 

 でも、何とか病気も治って、退院して

 すぐに見滝原中学校に転校したんですけど。

 すっと寝たきりだったから、勉強にも運動も駄目駄目で

 よく、陰口を叩かれ、ずっと疎外感を感じてて……

 体も弱くて、良く保健室に行ってたりもしてたんです。

 

 だけど、保健委員だったまどかだけは

 どんな時も、優しく接してくれて。

 

 とても、とても嬉しかったんです!

 その後、私は魔女に襲われそうになったんですけど

 魔法少女に変身したまどかに助けられたんです。

 

 この事がきっかけで、まどかと友達になったんです。

 私に取って、初めての友達で……嬉しくて」

 

まどかの話をしてる彼女の表情は明るい。

だが、何処か暗い物が見えるのも事実だった。

 

「その後、まどかは……ワルプルギスの夜と戦って

 命を、落としてしまったんです」

「……」

「その時は私はまだ魔法少女じゃ無くて」

「そして、まどかを救う為に魔法少女になった」

「……はい」

「で? 今は2回目なのか?」

「いえ、その……実は3回目なんです」

「2回目は?」

「……まどかがワルプルギスの夜を倒すために

 魔法を過剰に使って……魔女になって」

「すまない、辛い事を聞いてしまったな」

「い、いえ」

 

だから、彼女はあの時まどかを見たのか。

彼女は既に仲間が魔女になってしまった瞬間を見た。

よりにもよって、大事な親友の……か。

私だったら……私だったら。

 

「……」

 

私だったら、その魔女を殺したんだろうな。

恐らくあの夢で見たとおり、私は苦戦しながらも

親友の魔女を殺す事だろう。

 

「でも、今回はワルプルギスの夜を倒せました。

 梨里奈さんのお陰だけど、まどかが

 ワルプルギスの夜を倒すために死ぬ必要も無く。

 でも、まだまだ課題があった。

 

 考えられなかったんです。私、そこまで。

 ワルプルギスの夜を倒せば良いって思ってて。

 でも実際は違った……まどかを魔法少女にしない。

 それが、まどかを救う唯一の方法だった。

 だから、もしかしたらこの時間軸でも

 私はまどかを救えないんじゃ無いかって」

 

だから、あんな風に不安な表情を見せた。

既に2回も親友の死を目の当たりにしてしまったから

更に希望に溢れた未来を見ることが出来なかった。

 

何度も希望を見せて、絶望に突き落とされてた。

だからこそ、彼女は未来へ不安な思いがあった。

それが、あの反応だったという訳か。

 

……希望を見せたと思ったら、絶望へ叩き落とすか。

魔法少女と魔女の関係も近いのかもしれないな。

もしそうなら、希望に対して絶望が生じるのか?

分からないな……

キュウべぇに聞いた方が良いかもしれ無い。

 

「なる程、だから将来に不安があったと言うわけだな」

「はい、将来なんてあるんだろうかって、思って……

 だって、私達は魔法少女、いつか魔女になる。

 神浜の自動浄化システムが世界規模になっても

 本当にそれで私達は救われるのかも分からない」

「……ほむら、良い事を教えよう」

「え?」

「私達はきっと魔法少女じゃ無くなる」

「どう言う」

「私がそうする、私達がそうする。

 魔法少女を本当の意味で救うには

 私達が魔法少女じゃ無くならなければならない。

 そうじゃ無ければ、自らの祈りにより

 幸せを断たれた魔法少女達が救われない。

 身近で言えば、さなだ。彼女が救われない」

「さなさん……どうしてですか?」

「さなは透明人間なんだ。

 同じ魔法少女なら、彼女の姿が見える。

 だが、魔法少女以外は彼女が見えないんだ」

「え?」

「だから、彼女は家族にも見えない。

 同じ魔法少女以外に彼女は認識されない。

 彼女以外にも自らの祈りが枷となり

 幸せを手繰り寄せる事が出来ない

 そんな魔法少女は多いだろう。

 だから、私達は魔法少女である事を

 辞めなければならないんだ」

「そんな事が、出来るんですか?」

「あぁ、きっと出来る」

 

私達が考えた全ての魔法少女を少女に戻す計画。

まだ、宇宙のエントロピー問題にまでは

着手できてないとは言え、道筋は出来ている。

必ず成功させてみせる。

 

「だから、改めて君に協力を願おうと思う。

 私達は神浜での戦いでこれから動きにくくなる」

「は、はい、聞いてます。その為のお休みで

 今回、この海水浴に来たんですよね?」

「あぁ、だから君達には

 別の方向で協力して欲しいんだ。

 時間に余裕があったあらで良い。

 神浜と見滝浜以外の魔法少女を説得して欲しいんだ」

「え?」

「まどか達にも何処かのタイミングで伝えるつもりだったが

 君には今、伝えておこうと思ってね。

 神浜の戦いは対人が得意じゃないとかなり不味い。

 君達は当然、かなりの実力があるのは分かってるが

 奴らに目を付けられたら面倒だろうからな。

 だから、君達は神浜以外の魔法少女の説得をお願いしたいんだ」

「で、でも、私なんかの話を、信じて貰えるなんて」

「大丈夫だ、信じて貰える。自分に自信を持つんだ。

 君と君の仲間達なら出来る」

「……」

「詳しい話は海水浴の何処かで

 君達5人に一緒に伝えようと思うから

 今は自分の気持ちを整理しておいてくれ。

 今まで誰かと交流する機会が少なかった君には

 かなり酷なお願いになるかも知れないからね」

「……はい」

 

これ以上は止めておいた方が良いだろうな。

折角の海水浴なんだ。

1人で心の整理をしておいた方が良いだろう。

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