魔法少女の道化師   作:幻想郷のオリオン座

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見滝原の魔法少女

不意に姿を見せた初めて見る魔法少女。

彼女は笑顔を見せているが、敵意がむき出しなのが分かった。

 

「私は巴マミ、見滝原の魔法少女よ。

 あなた達、魔女と一緒に居て良く平気でいられるわね。

 妙な結界があると思って入ったら思いがけない収獲だったわ」

「笑顔で随分と敵意を剥き出しにしてくるわね」

「えぇ、そうね。でもそれは、そこの魔女さんだけによ」

「……わ、私、ですか…?」

 

確かにいろはが出したのは魔女に酷似していた。

だが、いろはが魔女では無いと言う事位、私達は分かっている。

どんな方法であんな存在を出したのかは分からないが。

唐突に出て来た相手に明け渡すほどに私達は薄情じゃない。

 

「白々しいわよ、まさか人に紛れている魔女が居るなんて思わなかったわ」

「何を勘違いしてるの? ここに居るのは全員あなたと同じ魔法少女よ」

「だけど、その子は違うわ」

「……随分と思い込みが激しいな。一目見ただけで判断とは軽率な」

「あら、私は本当の姿を見たの。勘違いをして居るのはあなた達の方よ」

「このー、好き勝手言って! いろはちゃんは何もしてないでしょ!?

 最強で優しい魔法少女由比鶴乃も怒ったぁぁあ…

 うぅ、魔力が減って力が出ない…」

「本当、一難去ってまた一難…魔法少女を相手にこれ以上消耗したくないわね…」

「やちよさん…私が行きます」

「だめよ、環さん」

「4人を前にしてあの余裕、きっとただ者じゃない筈よ」

「でも、あの人が狙っているのは私だけです

 それに、今は私が1番魔力が残ってますから」

「気の利いたことも言えるのね」

「……いろは、私はまだ動ける…一緒に戦おう」

「でも、梨里奈さんも消耗が…」

「大丈夫だ、スタミナには自信がある」

 

今はスタミナよりも、肉体の方が限界に近い。

だが、いろは1人では恐らくあの魔法少女には勝てないだろう。

 

「2人掛かりでも問題無いわ。でも、後悔しても遅いわよ」

「リボンが銃に…この人、凄い魔力の扱いになれてる」

「さぁ、食らいなさい」

 

マチェット銃という奴か……だけど、弾道は。

 

「な!」

 

私はマチェット銃の弾道を予測、その場所に短刀を展開して弾いた。

 

「梨里奈さん…銃の弾道を」

「防御は私に任せろ、いろは、お前は攻撃をしてくれ」

「はい、分かりました」

「く!」

 

彼女が放ってくる銃撃を、私は再び短刀で防御した。

その間にいろはが後方から援護射撃を行なう。

今の私はあまり派手には動けない。だからこう言う形で援護するしかない。

魔力の方はまだ余裕があるからな、肉体的に限界が近いだけだ。

 

「あなた、中々やるわね。でも、これならどう?」

 

いくつものマチェット銃が展開される。

だが、弾幕を防ぐ為に必要な情報は僅か。

 

「梨里奈さん危ない!」

「はん!」

「な!」

 

私は自身を中心に短刀を展開、私といろはに飛んで来た弾丸を弾く。

 

「無駄撃ちは目眩まし。本命は僅かと決っている」

「……弾いた弾丸が仲間に跳弾しないように展開している…

 驚いたわね、ここまで器用な真似が出来る何て」

「えい!」

「く!」

 

私は防ぎ、いろはが攻める。攻撃と防御をハッキリと差別化することで

お互いがお互いの役目に集中できる。

これが2人居るという強み。1人では役割分担が出来ないからな。

 

だから、攻撃も防御もどうしても中途半端になってしまう。

 

「怨まないでくれよ、見滝原の魔法少女。

 私達は既にボロボロだ、こんな状態じゃなければ1対1でも戦ってやるんだがな」

「あなた何者? これだけの実力を持つ魔法少女は初めて会ったわ。

 そしてなんで、あなたはその魔女さんに肩入れをしているの?」

「魔女だと思っていないからさ」

「強情ね、でも攻略法はある物よ!」

「その行動、予想してないと思ったか!」

 

彼女が飛ばしてきていたリボンを私は断つ。

彼女はリボンをマチェット銃に変化させていた。

なら本来の魔法はリボンを扱った魔法なのかと予想した。

リボンを戦闘に使うとした場合、本来なら拘束に用いるはず。

 

「これは驚いたわ。でもこれはどうかしら!」

 

彼女が巨大な銃を手元に出す。

 

「出来れば使いたくは無かったけど、仕方ないわ。

 ティロ・フィナーレ!」

「な、なんですかあれ! 逃げないと!」

「それなら、これだ!」

「く!」

 

私は彼女の足下に大量の短刀を瞬時に召喚し、あの巨大な銃口を上に弾いた。

 

「まさか、そんな技まで…」

「…驚いたわ、ここまで強いのは」

「はぁ、はぁ…諦めてくれるか?」

「でも、流石のあなたもかなり辛いみたいね。

 前に戦闘があったらしいわね、それがなければ私に勝ち目は無かったかも知れない。

 でも、手負いのあなたなら倒せるわ。このまま押し切らせて貰う!」

「まだやるか…」

 

流石に辛いな…これ以上の戦闘は出来れば避けたい。

 

「これで終りよ!」

「っく! ん?」

「ったく、神浜の猛者が雁首揃えてどう言うことだ?

 傍観者を決め込むなんて泣けてくるよあたしは」

「ももこさん!」

「よっ、いろはちゃん、梨里奈」

「どうしてここに?」

「ちょいと4人のお手伝いに来ただけさ。

 そしたら、このザマだからね今週のビックリドッキリNo.1だ。

 で、そこの2人はなんで突っ立てるんだ?

 …って、よく見りゃなんでボロボロなんだよ!」

「既に戦ってきたからよ…」

「私も魔力がカラカラだよ…」

「おいおい、まさか、お前が…!」

「え!? ちょっと待って、それは誤解だわ!」

「と言っても、この現場を見た以上はさ

 こちとらはいそうですかって納得出来ないんだよなぁ」

 

確かに連戦になって、ボロボロになっているとは思えないだろう。

とは言え、あの2人が彼女に遅れを取るとは思えないけど。

確かにあの少女はかなりの実力があるが、あの2人が手を組んで戦えば

負けるほどに突出して強いわけじゃ無いと思う。

 

「くっ…あの魔法少女だけでも厄介なのに新しい魔法少女は流石にキツいわね。

 ここは大人しく引いた方が良さそうね…」

「事情はよく分からないけどさ、消えるならさっさと消えてくれ。

 5秒だけ我慢してやる」

「覚えておいて、私はあなた達の敵じゃないわ。

 私の敵はここに居るただ1人…人に化けた魔女だけよ」

「……」

「それじゃあ、失礼するわ、また会いましょう」

「今の彼女、見滝原の魔法少女って言ってたわよね

 そんな遠くの街の魔法少女が、どうして神浜市に…

 勘違いしたままだから、今後も気を付けた方が良さそうね」

「はい…」

「よし、それじゃあ、ソウルジェムを浄化してからウワサの調査に行くとするか」

「それもう終わったよー」

「なっ、うそだろ!?」

「流石タイミングの悪さは一級品ね」

「うぐっ…」

 

とは言え、あのタイミングで来てくれなかったらどうなってたことか。

全く失敗した方に最初に目が行くとはな。

 

「落ち込むなよももこ、ももこが来てくれなかったら

 私達、どうなってたか分からなかったんだから」

「そうですよ、ももこさん。助けてくれてありがとうございます」

「あぁ、うん、どう致しまして。

 ただ、やることもないみたいだし、あたしは帰るわ

 いろはちゃんもあんまり遅くなりすぎるなよ?」

「え? あっ…こんな時間…!」

「……げ、もう21時近いじゃないか…はぁ、帰ってる間に

 確実に21時を過ぎるな…」

「環さんは帰っちゃ駄目よ」

「ふぇっ!?」

「環さんは私に伝えたい事があるそうだからね」

「でも、お母さんに怒られちゃいますよ…」

「大丈夫よ、私が説明するから」

「はい、スマホ貸して」

「えぇ!?」

 

それから、やちよさんはいろはのスマホで母親を説得したようだった。

とは言え、私は特に呼ばれなかったし、すぐに家に帰った。

……七美のあの言葉が気になるが、今日はもう寝よう。

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