うーん、結局あれから1週間か。
よく分からないまま時間が過ぎる。
やちよさん達と合流してウワサを調べるという事にしたが
私はひとまずマギウスを探ってみることにした。
やちよさん達がウワサを潰そうとしているのは
マギウスの翼をあぶり出すためみたいだからな。
なら、本来の狙いはマギウスの連中なのだろう。
となれば、ウワサを潰すやちよさんチームと
マギウスを探す別働隊として、私は別行動の方が良いかも知れないと判断した。
この考えはやちよさん達に伝え、了承して貰った。
ウワサを追えばマギウスにたどり着くとすれば
マギウスを追えばやちよさん達とその内合流するかも知れないしな。
マギウスへの奇襲も可能かも知れないと考えれば割りと良いだろう。
問題はマギウスが私の動きを警戒しているかも知れないと言う事だ。
付け狙ってる可能性もあるから気を付けないと。
一応、何かあったら合流するように約束してるからな。
マギウスの本拠地を見付けたり、活動を発見した場合も連絡をする約束だ。
1人では危険だからと協力したのに単独行動では意味が無いからな。
「……ふむ」
一応、マギウスの手がかりは無いかと考え
やちよさんが書いていた神浜ウワサノートから
ウワサの出現位置を地図に書き記して回ってみることにした。
なんか違和感のある配置が多い気がするが
やちよさん達は別のウワサに用があるらしい。
電波少女…そのウワサを探しているらしい。
「ここに噂があってと」
身を隠しながらウワサの場所を探る。
何カ所かに黒羽根の姿があったが死角が多い。
ちゃんと見回りをして居るのか?
この程度の相手なら奇襲を仕掛けて意識も奪えるが
恐らく尋問してもあまり意味は無いだろう。
そんな翼の1枚1枚に本拠地を教えていれば
必ずボロが出るからな。そんな馬鹿な真似はしないはずだ。
「……しかし、東に行けば行くほどウワサが増えるのは不思議だな。
東にも魔法少女がいるらしいと言う話は聞いたけど…しかしこの地図。
妙だな…東の方は話を聞けないらしいが…うーん」
1箇所だけ台風の目の様に穴が開いている。
それと東に行けば行くほど増えている噂。
案外、東のウワサと合併させた場合、西の方がウワサが多い状態になるのだろうか。
だとすれば、最悪同士討ちの可能性も発生したかも知れないな。
仲が悪い状態だったらしいし、あり得るだろう。
この分布を見て、東から噂が流れているなら東の方がウワサが多い。
つまり、東から噂が流れてきている。だとすれば東が元凶か? と言う発想。
そんな発想に至ってしまったら東との戦争もあり得たかも知れない。
西も同じ様な分布になっていれば西から来ていると誤解する可能性もある。
そうなれば西と東で消耗戦が発生した…可能性があった。
この1箇所、この台風の様な目が無ければそんな発想に至ってた可能性まであるだろう。
「……まぁ、マギウスの狙いが魔法少女の解放という奴だとするなら
魔法少女同士が殺し合う可能性は潰したかったのかもしれないがな」
しかしなぁ、この分布は少々露骨すぎると思う。
いくら何でもここに来て下さいと言ってるような物だろう。
もし西と協力してウワサをまとめて同じ様な分布になったとすれば
どう考えても罠だ。ここまで露骨すぎる罠を張るなんてね。
こんな罠に引っ掛かるなんて事あり得ないだろう。
よっぽど切羽詰まっている状況じゃ無ければ絶対にあり得ない。
時間が惜しかったり、よっぽど心の余裕が無い状態じゃなければ容易に看破できる。
「ウワサの分布からマギウスの本拠地を探すのは難しいかな」
……なら、確定しているマギウスの情報を探って見るとしようか。
確かアリナだったか、あいつは有名人らしいじゃないか。
やちよさんも名前を知っていたし、調べれば情報は出てくるはず。
「えっと、アリナ…」
……うーん、分からないな。でも、地区の風貌から分かるかも知れない。
アリナは自分のドッペルを作品とか言っていたように思える。
そして、やちよさんの情報から芸術家である事は確定している。
だとすれば、最も有力な候補はこの栄区。
ここは芸術の地区だという風に書いてある。
ひとまずここを探るとしよう…見付かると良いがな。
「っと、ここが栄区か」
結構遠いな…とは言え、複数人で移動すると行動を気取られるかも知れない。
さて、ここのウワサは…記憶ミュージアムのウワサとかか。
このウワサを調査するのは後にして、今はマギウスの情報を探そう。
流石にウワサの調査を単独で行なうのは危険だからな。
マギウスの情報を探す方がもっと危険だが、ウワサに近寄らなければ分かりにくいだろう。
私達がウワサを狙っているという情報は、ある意味では良い隠れ蓑になる。
ウワサの近くには恐らく黒羽根が居るだろうし、避けて通らないとな。
「…賞を取ったという学生を知りませんか?」
「賞?」
私は一般の人達に聞き込みをすることにした。
私は年齢的には高校1年生だからな。
最近引っ越して来て、ある芸術家の話を聞いた。
その芸術家は高校生なのに凄い賞を取ったと聞いたんですが
その人に一目で良いから会ってみたいんです。
会って、色々と話を聞きたいのですが栄区に居ると聞いた程度の知識しか無いので
教えて欲しいんです…こう聞いて回ったら彼女の話を聞くことが出来た。
「えっとね、アリナ先輩は私の先輩なの」
「せ、先輩なのか…」
「うん! 色々と絵を教えて貰ってるの」
「そうか」
どうやら、かなりの大当たりを引いたが…同時に危険でもあるな。
だが、彼女のお陰でアリナが通っている学園が栄総学園だとしれた。
同時に彼女から、アリナの作品の情報も知ることが出来た。
争いのない完成品。これがどうやら賞を取ったという作品らしい。
「……栄総学園」
ここがこの栄区の教育機関か…恐らくアリナが居るのはここだな。
だが、あのかりんと言う少女の話では、今は居ないという。
それはそうだろう。休日だからな。居る訳がない。
インタビューが狙いなら居場所を特定しようと動くんだろうがな。
ひとまずは場所が特定できただけで満足だ。
さて、アリナが居ると思われる学園は特定できた。
この付近にマギウスの本拠地があるかも知れない。
「……居ないか」
時間は夕暮れ…流石に探しても見付からなかった。
私は栄区から出る為に駅へ移動する。
全く困ったな…推測が外れた…何処に本拠地があるんだ?
「……うーん」
ウワサの地図に目を移す。1箇所、妙にウワサが集中している場所に目が行った。
……だが、これも後だな。ひとまずもう1つ想定した場所を探して見よう。
東側にも西側にも属していなかったという中立地帯。
隠れ家にするには丁度良い場所かも知れないしな。