…早くいろは達に合流しないと行けない。
当然さなを救い出そうとすればうわさは暴走する。
それがうわさという存在だと言う事はこれまでで理解した。
それだけならまだ良い。あの2人の実力は未知数だが
いろはの実力は十分あると思う。
しかし少し不安要素があるにはある。
あの3人…前衛とか居るのか? そう言えば居ない気がする。
いろはがクロスボウ。まどかは弓。ほむらは…銃火器だったな。
あの銃火器、魔法的要素が無いがどうやって召喚したんだろう?
と言うか、何か見た目が現代兵器そっくりだった気がする。
……魔法なんだろうかあの銃火器…本物だったりしないか?
とか思ったが、魔法で作ろうと本物だったとしても凶器は凶器。
私の短刀だって魔法で作ってるが、本物より凶器だしな。
いや、そんな事はどうでも良い。こんな状態で何を考えてるんだ私は。
今は急がないと…いろは達は全員後衛じゃ無いか。
私が抜けたら、誰がうわさの足止めをするんだ?
やちよさん、鶴乃、フィリシアの誰かが居れば前衛をやってくれるが
あの3人では、誰1人として前衛役が出来ない…全員後衛は不味い。
とにかく急いで合流しないとうわさに競り負ける可能性もあるぞ。
近付かれたら不味いんだし、急いで探さないと。
「いろは! まどか! ほむら! 何処に…んな!」
必死に探していると、倒れている3人の姿があった。
そしてその3人の近くには…アリナの姿が見えた。
「アリナ…マギウスのトップがどうしてここに…」
「…へぇ、あなたもここに来てたんだ。これはグッとタイミングだヨネ」
「り、梨里奈さん…」
「そこで動かないでよ。もし動けば分かるヨネ?」
……アリナの近くにはいろは達が倒れている。
この状況であいつは私に動くなと言った…この意味は容易に理解できた。
動けば仲間達を殺す…あいつは口には出さないが、そう言っている。
「ほら!」
「うぐ!」
彼女の魔法によるレーザーが私に当る。
大きな針に刺されたかのような痛みが私に走った。
「ほらほら!」
「う…ぐぅ!」
「梨里奈…さん!」
うぅ…動けないというのは…辛い。
限界突破を最大に使用し、一気に接近するか?
だが、アリナが私に反応するよりも早くに接近できるか?
「さぁ、フィナーレはアリナのドッペルで!」
彼女からあの時見たドッペルが現われた。
「動くことが出来ない状況じゃ、どうしようも出来ないでしょ?」
「…うぐぅうう!」
「り、梨里奈…さん!」
動けない状態で私はドッペルの攻撃を受けてしまった。
さ、流石にこの一撃は…重い…
死ぬまでは行かなかったが…満足に動けない…
「あはは! 生きてた! 随分と頑丈だヨネ」
「く…ぅ……」
このまま攻撃を食らい続けたら…流石に持たない…どうにかしないと。
このままじゃ、全員全滅する…一緒に行動出来ていれば、こんな事には…
「あっはは! さぁ、もっと痛めつけてあげないと」
「わ、私も…戦う…! やっぁああ!」
いろは達が倒れている中、1人だけ無傷に近かった盾を持った少女。
恐らく彼女がさな…その彼女がアリナへ攻撃を仕掛けた。
自信の無さそうな表情だったが、彼女は勇気を出しアリナに攻撃をする。
「あんたは出て来なくて良い、今最高に楽しいシチュエーションなんだから」
「あぅ!」
だが、彼女はあっさりと反撃を貰い少し動けなくなった。
だが、彼女が作ってくれたこの一瞬の隙は私達の運命を変えるには十分だった。
「私を相手に…よそ見はしない事だ!」
その一瞬の隙を見て、私は固有魔法を発動し一気に間合いを詰める。
「嘘! うあぁ!」
一気に接近をした勢いをそのままに、私は彼女を強く蹴り飛ばす。
アリナは私の強襲に反応出来ず、吹き飛ばされ転がった。
お陰でいろは達から距離を取らせることに成功した。
「く! アリナの攻撃をあれだけ受けた上にドッペルも食らった筈なのに動けるとか
あり得ないと思うんですケド!?」
「限界を越えるのが私の魔法だ…お前の目には私が限界に映っていただろう。
だが、私に限界はない。とは言え、さな…
彼女の助けが無ければたどり着けなかった。
ほんの一瞬の隙…作ってくれてありがとう」
「……あ、えっと」
「3人とも…動けそうか?」
「うぅ、り、梨里奈さん…私達より、あなたの方が…」
この状況で私の心配をするのか…優しいな。
「ふ、その状態で私の心配をしてくれるのか…いろは、お前は優しいな。
安心しろ…私は大丈夫だ……お前は自分とまどか、ほむら、さなの心配をしろ」
「本当…あんた異様に強すぎて嫌なんですケド?
ことごとくアリナの傑作の邪魔をして…ふざけないで欲しいんですケド!?」
「他人を巻き込む作品を書くなら覚悟位はしておけ。
全員がお前の作品が好きなわけじゃ無いんだぞ?
それと、他人を作品に巻き込むなら許可くらい取れ、礼儀だろ?」
「はぁ!? ワケ分からない事言わないで欲しいいんですケド!?
アリナは傑作を作ろうとしてるの、アリナは自分がやりたいことをやってるだけなんだけですケド!?」
「なら私は私がやってるだけだ。お前の作品には興味は無いし
お前の作品の一部になってやるつもりも無い。
私を巻き込んだことを1人後悔しろ!」
「チ! アリナの邪魔すんナ!」
彼女は確かに芸術家としては素晴らしいのかも知れない。
自分の思いの丈をぶつけると言うのは芸術作品を作るには必須だろう。
それ位は理解している…彼女ほどに自分勝手な作家の方が
最高の作品を描けるのかも知れない。でも、私には関係ない。
「まぁ、これだけは覚えておけ。万人受けする作品は作れない」
「うぐ!」
一気に接近し、もう一度彼女に攻撃を仕掛けた。
私の攻撃を受けたアリナは、少し息が荒くなる。
「お前の作品は私に合わないし、お前がしてる事は気に入らない。
だから、邪魔させて貰うよ。邪魔されずに作品を書きたかったら
誰にも干渉しないで、自分の居場所で黙々と自分だけで作品を書いておくことだ」
「本当邪魔だよネ……あんたって!」
「そうだろうな、私もお前は邪魔だと思ってる」
「だから、もう一度溶けろ!」
もう一度ドッペルを…く、全く何度も何度も!
「そして、あんたはこの攻撃、どうするか見物だよネ。
あんた1人ならこの攻撃は避けれるかも知れないけどサ。
アリナのドッペルによる範囲は後ろの4人も巻き込むヨ」
「……」
確かにその通りだ、私はアリナのドッペルは回避が可能だ。
だが、いろは達は…このドッペルを避けきることは困難。
更にいろは達は既にこのドッペルによる攻撃を受けている。
いくら何でも2発目は耐えきれない…全滅もあり得る。
4人を射程外に逃がすのが最善策なんだろうが
4人は動きが速いわけではないから範囲外に走って逃げる事は出来ない。
だったらどう対処すれば良い? …選択肢は1つだけ。
結構危険だが、発動前にドッペルを止めるしか無い!
「やれる事は…これしか無い!」
自身の固有魔法を再度発動し、アリナに接近した。
「まさか!」
「発動前に止めさせて貰う!」
「うぅ!」
私の攻撃はアリナに当った。だがアリナのドッペルによる攻撃は私に全て直撃した。
僅かに発動した、至近距離にしか範囲は届いては居なかったが
その範囲に私は入っていた…だが、いろは達は…これで大丈夫だ…
「あ…ぐぁ…」
「り、梨里奈さん!」
「本当…クレイジーなんですケド…」
い、意識が…流石に2発も食らったのは痛すぎた…
「くぅ…い、いろは…い、今のうちに…うわさを…」
「わ、分かりました…3人とも…今のうちに!」
「は、はい!」
いろは達はアイとの戦闘を始めた…その間、私は動くことも出来ず
ただ傍観することしか出来なかった…情けないな…全く。