暴走する名無しの人工知能。4人は必死に交戦している。
ボロボロの状態であいつを相手にするのは辛い。
本来なら、勝てる見込みすら見えないはずだった…
だが、アイの必死の抵抗…そのお陰で勝算が見えている。
「あ、あ」
「不味い!」
あまり動ける状態じゃ無いのに、アイの攻撃はいろはを狙う。
私は咄嗟に短刀を召喚し、投げる事でその攻撃を防ぐ。
「あ、ありがとうございます!」
どうも決定打に欠けている…追い込まれている状態だから仕方はない。
だが、このままだとジワリジワリと追い込まれるのがオチだろう。
アイの援護があるとは言え、このままじゃジリ貧になってしまう。
それだと、既に激しく消耗しているいろは達は魔力が尽きる。
何処かで決定打を叩き込む必要がある。
だが、強力な攻撃には大きな隙が付きものだ。
今のままでは決定打を与える隙が無い。
誰かが大きな隙を作らないと……いや、誰かじゃない
私がやらないと…動ける状態じゃないが、技は使える。
「……よし、私が隙を作る。その間に仕掛けてくれよ!」
「え? あ、はい!」
私は地面に手を当て、大量の短刀を召喚し
蛇のように這わせる。汎用性が高いよな、この技は。
動く必要は無いんだから、遠距離でも大打撃を狙える。
「な、何あれ…武器が蛇みたいに!」
「梨里奈さんの技だよ…名前は無いみたいだけど」
「巴さんのティロフィナーレみたいな技でしょうか…」
「構えろ!」
私の召喚した蛇はアイの元へ接近し、弾けてアイを串刺しにする。
蛇のまま相手を貫く訳では無く、弾けて串刺しにする回避が難しい技。
結構強力な技だが、うわさにトドメを与えるには軽いだろう。
「いろはちゃん、あの時みたいに一緒に攻撃しよう」
「うん、そうだね!」
私の攻撃でアイが大きく怯んだ隙にいろはとまどかは同時に攻撃を仕掛けた。
うわさはその同時攻撃で大きく怯み、更に隙を生んだ。
あと1歩だ…ダメ押しの一撃が欲しい。
「さなさん、私の手を握って」
「あ、はい」
ほむらとさながお互いに手を握ると同時に一瞬でアイの元に姿を見せた。
何だ? 1歩も動いた様な素振りは無かったのに…
「えい!」
「この…やらせるわけにはいかないんですケド!」
「アリナ!」
さなに向ってアリナの攻撃が飛んでいく。
いつの間に目を覚ました…この一撃を逃せば勝算がない!
アリナも目覚めてしまってるし、この隙にアイを仕留めきれなければ競り負ける!
このチャンスは逃せない…このチャンスだけは!
「うぐぁぅ!」
「梨里奈さん!」
「アリナの邪魔するなって何度言えば分かるの!」
「何度……言っても…無駄だ…」
アリナの攻撃を受け止めて少しして、周囲の雰囲気が変る。
電波のような、何処か分からない世界から暗く星が見える景色に変った。
「あ、いろはちゃーん!」
「良かった、転送されてきて安心したわ
何とか無事みたいね…状況はかなり不味そうだけど」
「梨里奈ちゃん大丈夫!?」
「梨里奈の傷も気になるし…見たことが無い顔が2つほどある。
状況的にいろは達と一緒に居るのがさなで梨里奈の前にいるのは敵ね」
「まさかこんな事になるなんてネ……あのうわさの結界…良い魔女の隠し場所だったのに」
「アリナ…さん」
彼女の言葉の直後に大きな反応を認識することが出来た。
こんな魔女…何処に居たんだ? 相当強いぞ。
「アリナ…じゃあ、あなたが梨里奈が言っていたマギウス…」
「皆アリナの事知ってるのワケ? それなら無駄話は無しで良いヨネ。
アリナ的に魔女の隠し場所をリサーチしないといけないワケ」
「マミさんは…? マミさんを返して!」
「えさにしたから無理だってさっき話したと思うんですケド
アンダースタン? 理解してる?」
「ほんとに…巴さんが…こんな所で…?」
そんなに返して欲しいワケ?」
「当たり前だよ! 大切な先輩だもん!」
「じゃあ、返してあげてもいいケド
原型が無くなってたらごめんね?」
「そんな言い方…」
「ごめん、わたしちょっと耐えられないや」
「でも、正直言うとネ、今はその先輩の心配をしてる場合じゃ無いと思うの。
だって今は」
私の身体が動かなくなった…何だ!?
「何を!」
「アリナの結界でこいつを捕まえてるの
折角だし、こいつも魔女のえさにしようと思ってネ。
アリナを散々邪魔したんだし、当然だヨネ」
「そんな! 梨里奈さんは今ボロボロなのに!」
「急いで助けるわよ!」
「させない」
「黒羽根!」
「これより先には行かせる訳にはいきませんわ」
黒羽根達…やっぱり結界の中に散らばって待機してたのか…
アイは自分が消えた際に、中に居る存在全てをここに転移させたと…
「さぁ、美味しく食べられちゃってね?」
「……後悔するぞ?」
「そんなボロボロで何言ってるんだか、それじゃあね」
私の視界が再び変化した…魔女の結界の中…か。
使い魔達が一斉に私に向って攻撃を仕掛けてきた。
ボロボロの状態で強力な魔女と戦う事になるなんて…でも、やるしか無い。
「……ち!」
蝶に棒やら何やらを付けたような見た目の使い魔か。
フラフラと動いて、何だか気持ちも悪いな。
「うぅ…」
しかし…ただの使い魔でもこれだけ厄介とは…ボロボロなのは重すぎるハンデだ。
ふぅ、しかし…結界の中には入れたのはある意味チャンスでもあるのか。
何とかあの2人の先輩…巴マミか、あいつを見つけ出さないと。
出来れば敵対的で無い事を願うしか無い…
この状態で更に使い魔や魔女に追い込まれている状態だと言うのに
あいつと交戦となれば…勝算は限り無くゼロに近いだろう。
「ここが最奥か」
最初から魔女に私を食わせるつもりだったのか、少し進めば魔女の階層に着いた。
……魔力は十分ある。その代わり、身体はボロボロ。
こんな状態で強力な魔女と戦えだなんて…正直、容赦ない。
だが、やるしかないだろう。結局ここまでマミの姿は無かった。
この先にいることを願って…進むとしよう。