最深部…私の淡い希望など叶わなかったな。
最深部の魔女の部屋、この場所にマミの姿は無かった。
振子時計から木の根のような触手が伸びている魔女…
そして、よく分からないデザインが書いてある割れたガラス板を抱えている。
振子の重心には上下逆の唇。
攻撃を仕掛けてくるとすれば、あの触手か?
それとも、あの割れたガラス片?
あるいは振子を自在に操っての殴打攻撃か?
あの見た目から考えられる攻撃手段はこの3つだが…
相手は魔女、予想外の攻撃もあり得るかも知れない。
油断はしないでおかないと、あっさりと殺される。
ましてや、今の私はボロボロの状態だ。
一撃でもまともに受ければ、動けなくなる。
この場で助かる方法は、ダメージを食らわずに立ち回る事。
「……っ」
少しふらつく…身体も結構辛い状態らしい。
体力の限界を越える方法もあるが、今まで1度も使ったことが無い。
それ故に、どんな反動があるかが分からない…不安すぎる。
「@:@@@¥!」
「うぐ!」
足下から触手が! やっぱり触手による攻撃なのは間違いないが
まさか地面からの攻撃とは思わなかった。
だが、この攻撃は回避が出来る。触手が出てくるまでの時間が長すぎる!
「そこ!」
「@-!」
回避と同時にあの魔女に短刀を投げつけるが、ガラス片に防がれた。
あのガラス片、防御に使うのか。
遠距離攻撃はあまり効果が無さそうだという事だな。
しかし、接近するのは危険すぎる。
あの触手による攻撃や触手による攻撃もあり得る。
更には、あのガラス片も自在に動かせるなら攻撃に転ずることも可能だろう。
攻撃をする為には背後に回るしか無い。
そうすれば、ガラス片による防御と攻撃は出来ないだろう。
触手と振子による攻撃は分からないが…遠距離で攻めれば問題は無いはずだ。
「一気に!」
背後に回るため、身体に多少無理を強いて魔女の背後に回った。
「これなら、どうだ!」
10本の短刀を魔女の背後に投げつける。
勢いはそれなりにある筈。ダメージだって多少は期待できる!
「、;;+!」
「何! うぐ!」
あの魔女! 私の投げた短刀を!
まさか振子を振り回して、私の方に跳ね返してくるなんて!
さ、流石に全ては捌ききれない…何発か食らったが、致命傷は避けた!
「っく、背後も駄目か…」
あの振子が厄介だ…接近戦に持ち込んでも、あの振子による振り回しは…
流石に回避は出来ないし、一撃の威力から考えても危険すぎる。
「まいったな…これは、うわ!」
く! 振り向くことも出来るのか!
それにあのガラス片、やはり攻撃にも転用できる!
射程も振子より若干長いから中距離戦はあのガラス片による攻撃…
一撃も強力そうだ、何とか距離を取れたから良い物の
あの反撃で深い怪我を食らってたら、この攻撃で潰れてた!
「接近戦は振子による攻撃…中距離はあのガラス片…遠距離は触手による攻撃
…厄介な魔女だ……」
遠距離からの攻撃は防げるし、跳ね返す事も出来る。
こうなると、突破口は接近戦しか無い。
接近戦能力が高い相手に対し、接近戦を挑むしか無いとは…
「…万全な状態なら、一気に仕掛けられるが…」
これ以上、限界突破による速度強化は危ない。
万全であれば、一気に叩き込めるが…この状態は辛い…
「見付けた! 魔女!」
「ん!? フィリシア!?」
攻め切れないこの状況で、フィリシアが乱入してきた!
これは…反撃のチャンスと言えるかも知れない。
「あ、姉ちゃん! 大丈夫か!? 血が!」
「心配してくれてありがとう、だが大丈夫だ。
フィリシア、今はこの魔女を倒すことを考えよう」
「…あぁ! 分かった!」
フィリシアは接近戦闘に強い…だから、近付けさせれば!
あのガラス片も、恐らくフィリシアの攻撃力なら砕ける!
防御を無効化させる。次にあの振子攻撃。
あの攻撃の直後をフィリシアが叩けば!
「フィリシア、私が攻撃の隙を作る。振子による攻撃直後なら
すぐには振子による攻撃は使えないはずだ。
問題はガラス片、それを何とか出来ればいける!」
「分かった!」
ここは短刀を這わせ、一気に攻撃を仕掛けよう。
こう言う場面において、最大の攻撃がこの技だ!
動く必要が無い、遠距離集中攻撃。これに賭ける!
「やはり防ごうとするか」
私の攻撃を、あの魔女は振子を振り回して迎撃する。
今回の短刀は魔力により癒着して居るから周囲に飛び散ることは無い。
だから、この攻撃には本来高い殺傷能力は無い。
あくまで隙を作るための攻撃。倒すための攻撃じゃ無い!
「弾けたか」
振子と私の短刀、勝負は振子の方に軍配が上がった。
そもそもは攻撃の為に使用した訳じゃ無いから、この結果は分かってるし
この結果になったところで、大した痛手にはならない。
「フィリシア!」
「うおぉおおおお!」
振子による攻撃が終わると同時に、フィリシアが駆けてくる。
ガラス片による攻撃を粉砕し、そのまま魔女に接近した。
「こいつで黙らせてやる! ウルトラグレートビッグハンマー!」
フィリシア…確かに名前の通り、ハンマーが巨大化して魔女を叩き潰したが
何だその名前は…と言うか、ああ言う技には名前を付けるべきなのか?
「よっしゃー! 魔女討ち取ったり!」
「…はぁ、ありがとうフィリシア、助かったよ」
「えっへん! ま、姉ちゃんが居なかったら苦戦してたんだろうけどな。
大丈夫か姉ちゃん。怪我が酷いぞ…その怪我でどうして今まで戦えてたんだよ…
何か少しだけ怖ーよ」
「そんなの、死にたくないから。それだけだ。
それに、私には約束もあるからな、そう易々と死ぬわけには行かないのさ」
「……そっか、ん。ほら起してやるよ」
「ありがとう…成長したな、フィリシア」
「そりゃ俺だって成長するさ! 皆のお陰だけどな…」
「それが普通だ、1人で真に成長する事は出来ないんだからな」
フィリシアのお陰で、何とか助かった…本当、感謝しないとな。