魔法少女の道化師   作:幻想郷のオリオン座

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バイト

昨日の水炊きは本当に美味しかった。

私は野菜などを切る手伝いをした程度だが

それだけで満腹になれるなんて、嬉しい限りだった。

 

ひとまず、今日は朝から質素なご飯を食べようか。

昨日の食事と比べれば、本当に質素だな。

もやしだからなもやし。もやし炒め。

 

ここにスクランブルエッグもトッピングして

玄米を食べよう。ふむ、まぁちょっと贅沢かな。

昨日の食事が嬉しかったからか、少しだけ贅沢にしてしまった。

 

……しかし暑いな。そろそろ扇風機を付けよう。

来月は夏休みに入るからな、暑いのは当然か。

しかし、暑いのにはまぁまぁ慣れているつもりだったが

……都会の夏は暑いな。実家だったら川の音を聞いたりして涼めるが

ここじゃあ車の音ばかりだ、流石に多少なれてきたがな。

 

「……ふぅ」

 

流石に少しくらいは着崩しても良いだろう。

両親もいないんだ、客人も無いだろう。

1人の時位は気を緩めても良いだろう、流石に。

 

「はぁ……暑い、まぁいいか。食事を取ろう」

 

暑いのを堪えて朝食を口に運ぶ。

はぁ、しかしまだ6月だというのに、暑いのは嫌だな。

もう少し位時期が早いと思うんだ。出来れば暑い日はない方が良い。

寒い時間も嫌いだ、別に堪えるのは簡単だがな。

 

「りーりーなーちゃん!」

「……」

 

食事をして居ると、私の部屋の扉が開いた。

……あ、あれ? 客人!? こんな早朝に!

え、あれって鶴乃か!? 何でまた!

 

「向かえに来たよ!」

「え? あ、え?」

 

む、向かえに来たって…な、何か約束してたっけ!

 

「あ、ご飯食べてたんだ。ごめんごめん」

「…な、何か約束してたか?」

「いやぁ、うわさ探しをしてるし今日もするのかなってね!

 今日は万々歳も店休日だから!」

「そ、そうだな、うわさを探さないと。ちょ、ちょっと待っててくれ」

「それにしても梨里奈ちゃんの部屋暑いね! エアコン点けないの?」

「エアコンなんて、そんなの点けたら電気代が…」

「…あ、えっと梨里奈ちゃん。何食べてるの?」

「ん、もやし炒めとスクランブルエッグに玄米だ。今日は贅沢しようかと思って」

「ぜ、贅沢…?」

 

鶴乃が唖然としている…や、やっぱりこれが贅沢なのはおかしいかな…

いや、自分でも何となくそんな気はしてたんだ。

でも、認めるのは何かいやだったから贅沢だという事にしたが…

 

や、やっぱり贅沢じゃ無いかな…でも、お金が無いんだよな。

うわさを探す為に神浜を回らないといけないから電車代が馬鹿にならないし。

そうなると、節約しないといけないから仕方ないんだよなぁ。

 

「……梨里奈ちゃん!」

「何だ?」

「バイトって興味無い?」

「働いてお金を稼ぐ奴か?」

「うん! 万々歳でバイトしない! 一緒に頑張ろうよ!

 お父さんにお願いしてフェリシアと一緒に雇って貰えるようにするよ!」

「……そだな、確かにこっちは物価が高いし…」

 

こっちは野菜や肉が高いからな、仕送りだけだとちょっと間に合わない気がする。

更に電車代もかなり掛るし、こっちでバイトをするのも良いかも知れない。

 

「おぉ! じゃあ早速お父さんにお願いしてくるね!」

「ん、ありがとう」

 

後日、私は鶴乃のお陰で万々歳でバイトが出来る事になった。

万々歳では鶴乃にフェリシアの2人が居る。

人手は十分だと思うが、それでも雇ってくれたのは助かった。

ちゃんと成果を残さないとな。

 

「やぁ、梨里奈ちゃんだね、いつも鶴乃がお世話になってるよ」

「いえ、私の方が鶴乃にお世話になってますよ」

「エッヘン! 私は最強のだからね!」

「本当、頼りになるよ鶴乃」

 

鶴乃はいつも誰かを助けてるからな。

だが、鶴乃が誰かに助けを求めている姿は殆ど見た記憶が無い。

鶴乃はいつも誰かを助けてばかりで、自分は助けを求めない。

……ふーむ、ちょっと冷静に考えてみると何か引っ掛かるな。

 

「よっしゃ! 姉ちゃんも増えたし、これで万々歳も大盛況だな!」

「そうだな、盛り上げていこう」

 

しかし、外食はあまりしないから分からないが

飲食店というのは女性の雇用率が高いのか?

この万々歳は私を含めて3人も女子学生が働いてるわけだが…

 

「じゃあ、まず梨里奈ちゃんは仕込みを手伝って!」

「あぁ、分かった」

 

鶴乃の指示で、鶴乃の父親に指示を貰い、お店の仕込みを手伝った。

 

「これ位で大丈夫ですか?」

「あぁ、凄い上手だね。家で料理とか手伝ってるの?」

「私は1人暮らしでして、家ではいつも全部の家事をやってるんですよ」

「1人暮らしなのかい!? まだ学生なのに苦労してるんだね」

「いえ、両親が働いて稼いでくれているお金で過ごしてるだけです。

 苦労なんてしてませんよ。苦労してるのは、私の為に頑張って働いて

 仕送りをしてくれている両親の方ですよ」

「随分と出来た子だね、きっとご両親の教育が良かったんだろうなぁ」

「えぇ、そうですね」

 

でも、私が思うに私の両親よりもこの人の方が良い教育をして居ると思う。

鶴乃を見ていれば分かる。いつも元気で誰かの事ばかり考えてる。

すこし自分を軽んじすぎてるのはちょっと引っ掛かるが。

何だか無理をして居るんじゃないかって勘繰ってしまう。

いや、言わないでおこう。いつか質問をして見るか。

 

「鶴乃ー」

「いらっしゃい! あ、レナちゃん!」

「いつものお願い」

「任せて! 八宝菜お願い!」

「分かった」

「ん? どっかで聞いた声…って、えぇ!? 梨里奈じゃん!」

「バイトをする様になったんだ。ちょっと待っててくれ、すぐに八宝菜を作る」

 

えっと、味付けは万々歳仕様で行なうとしよう。

んーっと、確か分配はこんな程度であってるだろう。

もう少し薄味にしても良い気がするけどな。

で、塩コショウ。

 

「梨里奈って料理出来たのね…しかも超上手だし」

「おぉ! 姉ちゃんは何でも出来るんだぞ!」

「これ、フェリシア要らないんじゃ…」

「なぁ!」

「良し完成。八宝菜だ」

「は、速いわね…」

「鶴乃のお父さんも一緒にいるんだ、速いのは当たり前だろう」

「まぁね、でもお客に対して結構高圧的なのね」

「知り合いだからな、気に入らないなら敬語を使うが」

「いや、このままで良いわ、それじゃあ味を拝見ね」

 

レナが私が出した八宝菜をゆっくりと口へ運んだ。

大丈夫だろうか…上手く万々歳の味を再現できているか凄く不安だ。

 

「……あ、味が変らない」

「そうか良かった、オリジナリティーは一切無しで作ったからな。

 万々歳の味を完全に再現した八宝菜だ。

 これが中々難しくてな、絶妙な味付けが必要で

 安定してこの味を出すのは苦労するだろうと感じた。

 この味を随時安定して提供できる鶴乃のお父さんは本当に凄い」

「おぉ! 流石お父さんだね!」

「あはは、喜んで良いのかちょっと分からないな」

「で、点数はどんな感じなのかな? かな!」

「…いやまぁ、50点」

「なんでぇ!」

「この50点の味が凄いんだ! 作ってみれば分かる!

 この味付けを毎日こなせるようになれば凄腕の料理人になれるぞ!」

「本心で言ってる…わね」

「うん!」

 

この味を安定して作れる様になれれば、完璧な料理人になれる気がする。

私の夢は料理人とかでは無いが、ちょっとは得意気に……

ん、んー…しかし……私の夢って、何だろう?

駄目だ、この瞬間までそんな事を考えた事が無かったな…

まぁ良い、今は仕事だ仕事。しっかりと仕事をこなさなければな!

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