魔法少女の道化師   作:幻想郷のオリオン座

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ビーチで遊ぼう

結局あの格好のまま、しばらく過ごすことになった。

周りは慣れれば大丈夫と言うが、結局最後まで慣れなかった。

こう、風が肌の至る所に触れているという感覚はどうも慣れない。

私はスカートとかもあまり好まないのに…はぁ、こんな格好。

 

「じゃあ、今度はビーチで遊びましょうよ!

 無料でビーチの遊び道具を貸して貰えるらしいし」

「無料で…か、キャンペーンという感じかな」

「面白そーじゃんよ!」

「よーし! 何が出来るの!?」

「スイカ割りセットとかがあるけど…貸し出し中みたいで」

「え? じゃあ、何なら大丈夫なんだ!?」

「えーっと、ビーチ・フラッグスなら大丈夫だって…」

「ビーチ・フラッグスって走って旗を取る奴?」

「そうそう、それならあるんだって!」

「おぉ! ならやろうと! ビーチ・フラッグス!」

 

走って旗を取る奴か…確かそんな遊びがあったな。

 

「……」

 

何だ? いろはの奴、表情が若干暗いな…と言うか、全体的に少し暗い。

鶴乃とフェリシアは明るいが。

 

「……や、やるの? ビーチ・フラッグス」

「や、やるんでしょ…勝てる気がしないけど」

 

レナとかえでが目を合せた後、フェリシア、鶴乃に目をやった後

私の方に目を向ける…何となく何を考えているのかを察した気がした。

 

「環さん」

「は、はい…」

「やる前から諦めるのはよくないわよ」

「は、はい…と、言いたいんですけど…あはは」

「これは勝負事だが、実際はただの遊びだろう。

 遊びは勝ち負けよりも楽しむべきだろう?」

「そ、そうですよね!」

 

とは言え、私は勝負事では負けるつもりは毛頭無いんだがな。

元々、そう言う生き方をしてきたわけだし、ここで負けるのもな。

 

「ぜ、全然追いつけない…」

「スタートダッシュ早すぎですよ!」

 

私は結構足が速いからな。勝負である以上は本気で…

と、行きたいんだが、この格好でははだけそうで本気を出すの恐いな…

 

「よーし! 姉ちゃん勝負!」

「フェリシアも足が速いな」

「まぁな!」

「でも、私も負けてやるつもりはないぞ?」

「へっへー! 俺だって負けねーぞ!」

 

準備をし、合図と同時に私達は振り返り走った。

流石フェリシア、凄く足が速いな、ぶっちぎりだ。

とは言え、スタートダッシュがちょっと遅いかな。

 

「っと」

「うわっぷ! く、クッソー! 姉ちゃん早すぎるって!」

「私は勝負事に手を抜くタイプじゃ無いんだ、大人げないかも知れないがな」

「ま、まぁ、魔法少女に変身しても無いのに魔法少女に変身した

 レナをあっさりと押さえ込む程だしね…」

「いやぁ、水着にされて恥ずかしいとか言ってたとは思えないね」

「それは思い出すから止めて欲しい…今も水着だし。

 こんな状態で本気で動いたら、見えてしまいそうで恐いし」

「本気じゃ無いと言うことをさらっと明かしてきたわね」

「そ、底が知れないわね」

「意外と底はないかも知れないぞ? 私には」

「うん、冗談に思えない冗談っぽいこと言わないで」

 

冗談では無いんだけどな、私の願いは限界を越え続けること。

本当に底がないかも知れないと言うのが私だ。

 

「まぁ! 最強の魔法少女であるこの私が勝つんだけどね!」

 

そして決勝戦。決勝戦の相手は鶴乃だった。

鶴乃はかなり足が速かったな、フェリシアの次くらいか。

 

「凄い自信だね、逆に凄いかも…」

「じゃあ、決勝戦だ!」

 

私も少しは手加減をした方が良かったのかも知れないが

正直、勝負である以上は負けたくないという思いがある。

結果は明らかな物で、私がぶっちぎりで勝利した。

 

「鶴乃、明らかに取られているのにわざわざダイブしなくても…」

「……さ、3本勝負だよ! 決勝戦だし!」

「ま、まだやる気なんだ、鶴乃ちゃん」

「その…言ったら悪いかも知れないが…3回勝負したところで」

「ふっふっふ! 次負けるのが恐いんだね!」

「む、そんな風に言われたらやるしか無いな。3回だな」

「うん!」

 

と言っても、結果は見えていたとしか言えなかったが。

私、これでも相当鍛えてるからな。足の速さは筋金入りだ。

だが、それでも鶴乃は諦めないらしい。

しかし、持久戦にも自信がある私の勝利は変らなかった。

 

「て、手も足も出ない…」

「梨里奈のスタミナ凄いわね、鶴乃が体力で負けたわ」

「結局、何回やったんでしたっけ?」

「32回だ」

「短距離でもその回数はしんどいだろうなぁ」

「で、でもまだ諦めないから!」

「ん?」

 

鶴乃が起き上がり、ももこが持っていたフラッグを取った。

 

「さぁ、梨里奈! 今度は人間ビーチ・フラッグで勝負!」

「に、人間ビーチ・フラッグ…?」

「な、何言ってるのよ…」

「人間ビーチ・フラッグだから私が旗だから、私を捕まえたら梨里奈の勝ち!

 逃げ切ったら私の勝ちだから!」

「……それはただの鬼ごっこ的な奴だろ。それに、そう言うルールなら

 鶴乃が旗役じゃ無くて、私が旗役の方が良いんじゃ無いか?

 鶴乃が私を捕まえたら勝ちとか」

「え? 梨里奈が旗役?」

「まぁ、捕まえたと言ってもタッチだけでは面白く無いだろうが」

「じゃあ、がっちり掴めたら勝ちで!」

「あ、本気でやる気なのか? その…さっきも言ったけど」

「関係ないよ! さぁ勝負!」

 

ほ、本気でやるのか…ちょっとした冗談だったんだがな。

 

「てりゃー!」

「おっと」

「おぉ! こ、今度こそ捕まえ、あれ!?」

「全力でやったら疲れるぞ?」

「こ、このー!」

 

このルールは失敗だったかも知れない。

 

「梨里奈さん、殆ど動いてないように見えますが」

「あの子、格闘技とか確実に極めてるわね。簡単に鶴乃が流されてる」

「あれが俗に言う合気道って奴かな、ありゃ凄い」

「もう鶴乃が遊ばれてるようにしか見えないわね」

「り、梨里奈さん…一応付き合ってはあげるんですね」

「くぅ! 俺がやりたかった!」

「じゃあ、フェリシアも参加したら? 梨里奈がどんな反応をするか」

「お! じゃあ俺も参加だ! 姉ちゃん捕まえたら俺が1番!」

 

ま、まさかの飛び込み…それはつまり実質鶴乃とフェリシア

どっちが私を捕まえるかの勝負なんじゃ無いか?

 

「フェリシアが捕まえる前に私が捕まえる!」

「いいや! 姉ちゃん捕まえるのは俺だぜ!」

「わ、私が逃げ切るかもと言う可能性は考えないんだな」

 

しかし、流石に2人だと適当に流すのは難しいな。

 

「「今だ!」」

「っと」

 

2人が私に飛びかかる瞬間に2人を避ける。

 

「「ゲッ!」」

 

そして、2人が正面衝突してしまう。止まると思ったが流石に無理だったか。

 

「あ、その…だ、大丈夫か? 2人とも。ちょっとやり過ぎた」

「うぅ…でも、甘い!」

「んな!」

 

2人が倒れているからと油断して近付いたら2人同時に飛びつかれた。

驚いて後ずさりをしたが、既に遅く足を掴まれて思いっきり転けてしまう。

 

「うげ!」

 

更に運が悪いことに、転けた先にはレナが居た。

私達はレナを巻き込んで結局私は捕まるという、何とも申し訳無い結果。

 

「い、いたた」

「よ、よーし! やったねフェリシア!」

「おぅ! 姉ちゃん捕まえたぜ!」

「も、もはやどっちが優勝かと言うより、私を捕まえたかっただけか…

 はは、やられたよ。レナ、すまないな、大丈夫か? 怪我は?」

「だ、大丈夫よ…それにあんたが謝ることじゃないし」

「いや、私が悪いんだ。もっと背後に気を配ればよかった。

 でも、怪我をしてなかったなら一安心だ」

「ふん」

 

ちょっとした問題はあったが、何とか怪我をしないで住んだ。

初日で大怪我をしたんじゃ笑えないからな。

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