1週間という時間…普段ならすぐに過ぎてしまう。
しかしだ、旅行をしているこの時間は凄く長く感じる。
3日目も中々に面白い事になったが、結局は漫才というオチ。
4日目はいろはのトラウマを克服させるために色々と動いた。
トラウマというのは中々克服出来ないが、1歩は進めたかな。
そして5日目はサプライズか、鶴乃も中々手の込んだことをする。
そして6日目は夏祭り、何とも楽しい時間だったよ。
最終日の7日目、勿論最後は海だった。
「ふふ、1週間色々あったわね」
「そうですね、こんな濃厚すぎる1週間は初めてでした」
最後、私達は海で遊び、記念撮影をした。
思い出というのは何かしらの形で残したい物だ。
そして、まだまだイベントは終わらない。
何故なら今日はいろはの誕生日だからだ。
「よし、私も誕生日プレゼントを用意しないとな」
神浜に戻って、私も早速誕生日プレゼントを用意する事にした。
各々の誕生日プレゼントの話はしっかりと聞いた。
そして、私が担当するのは誕生日ケーキだ。
「材料と包装用の道具を用意して…ふむ、しかしケーキがプレゼントか」
それはそれで、若干寂しい気がするな。何か別の物も欲しいか。
折角の誕生日プレゼントだ、食べて消えてしまう物よりも
やはり何かしっかりと残る物が一番だろう。
出来れば被らない物…やちよさんはレシピ本で
フェリシアはブローチ、鶴乃は思い出の写真ファイル。
さなはカムゴンのイラストだったかな。ふふ、3日目のあの騒動だ。
全く、終始振り回されたという感じだったよ。
「……そうだな」
急遽、何かあの1週間に関連する出来事に関するプレゼントは難しい。
あるとしてもかなり限られた物しか出来ないが…
それでも、一応は色々と考えていたからな。
色々な可能性を考えて用意したり回収した物もある。
無難なところかも知れないが、私はアクセサリーを作るとしよう。
勿論、ブローチじゃ無い。それじゃフェリシアと被ってしまう。
だから、私が用意するのは誕生日ケーキと貝殻のネックレスだ。
楽しい1週間で、いろはに送るプレゼントも全員色々とある。
でも、意外と海に関連するプレゼントは無いからな。
やちよさんはレシピ本、フェリシアはいろはのブローチ
鶴乃の写真は海の写真もしっかりとあるが、写真以外があっても良いだろう。
そしてさなのカムゴンは…まぁ、3日目の騒動だからな、海はあまり関係ない。
「ふ、今晩までに誕生日ケーキと貝殻のネックレスか…面白い
やると決めた以上はやってやるさ」
私は必死にその2つをこなす。勿論まず最初はペンダントだ。
誕生日ケーキは出来たてを持っていきたいからな。
「…ふぅ、何とか間に合った…中々ヘトヘトだ」
必死にペンダント作りと誕生日ケーキを作ったわけだが
何と言うか、一切休めてないが、それでも満足できる物が出来た。
人に何かをするんだ、全力で自信も満足できる物じゃ無いとな。
「よし、急ぐか」
私はその2つを持って、急いでみかづき荘へ向った。
少し暗くなったな、メインの誕生日ケーキが遅れるのはよろしくないだろう。
とは言え、無理に走って形を崩すのはナンセンスだ。
しっかりと安全第一に急がないとな。
「よし、あと少しだ」
「……ぁ」
「ん?」
何処からか小さな声が聞えた気がした。何かに気が付いたような声。
すぐにそんな小さな声がした方を向いたが、暗がりで何も見えなかった。
「…気のせいか」
きっと気のせいだろう。今は急いでみかづき荘へ走らないと。
それにしても、何処かで聞いたような声だった気がしたが…うーん。
「ふぅ、すまない、ちょっと遅れた」
「いや、時間は十分早いわ。それで、例の物は?」
「ここに、それにその言い方は何だか変な感じですね」
私は自分が作った誕生日ケーキをやちよさんに渡した。
「ん、あまり見ない包装ね。大きさも随分と…何処で買ったの?」
「まぁ、見たら分かると思います。大きさや味には自信ありますよ」
「そう、食べてみて美味しかったらお店の場所を教えて欲しいわ」
そして、誕生日パーティーの準備を済ませ、やちよさんがいろはを呼んだ。
私は違和感を隠す為に姿を隠して身を潜めることになった。
レナ、かえで、ももこの3人も同じだ。
「さぁ、どんな反応するかな…」
「て言うか、何でレナ達ここなのよ…」
「私達が居たらサプライズが…」
「サプライズ大好きだよな、鶴乃は」
と言っても、鶴乃があの場所に居るとしても若干違和感はあるけどな。
だが、今日は泊まるという風に伝えてたし、問題は無いか。
そして、4人がいろはの誕生日を祝い始めた。
歌声が止んで、4人のプレゼントの後に私達の出番だ。
「皆さん…ありがとうございます!」
「でもさー、誕生日教えてくれてもよかったじゃん!
もっとぐいぐいーっとアピールしないと祝って貰えないよ!」
「普通はグイグイしないわよ」
「じゃあ、ケーキを持ってきますね! 大きいんですよ!」
「あ、ありがとうございます!」
さなが私が持ってきたケーキをいろはの前に出した。
そしてプレゼント交換だ。全員、事前に聞いた通りのプレゼントを渡した。
「やちよさん、さなちゃん、フェリシアちゃん、鶴乃ちゃん…
ありがとう、本当に本当にありがとう! ずっと、大事にするから…」
よっぽど嬉しいんだな、少しだけ涙を流してる。
うれし涙ほど、喜ばしい涙は無い。
「あ、ちょっと待って、まだあるの」
「え!? そんな、これ以上なんて!」
そして、私達の出番だな。やちよさんの目配せで私達は同時に姿を見せる。
「誕生日おめでとう、いろは。私達も聞いたんだ」
「おめでとう!」
「梨里奈さん、ももこさん、レナちゃんにかえでちゃんまで…」
「ふふ、当然あたしらも用意してるよ、プレゼント。
でも、個別のプレゼントって言うのは中々思い付かなくてね」
「だから、私達3人で花束を買ってきたよ!
このみちゃんセレクトだから凄く綺麗で可愛いよ!」
「本当に! わーすごーい! ありがとう!」
「後、食べ物とかも買ってきたわよ」
「でも、レナちゃん自分が好きなものばっかり選ぶの!」
「そ、それは良いじゃない! 美味しいんだから!」
レナは相変わらずと言う感じはするな。
「じゃあ、私からはこの貝殻のネックレスだ」
「あ、凄い綺麗です! 何処で買ったんですか!?」
「ふふ、あの海で拾った綺麗な貝殻を使った手作りだ」
「えぇ!? 手作りなんですか!? でも、凄く綺麗!」
「手先は器用だからな、似合うと思うよ」
「あ、ありがとうございます!」
「手作りとは恐れ入ったわ…半日で作ったの?」
「は、半日!?」
「本当はもう少し綺麗に作りたかったんですが、ちょっとね。
今度は誕生日も分かったし、次はもっと綺麗なのを用意するよ」
「いえ、私はこれで凄い満足です…ありがとうございます!」
少し苦労したが、頑張った甲斐があるという物だ。
こんなに嬉しそうな顔を見られたならな。
「じゃ、ケーキを食べましょうか」
「そうだな! 楽しみだぜ! 姉ちゃんが用意したケーキ!」
「ケーキも梨里奈さんが!?」
「あぁ、5万円も手に入ったからな、頑張ったよ」
「あ、ありがとうございます…本当に、なんてお礼をしたら」
「私はただ楽しそうな姿を見られるなら、それで満足だ」
「嬉しいです…本当に」
「さぁ、ケーキを開けるわよ」
やちよさんが私が用意したケーキを開けた。
うん、我ながら中々のビックサイズを用意できたぞ。
この人数だ、大きい方が良いからな。
「大きいわね、このサイズが売ってるお店ってあるの?」
「まぁ、食べてみてください」
「じゃあ、均等に分けるわね。勿論、環さんのサイズが一番大きいけど」
「そ、そんな、皆平等で」
「いいえ、今日の主役は環さんよ、異論は無いわよね? あなた達」
「うん!」
「でも、その前にもう一度祝いましょうか。
今度は全員で、そして環さんがロウソクを吹き消して頂戴」
「は、はい!」
ロウソクに火を灯し、部屋の明かりが全て切れる。
「ハッピバースデーテゥーユー」
「ハッピバースデーテゥーユー」
「ハッピバースデーディア…いろはさーん」
「ハッピバースデーテゥーユー!」
「はぁ、フーー!!」
全員の歌の後、いろはが大きく息を吹きかけロウソクの火を消した。
すぐに大きな拍手が響く。
「本当にありがとうございます!」
「じゃあ、分けるわね」
そして、ケーキが分配される。当然いろはが一番のビックサイズだ。
「いただきます! あむ…む、な、何このケーキ…初めて食べる!」
「驚いた、随分と食べやすい味付けだね、上品な味わいだ」
「……こんなケーキ、食べたことが無いわ…梨里奈、これは何処で?」
「食べたことが無いのは、まぁ当然というか…」
「ま、まさか…このケーキを作ったのは梨里奈ちゃんなのでは!」
「流石だな鶴乃、その通りだ。このケーキは私が作った」
「えぇーー!!」
「流石にこのサイズのケーキは市販じゃそうそう売ってないからな。
あまり神浜にも詳しくないし、店を探すより作った方が確実だった。
勿論、味には自信があったからな。当然、本気で作ったぞ」
「嘘、こ、これを自力で…凄くない!?」
「むむむ! こ、これは…梨里奈ちゃんが万々歳に居るのはチャンスなのでは!?」
「あめぇ! 最高だぜ!」
「美味しそうに食べて貰えて、安心したよ」
「…今度、スイーツの作り方を教えて貰おうかしら…」
「梨里奈ちゃん! 今度万々歳で美味しい料理を作ってみてよ!」
「あ、いや、万々歳の味はあれで完璧だと私は」
「今度、私にも色々と教えてください! 梨里奈さん!」
「ず、随分と食い付くな…これは予想外だった…」
色々と教えてくれと言われても…うーん…時間に余裕があれば教えてみようか。
料理を誰かに教えるのは殆どやったことないから不安だが、頑張ろう。
それにしても、今日はいろはが楽しそうでよかった。
そして、皆幸せそうだ。頑張った甲斐がある。
自分のやった事で目に見えて周りを幸せに出来るのは、やっぱり嬉しいな。