魔法少女の道化師   作:幻想郷のオリオン座

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最大の警戒

今回の件で希望がある程度見いだせた。

どれだけ喚いても無駄だと羽根達は言うが

それが本当ならわざわざ鶴乃達を隔離しない。

マギウス自身が可能性があると伝えているのに

何故奴らはそれに気付かないんだろうな?

 

…なんて、羽根の殆どは中学生か高校生だろう。

ただ上の意思に追従しているだけであれば

気付かないとしても無理は無いかな。

 

しかし、そう考えてみると意外とマギウスの翼は

私を崇めていた中学の連中と似たような物なのかな。

相手の行動に懸念を抱かず、盲目的な思いを馳せる。

考える事を放棄したなれの果て…と言っても、まだ学生。

なれの果てでは無いか…なりかけでしかない。

 

だがまぁ、自分達の行動に疑問を抱かないのは問題か。

それに相手の事や誰かの事、生きてる人や生き物に対し

道具にしようなんて言うとは、全く荒んでるな。

 

「…私も変ったな」

 

ほんの数ヶ月で人と言うのはここまで変わるのか。

期待に答えようとすることしか出来なかった私が

神浜に来て、色々な事を考えるようになった。

そして七美に再会して、より考える様になった。

 

そして七美も変った…だが、まだ救える。

私が諦めなければ、七美の心を救える筈なんだ。

私は諦めない。私が諦めると言う事は七美への裏切りだ。

 

……だがしかし、思う事は多い。

もし私が七美の蘇生を頼んでいたらどうなってた?

こんな事にはなってなかったんじゃ無いか?

七美の心が荒んでしまうような、今の状態には…

ふ、なんてかも知れない事を思うのはまだだ。

 

どうしようも無い絶望を前にして思えば良い。

まだ私は幸せを掴める。七美を救える。

過去の選択を悔むのはまだだ。

今の選択の先で七美を救えばその選択はきっと正しかったんだ。

その選択を誤りにしないためにも、私は先に進まないとな。

 

「よし、まだ諦めないぞ。私はまだ進む」

「何処へ進もうというの? あなたが進む先は1つだけよ?」

 

そんなに懐かしくもない声が聞えた。

いつか会ったな…そしてやちよさん達から話も聞いた。

 

「……1つだけ? 悪いが道は無数にある物だ。

 1つだけに選択を絞るのは困難だな」

「ふふ、少なくともこの先には行けないわよ?

 今は後ろに下がることしか出来ないんだから」

 

前の十字路から巴マミが姿を見せた。

見滝浜の魔法少女…まどか達の先輩か。

と言う事は中学生なんだよな、一目ではそうは見えないが。

 

「悪いが私の帰り道はその道なんだ、退いてくれないか?」

「いいえ、退かないわ…退くのはそっち…と言いたいところだけど」

 

魔力の反応はずっとしていたが…やはり背後も塞いできたか。

 

「どうやらあなたには、退く場所もないみたいね?」

「2度連続で襲撃とは…そこまで私の存在が煩わしいか?」

「えぇ、色々と聞いているわ、仙波さん、あなたの話しを。

 だから、たった1日でここまで襲撃されるのよ。

 単独行動なんて、狙ってくださいって言ってるような物よ?」

「何故、狙われると分かってて単独で行動するか分かるか?

 それは、1人で行動しても問題無いと知っているからだ」

 

変身はすぐに終わる。一瞬で可能だ。

数を揃えても、質が低ければ相手にはならない。

 

「お前も、知ってるはずだ。ボロボロの私と相対したときにな。

 そう言えば、認めてたな。私が万全であれば勝ち目はなかったかもと。

 今の私は万全だ。だから、頭数を揃えたのか?

 だがそれはお前にはあまり得がないだろう? 邪魔な的が増えた。

 多重に展開する攻撃なんて、確実に仲間を巻き込むだろう」

「そうね、でも関係なく放つとすればどう?」

 

まさか、すぐに大量のマチェットを召喚した…こいつ本気か!?

 

「ふふ、さぁ喰らいなさい!」

「この! どうしたんだ全く!」

 

すぐに大量の短刀を召喚し、最初に出会った時と同じ様に弾く。

だが、さ、流石に背後を意識しすぎた。

 

「く…」

 

自分の方に飛んで来る弾丸に対する意識が散漫になったせいで

足に一発、肩に一発の弾丸を受ける…なんて無茶苦茶を…

 

「そうよ、私は1人ではあなたに勝てない。

 そして数を揃えたところで勝てないことも知ってる。

 だけど、あなたが1人じゃなければ勝てるのよ」

「……そうか、う、後ろの奴らは攻撃が狙いじゃない

 私が奴らの盾になることを狙ってたのか…」

「そうよ、あなたなら後ろの子を守ることを優先すると思ったの」

「もし…私が後ろの奴らを…守らなかったら…どうするつもりだった?」

「その時はその時よ、大した損失じゃないわ」

「え…あ……」

 

明らかに様子が変だ…最初出会った時よりも…異常だ。

何が…何があったんだ? 何が彼女をこんな事に…

 

「何があったんだ…」

「救いのために犠牲は必要なの。でも安心して?

 あなたはその犠牲には入らない。あなたには価値がある。

 さぁ、無駄な抵抗は止めなさい。その怪我じゃ戦えないでしょ?」

「まだ片足だけだろ」

「ならもう片方」

「ッ!」

 

よ、容赦が無い…両足を撃つか…? 何が…この…

 

「はぁ、はぁ…」

「あなたには最大限警戒をしないと行けないからね。

 痛いでしょうけど我慢して? すぐに楽になるから」

「……警戒か、本当に怖がられているな…

 なら、期待に沿わないとな? これじゃ拍子抜けだろ?」

「何をしても無駄よ?」

「ふ、さて…傘は持ったか?」

「何を…な!」

 

既に仕掛けは用意してる。残念だが鉄の雨は唐突に降るからな。

 

「私の周りでは天候が良く変るんだ」

「く!」

 

マミは私が落としたナイフを自らの魔法で迎撃していた。

私をあんな風に評価していたが、少し焦ると駄目なんだな。

 

「うわぁああぁ!」

 

黒羽根達は恐怖のあまりにその場に叫びながら伏せた。

空から雨の様に短刀が降ってくるのはゾッとするよな。

それも空中で金属同士が激しくぶつかる音を何度も響かせながら。

 

「駄目、捌き切れな…」

 

そして、マミが捌ききれなかった短刀の1本が

マミのおでこに直撃…しそうになるが

 

「…消え、ま、まさか!」

「最初から目眩ましだ、うるさかっただろ?」

「回復して!」

「さぁ、観念しろ!」

 

マミが気付いたときにはもう遅かった。

既に回復は完了してるし、距離も詰めてる。

うるさいし、恐ろしい光景だからな、視線も外れるさ。

厄介な魔法少女とは言え、対人はまだまだだな。

簡単に動きを封じることが出来た。

 

「こ、この…」

「アリナから聞かなかったか? この目眩ましの事を。

 私が人を殺せるわけ無いだろ? 私は臆病だからな。

 焦ってしまったな? 巴マミ」

「本当…最大に警戒されるだけあるわ…」

「さぁ、全て教えて貰おうか…鶴乃達の事、マギウスの根城

 そして、七美が今どこにいるか…」

「教えると…思う?」

「教えて貰えないなら、無理矢理聞き出すだけだ」

「ざ、残念だけど…あなたは最大に警戒されてるの」

「な!」

 

この反応は…魔女!?

 

「な、何をした!? どうしてこのタイミングで魔女が!」

「ふふ…それだけじゃ、無いわよ…よく探りなさい」

 

……ま、まさか、この反応は…まさか、まさかまさか!

 

「そんな…久実!?」

「ふふ…さ、さぁ、どうする? 間に合うかしら?」

「クソ!」

 

どんな方法を使ったんだ!? 何で久実の場所に魔女が!

とにかく急がないと! 久実1人じゃ、神浜の魔女は不味い!

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