魔法少女の道化師   作:幻想郷のオリオン座

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死闘の後

七美を取り逃がすことになってしまった…

結果として東のボスである和泉 十七夜さんを救えた。

更には私達と協力関係という物を築いてくれた。

 

私は一息吐いた後、みかづき荘へ足を向けた。

とにかく今回の件を報告してグリーフシードを渡さないとな。

……しかし、七美…どうして…

 

「ただいま戻りました」

「あら、お帰りなさい」

「遅かったね、梨里奈ちゃん」

「大丈夫でしたか? 東の方は」

「あぁ、東の方は何とかなったよ。

 十七夜さんも無事だ。危うかったけどね」

「り、梨里奈さん! お、お姉ちゃん居たんですよね!?

 ど、どんな感じでしたか!?」

「最初に会ったときと雰囲気は変ってなかったよ。

 十七夜さんをドッペルで洗脳するつもりだったらしい。

 あと少し遅れてたら、洗脳されてたかな」

「そ、そんなにギリギリだったんですか!?」

「あぁ、少し遅かったら危なかった」

 

もうすでにドッペルまで出してたからな。

あと少し遅れていれば、マギウスの狙い通りだっただろう。

 

「はぁ、それを聞いて安心したわ。やっぱり七美という少女は

 私達に取ってかなり脅威となる存在と言う事ね」

「でも、厄介なのはドッペルなんだろ? それなら」

「魔法少女としても相当な手練れだ、あいつは…負けるところだった」

「はぁ!?」

 

4人の驚きの声と同時に、他の声が混ざっていたような気が…

 

「お、おいおい! 姉ちゃんが負けそうになるとか嘘だろ!」

「……!?」

「あ…」

「……」

 

な、なんでしれっと机の下からフェリシアとさなが…

 

「これはまた…そっちも良い結果だったようですね」

「ゲ! 姉ちゃんにバレちまったぞ!

 折角驚かせるつもりだったのに!」

「逆に驚かされちゃったわね。あなたが負けそうになるだなんて

 巴さんと戦った時と同じ様に変な手でも使われたの?」

「いや、正攻法で戦って追い込まれました」

「嘘だろ…そんなにヤバい魔法少女なのかよ」

「で、でも…七美お姉ちゃん、そ、そんなに強く…」

「魔女との相性が悪いだけで、魔法少女との相性は良いみたいでな。

 1対1での戦いなら、七美の方に分があるだろう」

「確かに七美お姉ちゃんの糸の魔法は凄いけど…

 あ、そう言えば私、梨里奈さんにお姉ちゃんの魔法の事…」

「大丈夫、ちゃんと聞いたよ。でも、七美が強くてな。

 気付かない間に糸を繋いでくるのは厄介すぎるよな」

「あ、ちゃんと言ってたんだ。良かった…忘れてたら…」

「大丈夫だ、どう攻略するかも分かってきたしな」

 

七美の糸は脅威だが、対処の方法が無いと言う事は無い。

七美の糸の対処方は糸を切断すること。

私は短刀を召喚して戦うから、糸を切ることは出来るからな。

 

限界突破で無理矢理引き千切る事も出来る。

だが、油断ならない。私が召喚した武器にも繋げられるみたいだし

まさしく魔法少女を倒すための魔法…脅威だな。

 

「でも、あなたが1人では追い込まれれる程の実力。

 単独行動はますます避けた方が良いでしょうね。

 明日、例の場所へ向う予定ではあるけど…

 その時は私達全員で行動しましょう。あなた1人は無謀よ」

「でも、あの場所は罠である可能性が非常に高い。

 それでも行くんですか?」

「えぇ、そこで待機してる羽根に幹部クラスが居るかも知れない。

 十七夜は相手の心を読めるからね、彼女に協力して貰えば」

「そう言えば、彼女は心を読めると言ってましたね」

 

いつの間にか覗かれてたみたいだし、若干恐いな。

 

「だから、明日は全員一緒に行動しましょう」

「よし! 俺達も頑張るぜ!」

「はい、絶対に…」

「じゃあ、明日が正念場って所か。遊園地の噂もあるし

 少しでも早く鶴乃を取り戻さないと不味いからな」

「遊園地の噂、そう言えば私も聞きました」

「お、梨里奈も聞いたんだな、遊園地の噂」

「確か…この台風の目となる場所近くでは良くでかなり聞いた。

 近寄れば近寄るほど、その噂を聞く機会が増えたような気が」

「そうだね、あたしの感覚だと東から流れてる感じがした」

 

東か…やはりあの場所を調べてみるしかないだろう。

どう考えても罠という感じだったが、飛び込むしかないか。

虎穴に入らずんば虎児を得ず。無謀でもやるべきだな。

 

「そう、ならその噂も含めて調査したいわね」

「調査するなら急いで方が良いと思うぞ。

 明後日の夜明けにオープンらしいから」

「夜明けにオープンなんて…より一層、怪しさしかないわね」

「問題として、どうしてそんな露骨に怪しい噂を信じてるのか。

 所詮噂と考えているのか…でも、一番乗りを目指すという言葉もあった。

 信じてる人もかなり居る様子だったし…これも噂の効果か?」

「うわさだからね、何があったとしてもおかしくないわ」

 

実際、私が遭遇した噂はことごとく唐突に現われてたからな。

やはりあり得無い事が実現する…全く面倒だ。

 

「とにかく、そう言うのは明日考えましょう。今日は休むわ。

 梨里奈、あなたも結構消耗してるみたいだし休んだ方が良いわ」

「はい、何だか七美と再開してと言う物、怪我ばかりしてる気がします。

 あ、それとこれをどうぞ。私がストックしてたグリーフシードです」

 

私はポケットからグリーフシードを全部取り出した。

 

「こ、この量は…こりゃ、あたしらの出番無いかなぁ…あはは」

「す、凄い量ね…使わないの?」

「私の魔法、そんなに魔力を消耗しないので溜まるんですよ。

 流石に怪我を治すとなると、結構消耗しますけどね。

 ここに来るまでは深い怪我なんて殆どしませんでしたから」

「でも、良いんですか? こんなに沢山…」

「私1人じゃ使い切れなくて困ってたんだ。

 丁度良い機会だろう? 多いに越したことは無いしな。

 それにいくつかまだストックしてるから大丈夫だ。

 無くなったらそれも持ってこよう。10個以上はあったはずだ」

「凄い数ね…驚いたわ。でも、それなら遠慮無くいただくわね」

「はい、ご自由に使ってください」

「まぁ、あたしらもいくつかストックあるし、足りなくなったら言ってよ」

 

ひとまず私達は今日1日休む事にした。

明日が本番だしな、急いては事を仕損じるという。

私には痛い言葉だ。何度急いで怪我をしたか分からない。

七美の時も久実の時も、そして今回も焦りすぎは良くないな。

 

「ふぅ…風呂が開いたぞ…って、どうしたんだ? そんなに焦って」

「ちょっとフェリシアちゃんとさなちゃんのソウルジェムが…」

「そうか、洗脳された影響か…」

「えぇ、でも大丈夫、何とかなったわ」

「それは良かった…」

「ん? ちょっと梨里奈、あなたもソウルジェムが…」

「ん? あぁ、気付いてなかった…ちょっと消耗したからな…」

「ちょっとって程じゃないだろそれ! どうしたんだよ!」

「……グリーフシードがあるから大丈夫だろう」

「そうだけど、そんなに消耗したの?」

「でも、今までそんなに…昨日もそこまでじゃありませんでしたよね?」

「……七美と戦ったのが堪えたのかも知れないな。でも、大丈夫だ」

 

焦りすぎているのかも知れない…七美の事で。

こんなんじゃ駄目だな、もっとしっかりしないと。

もっとしっかりと、周りに幻滅されるわけにも行くまい。

この程度で動揺して居る場合じゃない、まだ七美を救えるのだから。

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