早速私達は東へ向い、十七夜さんと会うことになった。
とりあえず、今日は私が朝食を作る日だからな。
当番制らしいし、私は料理が出来るから問題は無いが。
「…冷蔵庫の中身、何とも豪華だなぁ…」
卵が沢山ある…うぅ、私からしてみれば
卵は結構な高級食材なんだよな。
必須食材でもあるが…意外と高い。
冷蔵庫で卵が10個以上なんて事はほぼ無いが
流石に何人も一緒に住んでるわけだからな。
沢山卵が置いてある。それに肉まで…
豚バラ…ううぐ、300円オーバーとは…
はぁ、こんなにも充実した冷蔵庫の中身を見るなんて。
万々歳でバイトをしているときはいつも見てるが
やはり一般家庭でこうなると、何だか羨ましい。
「……随分と恨めしそうに我が家の冷蔵庫の中身を見てるわね」
「あ、やちよさん。すみません。ちょっと…あはは」
「あなた、そんなに生活苦しいの?」
「ま、まぁ…万々歳でバイトを始めてからはかなり裕福になりましたけど
それでも、やっぱりこう、貧乏性というかそう言うので
あまり沢山の食材を買えないんですよね。貯金が増えてます」
バイトを始めたんだし、もっと沢山の食材を買っても良いが
やっぱりこう、何だか沢山の食材を買うというのは抵抗がある。
今でも広告を見比べて、何処が安いかを確認した後に
自転車でそこまで行ってるからなぁ…
正直な話し、自転車で移動するよりも魔法少女に変身して
ひょいひょいっと行った方が早く着く気がするがな。
本気を出せば新幹線より速く動けるし…無駄遣いはしたくないが。
まぁ、自転車で行ってもバイクよりは早く移動できるから良いんだが。
「あなた普段は何処に買い物行ってるの?」
「広告を見比べて安いところを選んで回ってるので
普段ここに行く、と言うのはありませんね」
「あなた、確実に将来良いお嫁さんになるわね。
料理も家事も何でもこなせるんでしょ?
掃除とか下手なプロより完璧にこなすし…短期間で」
「いやいや、自分の部屋とかは意外と散らかってますよ。
人の部屋はこれでもかと言わんばかりに掃除しますが
自分の事は意外と気にしてないので、掃除はあまり。
人が来るときはかなり綺麗にしますけどね」
「あなたは自分に無頓着だからね。
でも、肌のケアはしっかりしてるわよね? 化粧はしてないけど」
「私は周りから男っぽいと言われてましたからね。
化粧するのは女々しいのでしなかったんです。
興味はありますが、周りが私を男の様だと思うのであれば
私は化粧はしません。とは言え最低限肌のケアはします。
女性としての魅力という部分を維持するためにも必要ですからね。
男っぽいと言われてましたけど
女の子としても憧れると言われてたので」
私の行動理念は大体周囲が私にどんな印象を抱いているかで変る。
私が格好いいと言われていれば、私は格好良く振る舞うし
可愛いと言われていれば、きっと可愛く振る舞っていただろう。
それが私だからだ。私は道化師だったからな。今はそうでもないが
化粧をしないと言うのは昔の名残だ。
「あなたは周りの目を気にしすぎよ…そんなんじゃあなたは1人よ?」
「大丈夫、分かってます。親友に何度言われたことか。
だから、今の私は前と比べれば大分マシなんですよ。
そうじゃ無いと、やちよさんにこんな事は話しませんから。
全員の自分の弱点とか好きな事とか、嫌な事とか
そんな事は全く話さない。家のことも話してませんよ」
「……そう、じゃあ私に色々と話してくれるのは」
「私がここを気に入ってるから…まだ、大して仲良くない相手に
自分の事を話すことは出来ませんからね」
七美のお陰で変ったとは言え、まだまだ私は完全には変ってない。
誰彼構わず、自分の事を話してありのままで付き合えるほど
私は出来上がってない。知り合ってすらない仲が良くない相手には
今でも仮面を被ってしまう。それが普通なのかもしれないがな。
「そう、ならまだ良かったと言えるのかしら」
「えぇ、それじゃあ早速料理を作りますね…
所でやちよさん」
「何かしら?」
「冷蔵庫の食材って…ど、どれを使って良いんですか?
どれもこれも私には高級食材に見えて手が出せないというか」
「…好きなのを使ってくれて構わないわ」
「ほ、本当ですか!? でも、どれもこれも…」
「美味しかったら何でも良いのよ、お金は幸せを買う物なんだから」
「は、はい…では、無駄遣いにならないよ、腕によりをかけましょう」
「お願いね、梨里奈」
私は早速料理を開始した、早速スクランブルエッグを作ろう。
私はこのスクランブルエッグが好物なんだ、食べやすいからな。
とは言え、卵を使わないと行けないから普段は作れない。
ちょっと贅沢をしようと思ったとき位しか出来ないからなぁ。
さぁ、スクランブルエッグにウインナーも一緒に用意して
焼き加減も完璧だ、我ながら良い出来だと思う。
味付けも完璧に出来たぞ。上手く行った。
さて、次に朝食と言えば味噌汁だ。
これも普段ならそうそう作れないが、今回は可能だな。
インスタントの味噌汁は高いし、あまり栄養バランスが良くない。
味も好みでは出来ないからな、やはり自分で作るのが1番だ。
私は味噌汁というか、そう言った汁物が好きなんだ。
意外とそう言った汁物というのは腹の膨れを維持できるからな。
少しでも食事を取らないで活動するためには必要不可欠だ。
「よしっと、全員朝食が出来たぞ」
「おぉ! 待ってました!」
「梨里奈さんの手料理…久しぶりです…」
「良い匂いですね、梨里奈さん!」
「す、凄く美味しそう…」
「味には自信があるぞ、さぁ食べてくれ」
「じゃあ、いただこうかしら」
全員、私の料理を美味しそうに食べてくれた。
やっぱり誰かに料理を出したときに最も嬉しい反応がこれだ。
とは言え、あまり全力で作りすぎると飽きてしまうと言うのが人だ。
美味しすぎる料理は作るべきじゃ無い。程よく美味しいのが1番だ。
人に振る舞うときはそれが最も重要だと思う。
大きな店とかであれば、極上の料理を出せば良いとは思うがな。
だから、今回私の料理はやちよさんの料理に寄せた味付けにした。
毎日食べる食事はいつも通りが最も美味しいんだ。
「うめぇ! やちよの料理と同じだ!」
「確かに私の料理と同じ様な味付けね…」
「梨里奈さん、料理の味付け自在に帰れるんですね。
前、私達に料理を振る舞ってくれたときは…家の味そっくりだったのに
今回はここの味付けにそっくり…」
「万々歳の時も万々歳の味付けそっくりだったっけ」
「…つまり、本気で作ったわけじゃ無いのね? 私の味に合わせたと」
「そうですね、普段食べる味付けが1番美味しいんですよ」
「そ、そんな事を聞くと…わ、私、凄く気になるんですけど…」
「ん? どうした?」
「梨里奈さんの本気の料理って…どんな味なんですか?」
「1度ケーキを作ってくれたとき、凄く美味しかったですし…
あれが本気だとすれば…もし本気で料理を作ったなら…」
「今まで食べたことが無いような、凄い美味しい料理が…!」
本気で料理を作ったことは無いからな。食材の関係もあるし
仮に誰かに振る舞うときも、その家の味を振る舞ってた。
私は普段の生活でもあまり本気で料理は作らなかった。
家で料理を作ったときも母親の味を模倣して作ってたし
私が本気で料理というか、何かしらを作ったのは
前にいろはの誕生日で振る舞った、あのケーキくらいか。
「出来るかも知れないな、本気で料理を作ったことは無いし
私自身、どんな料理が出来るかは分からないんだが」
「今度、作って欲しいのだけど?」
「…そうですね、でもその…わがままになるんですけど
私が本気で料理を作る時は
鶴乃も弥栄もそして七美も…皆一緒に居る
そんな場所で作りたいんです。
私が初めて自分自身の本気を出す場面であるなら」
私の言葉を聞いた皆はにっこりと笑って首を縦に振った。
「えぇ、そうね。それが1番ね」
「よーし! 鶴乃もそんで姉ちゃんの友達ってのも!
全員マギウスから引っ張り出して、姉ちゃんの料理食うぞ!」
「どうせなら、み、みふゆさんも…」
「うん! それにういも灯火ちゃんもねむちゃんも!
皆、全員で梨里奈さんの最高の料理を!」
「…そうね、その為にも必ず連れ戻しましょう!」
「自分達の親友を、大事な人を!」
「私もが、頑張ります…お姉ちゃん達を助ける!」
「よっしゃー! 何だか気合いが入るぜ! 早速行こう! 東だろ!?
うん、さっさと行こうぜー!」
「だめよ、まだご飯。それにあなた達は待機」
「な、何でだよ! 絶対行くんだからな! 鶴乃助けるんだ!」
「だから、駄目だって…」
「やだやだー! 絶対行くんだー!」
「わ、私だって行きたいです!」
「さなちゃんも駄目だって…」
「いや、行き…ます!」
「2人はお留守番だよ-!」
朝食を食べ始めると、何だか騒がしいことになった。
うーん、でも何だか…4人とも楽しそうだ。
楽しそうな4人の姿を久実と見ながら私は朝食を食べた。
「り、梨里奈さんも止めるの手伝ってくださいよー!」
「早く食べないと朝食が冷めるからな。美味しい内に食べたい」
「あ、そ、そうだな! 美味しいご飯食べるぞ!」
「う、うん、今はご飯を食べないと…」
「な、何だか止まったけど…食事の後、また騒がしくなりそうね」
「そ、そうですね、あはは」
2人の予感は無事的中し、朝食の後
やはりフェリシアとさな2人と激闘になった。
激戦の末、何とか2人を部屋に戻し、眠らせることに成功する。
うん、楽しそうなやり取りだったな、見てて実に楽しかった。