魔法少女の道化師   作:幻想郷のオリオン座

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東へ

「ど、どうしたんだよ2人とも、随分と疲れてるじゃないか!」

「ちょっと朝から一戦交えてね」

「まさか、マギウスの連中に!」

「いや、フェリシアとさなの2人だな」

「えぇ!? どう言うこと!?」

「実は…」

 

いろはがももこに朝会ったことを全て話した。

流石にあのやり取りを聞いたももこは少しだけ呆れた表情だが

若干笑っているように見えた。

 

「確かに洗脳の影響がどんな形で出るか分からないもんな」

「そうなのよ」

「…でもさ、梨里奈の本気の料理って奴あたしも気になるんだけど」

「あ、ももこさんも食べてみたいですか? 梨里奈さんの本気の料理!」

「あぁ、勿論だよ。あのケーキも美味しかったからね。

 もしその時が来たら、あたしらも混ぜてくれない?

 レナとかえでも絶対に食べたいって思う筈だしさ」

「あぁ、その時が来たら振る舞うさ。だが、ももこは自分で言うとおり

 結構バットタイミングだからな、料理を食べ終わったタイミングに」

「や、止めてくれよそう言うの! ちょっと恐いじゃん。

 ま、まぁ、その時はグッドタイミングで来るから大丈夫だって!」

「本当かしら?」

「信じてくれよ-!」

 

こんなやり取りをする事はあまり無いが…私も変ったな。

相手を弄るなんて、殆どしなかったが。

……あぁ、何だろう。私はこの神浜に来て変った。

 

誰かと一緒に戦ったり、誰かと一緒に話をしたり。

……誰かと一緒に大きな困難に立ち向かったり…

そして同時に少しだけ勿体ないと思う私も居た。

……こんな事、思うべきじゃ無いのかも知れないけど。

この中に…この中に七美が居てくれれば…七美が居れば…

 

どうして、折角会えたというのに、敵同士なんだろうな。

いや、敵じゃないか…意見がぶつかってるだけに過ぎないだろう。

所詮そんな程度なんだ。意見がぶつかる。そんなの親友同士なら

きっと必ず何処かである事なんだ。だから、悔まなくて良い。

 

親友とぶつかり合うなんて事、きっと誰だって経験する。

喧嘩をすることだって必ずあるさ、当然だ。

だから、私はただ七美と喧嘩してるだけなんだ。敵同士なんかじゃない。

ただ喧嘩をしているだけ。なら、仲直りをしないとな、必ず。

 

喧嘩別れだなんて結末はごめんだ…親友に歩み寄る。

私に必要なのはそれだ。歩み寄って、一緒に前に進めば良い。

だから、負けないぞ…七美、絶対に連れ戻してやる。

 

「さてと、そろそろね…」

 

あのやり取りの後、私達は無事に合流地点へ到着した。

そこに到達すると同時に十七夜さんの姿が見えた。

 

「来たわね」

「おぉ、久しいな七海! 十咎も一緒じゃないか!

 それに懐かしいな…それに? む、だれだ!?

 2人も知らぬ奴が居るが…」

「あ、えっと…私は環いろはって言います。

 最近、神浜に来て、やちよさんのお世話になってます」

「え、えっと…わ、私、く、久実です…

 その…せ、千花 久実…お、お姉ちゃんを助けたくて…」

「お姉ちゃんと言うのは?」

「昨日、一戦交えた私の親友のことです。

 この子は妹の1人、久実です。あと1人は弥栄。

 弥栄の方はマギウスの翼に残ってます」

「む、そうか、昨日の…彼女は相当な手練れだったな。

 その妹と言う事は、彼女も中々の手練れなのか?」

「い、いや、わ、私は…」

「久実はまだそんなに戦った経験はありません。

 ですが、姉を助けたいという思いは強い」

「そうか…とにかく立ち話も何だからな。

 近くの店に入って、そこで話すとしよう。付いてきてくれ」

「分かったわ」

 

私達は十七夜さんに付いていき、小さな店に入った。

デザートが置いてあるな…ドーナツ屋さんか。

結構広いし、これなら確かに会話が出来る。

私達はいくつかドーナツを選び、奥の席に着いた。

早速私達は、今現在の状況を彼女に伝える。

 

「やはり由比君が、昨日彼女の心を覗いたときに知った」

「もう知ってたのね」

「あぁ、共に戦った際に心の内を探ろうと思ってな。

 どうも悪意と思う物は無かった。

 由比君とそして親友を救いたいという思いで一杯だったな」

「えぇ、救いたいんです、彼女を」

「だが、彼女も君を救おうと思っているように感じた。

 君達はただお互いを助けようとしているだけではないのか?

 やり方は違えど、目的は同じだ」

「七美は…間違ってます。罪のない一般の方を巻き込むなんて。

 その上で魔法少女を救おうなんて…結局は自分達の為。

 そんなの戦争何かとやってる事は何ら変りません」

 

戦争も結局は自分達さえ良ければ良い、そんな感じだ。

そんなのは間違ってる…他の方法だって必ずあるんだ。

 

「確かに言えているかも知れんな、無論自分も手を貸そう

 マギウスの翼が相手なのだからな」

「十七夜さんも何か被害に?」

「あぁ、工匠の仲間を皮切りに随分と持って行かれたからな。

 怒り心頭という奴だ。だが、1人でどうしようかと

 考えあぐねいた所だ。

 だが、これ幸い、七海からの提案ときたら手を結ぶしかないだろう」

「そんなに連れて行かれたのか?」

「あぁ、東の魔法少女の多くが白羽根や黒羽根に混ざってる…」

「そうだったのね…」

「で、早速だが自分は何を手伝えば良い? 惜しみなく情報も与えるぞ」

「ありがとう、十七夜はうわさって調べてるかしら?」

「勿論だ、彼女達の泣き所だからな、触れないわけには行かないだろう」

「それなら、その情報が欲しいわ」

「ふむ、それはまたどうしてだ?」

「あの、これを見てください」

 

いろはが私達の前にあのうわさを記した地図を出した。

十七夜さんにこの地図のことを多少話した後

十七夜さんが持っている、うわさの情報を地図に付け足す。

するとやはり予想通り、例の場所がポッカリと空いている。

 

「なる程、これは面白いな」

「でも、やっぱりあまりにも露骨すぎますよね…あ、因みに」

 

私は自分が聞いたうわさをその地図の真ん中に書いた。

 

「これは?」

「捜索中に聞いた、うわさですよ。子供の幽霊が居るらしいです」

「……露骨すぎないか? これは」

「つまり、この場所はほぼ罠だと言う事だな」

「そう言う事です」

 

私の予想通りだったな、完全に罠だろう、これは。

私に変なうわさを伝えた羽根は大馬鹿だな。

と言っても、既にここが罠なんじゃないかとは思ってたが。

 

「でも、ここに行くべきだとは思いますよ、私は」

「どうしてだ?」

「このうわさは私を釣るために仕組んだうわさだからです」

「つまり、あなたをここで仕留める為の罠だと」

「はい、でも知っての通り、私は半端な羽根では倒せない。

 幹部だって、私と1対1で戦ってもほぼ勝ち目がない。

 私を確実に潰すために仕組んだ罠だとすれば

 

 何人もの幹部を投下する必要もある筈です。

 と言っても、この罠は昨日の罠。

 今日も張ってるかは分かりませんが」

「でも、試してみる価値はあると?」

「はい、十七夜さんが居るのであれば…ね」

 

彼女は心を読めるんだ、ならば、幹部の心も読めるはず。

そうすれば、色々な情報を取得することだって可能だろう。

 

「…なる程ね…でも、罠だと分かってる場所に向うの?

 かなり危険が伴うわ」

「それでも、行ってみた方が良いだろう。情報を得るためにはな」

「私もそう思います。十七夜さんも協力してくれるのなら」

「無論、協力しよう。情報を得るためだからな」

「ありがとうございます」

「よし、なら行こうか」

「はい!」

 

罠だと分かりきっているからこそ向う。

ここで幹部を捕獲し、心の内を読んで貰えば情報を得られるはずだ。

私達はすぐにその罠と思われる場所へ向った。

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