魔法少女の道化師   作:幻想郷のオリオン座

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総力戦の幕開け

うわさへの入り口が何処にあるか。

見た感じでは何処に何があるかが分からない。

違和感があるわけでも無いが…可能性があるとすれば。

 

「観覧車が怪しいな」

「そうね」

 

私達は観覧車が怪しいと睨み、そちらに足を運ぶ。

 

「これ以上は行かせない」

 

当然と言えば当然だが、結構な数の黒羽根と白羽根が姿を見せた。

しかし、こいつらに足止めされるのは避けたいところだな。

 

「分かってたことだが、結構な数のお出迎えだな」

「ふむ、見知った魔力もいくつか混ざってるな」

「ここでこいつらと言う事は、奥にマギウスが居そうね」

「そうですね…でも、それだけじゃない…幹部も勢揃いでしょう」

 

ついでに魔女の気配もある。凄まじい防衛ラインと言えるな。

 

「魔女の気配も…それに羽の数も尋常じゃないわ。

 予想以上に遙かに多い…ここまでとはね」

「事前にかなり準備をして居たと言う事でしょう。私が居るから」

 

私はマギウスに最大限に警戒されてるらしいからな。

私が動けると言うのであれば、最大の砦である

このうわさを破壊されないよう、準備をしてきたんだろう。

 

恐らく罠で私を捕えきれなかった場合も考えて。

用意周到という奴だな。

 

「この数は流石に不味いかも知れないわね…

 仕方ない、うわさには2人で当って

 羽根達には6人で」

「いや、これは私が招いたこと。それで足は引っ張りません。

 それにフェリシアもさなも鶴乃を助けたいに違いない。

 だから、私が相手をします。何なら1人だけでも」

 

数が多い、怪我をさせてしまうかも知れないが邪魔はさせない。

 

「梨里奈! いくらあなたでも…」

「お前達…怪我はしたくないだろう? 怪我をしたくないなら

 私達の前から消えろ…救われても一生残る傷を負いたいか?」

 

私が指を鳴らすと同時に、羽根達を全て包囲する程の短刀を召喚した。

私がその気になれば、もう一度指を鳴らすだけでさよならだ。

 

「な…この数は…」

「警告する…邪魔をするな、もう一度私が指を鳴らせば」

「く…」

 

羽根達が一斉に退いたのが分かった。威嚇には十分だな。

 

「こ、これ程の武器をどうやって出したんだ?」

「私は魔力消費が少ないので」

 

私の魔力消費はかなり少ない。魔法の消費もな。

身体能力を上げたり、動体視力を上げたりという使い方であれば

消耗は激しいが、武器を出す程度なら大した消耗にはならない。

 

「さ、退け」

「ひ、怯むな! 脅しだ!」

「仕方ない…全員、観覧車に向けて走るんだ」

 

私はもう一度指を鳴らす。それを合図に短刀が降り注いだ。

 

「うわぁ!」

「さぁ、道は作った! 1直線に!」

「えぇ、分かったわ!」

 

短刀を私達が進むだけの道幅を開け、落とす。

羽根達は私が落下させた短刀に怯え、左右に仰け反り道を作った。

 

「クソ! 行かせるな!」

「ここで魔力を消耗しないでくださいね、私に任せて」

 

羽根達の攻撃は全て私の短刀が防ぐ。

同じ様な攻撃ばかりなのは、そう言う制約があるからなのだろう。

だが、そのせいで個性ある戦いが出来ない。

これでは簡単に防がれるし、対策される。

 

「クソ、攻撃が全部弾かれて、うぁ!」

「あはは、むしろ羽根達が可愛そうだね」

「うむ、やはり凄まじい実力のようだな」

「魔女が相手なら、もうちょっと容赦なく動けるんですけどね」

 

短刀の雨を避けて、飛びかかってくる羽根達を体術で制圧した。

私1人で対処出来ない場合は、十七夜さんとももこが迎撃してくれてる。

 

「うし、これならあたし達4人でも何とかなりそうだね!」

「本当、あなた達が敵に回らなくて助かったわ」

「仲間は偉大ですね」

 

そのまま羽根達を迎撃しながら、観覧車の前にまでたどり着く。

羽根達はここまで来る間に、半分くらいリタイヤした。

流石に容赦が無かったな。だが、戦う気力を奪ったまで。

流石に服がボロボロでは戦いたくは無いだろうからな。

逃げ出す大義名分を作ったまでだ。契約したとは言え少女だからな。

 

「繊細な事も出来るんだな、羽根達のローブを引き裂くとは」

「確かにあれだと戦えないわね。怪我も無いしまともな手段だけど」

「大怪我をさせるわけには行きませんからね。

 と言っても、やり過ぎた感は否めませんが」

「ま、大丈夫だろ、あいつらがやろうとしてる事と比べればさ。

 人の命を奪う行為なんかとは比べものにならないよ」

 

撤退せざるおえない状態にすれば、撤退する。

勝ち目がないというのに、そこまでして戦いたくは無いだろう。

 

「さて、観覧車の近くまで来たわね」

「この近くにアリナ達が…」

「近く所か真上に居るんですけど」

 

アリナの攻撃か、真上からの攻撃とはね。

 

「やっぱりここに居たか、マギウス…」

「チッ、不意打ち全部防ぐとかどうなってるワケ?」

「不意打ちだったのか? これは失礼。ただの挨拶だと思ったよ」

 

アリナの攻撃は全部私が召喚した短刀が弾いた。

中にはマチェット弾、マミの弾丸も混ざってたな。

 

「やっぱりあんただけは排除したかったんだよネ。

 他2人はまだどうにでもなるけど、あんただけは」

「だからね、この場であなた達を倒そうと思って沢山揃えたんだよ?」

「マギウスの最高戦力に近い状況よ? 流石のあなたでも苦戦するでしょ?」

 

地上にマミが姿を見せた。その背後から七美が姿を見せる。

七美の髪には、私が渡した髪留めが付けてあるのが見えた。

 

「梨里奈ちゃん、今度こそ私達の勝ちだよ」

「まだ勝負も始まってないぞ? 七美」

「いーや、流石のあなたでももう勝ち目はないよ?

 幹部もマギウスもぜーんぶ揃ってるんだよ?

 いくらあなたが強くても、この戦力は覆せないって」

「本当なら1人で倒したい所なんだけど、流石にネ」

「さっきっから梨里奈梨里奈って、あたし達も居るんだぞ!?」

「あぁ、そちらの戦力が揃っているのなら、我々の戦力も揃ってる。

 個の実力であれば、自分達はお前達よりも上だろう」

「へー、凄い自信だね-、でもざーんねん!

 私達と羽根達は実力がぜーんぜん違うの。

 あなた達の中で私達とまともに戦えるのって

 多分東のボスとベテランさん、後はピエロちゃんだけなんだよね」

「ピエロって、誰の事?」

「あなた達の最高の切り札だよ、仙波 梨里奈。

 弥栄から聞いたよ? ピエロなんだってね?

 人の期待に答える事しか出来ない、ただのピエロ」

 

弥栄に言われて以来だな、その呼び名は。

 

「梨里奈さんをそんな風に言わないで! 灯火ちゃん!」

「んー? どうしてあなたが怒るの~?」

「私だって怒ってるわ、大事な仲間の悪口を言われたんだから」

「やっちゃん…」

「事実を言ったまでだよ?」

「そうだな、確かに事実だ。私が今の私で居る理由はそれだ」

「梨里奈…」

「周囲からの期待を浴びて、その期待を裏切りたくないと思った。

 周囲から天才と謳われ、その期待を裏切りたくないから努力した。

 私にはそれしかなかった、少なくともあの時までは」

「……」

「だが、今は違う。私は今、私の意思で選び、ここに立ってる!

 もうピエロは居ない。また出てくることもあるかも知れないが

 少なくとも、今! この場にピエロなんて存在はしないんだ!

 ここに居るのは期待に答える事しか出来ない道化師なんかじゃない!」

「まー、あんたが道化師だろうと何だろうと、アリナはどうでも良いんだけどネ。

 あんたはここでアリナ達に殺されるんだからネ」

「やってみろ、私はここでは死なない。私は1人では無いからな」

「まぁ、力の差を教えてあげるよ! みふゆ、ベテランさんをお願いね」

「分かりました」

「私は環いろはを止めるわ」

 

マギウス達が臨戦態勢になった。前座はこれまでか。

 

「うむ、では自分は羽根を足止めするとしよう」

「十七夜さん、あたしも手伝うよ」

「俺は姉ちゃんを助けるぞ!」

「わ、私はいろはさんを」

「梨里奈さん、私も…お姉ちゃんを…」

「違うよ、梨里奈ちゃんの相手は私達!」

「っと、また糸か」

「ヤバい! 急いで姉ちゃんを追いかけて」

「違う、お前は私が相手してやる! 久実!」

「な! あの子は何だ!? 早いぞ!」

「うわ!」

 

弥栄が十七夜さんとももこをかいくぐって…

弥栄、あそこまで強かったのか!

 

「や、弥栄お姉ちゃん…」

「久実…絶対に許さない!」

「この! 久実から離れやがれ!」

「チ、邪魔するな!」

「うぉ! 何だこいつ! 力強ーぞ!」

「弥栄があそこまで強いなんて!」

「仲間の心配してる余裕があるワケ!?」

「あなたの方が危機的状況だと言う事を自覚しなさい!」

「4人で足止めすると言った手前、

 やっぱり無理だったは示しがつかないからな!」

 

私は七美の糸を切断すると同時に、マミとアリナの攻撃を弾く。

 

「絶対に負けない!」

 

少しでも早く倒さないと不味い。時間を稼がれる訳にはいかないからな!

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