最速だ、初っ端からトップギア。
私はすぐに第六感の限界突破と
自身の身体能力の限界突破を重ねる。
「そこ!」
「同時はキツいでしょ?」
「アハハ!」
同時に3人が私に攻撃を仕掛けてきた。
私はすぐに七美の水平方向に展開した糸を避ける。
飛んで来たアリナとマミの弾丸は
自らが召喚した短刀で防ぎ、弾く。
「な!」
マミの弾丸は綺麗に跳ね返りアリナに当った。
致命傷では無いさ、ちょっと足に当っただけだ。
「クソ…ど、どうやって!」
「第六感の限界突破。言わば、勘を突破してる。
どの角度に反射すればそこに跳ね返るか。
所詮は勘でしかないが、無事に当る物だな」
簡単に言えば、自分の勘を強化する状態だからな。
何処が急所か、所詮は勘でしかないが当るんだ。
この勘というのは中々くせ者で、知識にある物から
知識にない物まで多少は対応することが出来るんだ。
「つまり、私への同時攻撃は場合によっては
自らに刃を突き立てるような物だ」
「飛び抜けてるわね、あなたは」
「時間が無いんだ、最高速度でケリを付ける!」
いくつもの短刀を手元に召喚し、私は3人に駆け寄る。
当然、半端な速度ではない。
「そう何度も食らうもんですか!」
「今回の計画はマギウスが揃ってる今でしか出来ないんだったな。
お前達が目的の為に手段を選ばないなら、私も選ばないでやろう。
アリナ、お前を殺す。それでお前達の計画はお終いだ」
マミの弾丸を全て弾き飛ばし、アリナに跳ね返す。
「うぐぁ!」
避けようとするも、避けきれず、アリナに大きなダメージとなった。
「不味い! 下手な攻撃が出来ない!」
「じょ、冗談じゃ…」
「殺人も辞さないんだろう? お前達がやってる事は。
安心しろ、私がこれからしようとしてることもお前らと同じだ。
ただ直接手を下すか下さないかの違い…むしろ健全だろ?
何も知らない他者を洗脳し、その人物に殺人を犯させるよりは
遙かに健全だし良心的なことだ。お前を殺す事は造作ない」
相手のソウルジェムを破壊する程度、大した労力は要らない。
一撃だ、私が短刀を投げるだけで、簡単に破壊できる。
「それにまぁ、魔法少女は『人』じゃないらしいからな。
お前を殺したところで、人殺しにはならないだろう
化け物が化け物を殺したに過ぎない、そうだろ?
だから、お前達は平気な顔で人を殺せるんだ。
既に化け物だから、人なんて所詮は食い物でしかないんだろう?」
「あんた、目がマジなんですけど…」
「あぁ、本気だからだ」
私は短刀をアリナに向けて振り下ろした。
「止めて!」
だが、私が振り下ろした短刀は七美に止められる。
「梨里奈ちゃん…止めて…それは駄目! 人殺しにならないで!」
「七美、お前はどうなんだ? このままじゃ、お前は人殺しだぞ?」
「……」
「巴マミ、お前もだ。このままではお前も人殺しだ。
何か崇高な想いがあったとしても、その現実は変らない。
その行動がお前の正義だとしても、お前は人殺しでしかない」
「あなたには関係ない事よ、魔法少女の救済のためには仕方ない事よ」
「じゃあ、私は神浜の人々を救うために、アリナを殺すぞ?
私が正しいと思ったことをやり遂げるために
私はアリナを殺すぞ? 簡単だからな。大量虐殺よりも簡単だ」
1人の魔法少女を殺す程度、造作ないからな。
私は七美を振り払い、アリナに短刀を向けた。
「死ね、殺戮者」
「この!」
「止めなさい!」
「ふん」
マミが放った弾丸を軽く弾いた。
至近距離でも大した労力ではないな。
「そんなに解放が大事か? その焦りは何だ?
殺人も辞さない相手の割には、随分と動揺してるな。
そんなに人が眼前で死ぬのは恐いか? 巴マミ」
「……」
「梨里奈ちゃん、や、止めて…」
「お前らの大量虐殺と比べれば大した事は無いだろう?
所詮、1人の人間が死ぬだけだ。数千もの人じゃない。
所詮1人だ、たかが1人だ、数千人と比べれば造作ない。
そうは思わないか? 1人の命と数千もの命
天秤に掛けたところで、1ミリだって動かないだろ?」
「何なの、あんた…随分と気が狂ってるね」
「お前には言われたくないな、アリナ。
私は今、結構キレてるんだ。普段通りに見えるかもしれないがな。
大事な仲間を大量虐殺の道具されたんだからな。
全くふざけた連中だよ。大量虐殺も当然だが
それを自らの手で行なわないというのも、実に腹立たしい。
所詮、解放などと謳っても、自分で選択しない愚者だな。
死を眼前にするのがそんなに恐いか?
死を目の当たりにするのがそんなに恐ろしいのか?
解放のために自らが恐怖するのがそんなに嫌か?
なら、お前達に取って解放なんて、その程度の物でしかない!
だが、私は殺せる。神浜の人々を救うためにお前達を殺せる。
お前達殺せば、全ての計画は頓挫し、このうわさも無意味となる。
うわさを作る必要も無いだろう? 簡単だ、今なら殺れる」
「この、させないわ!」
「来たか」
背後から飛んで来た灯火の攻撃を私は避けた。
「この計画はマギウスが3人揃ってる今だから出来るんだよ!
アリナを殺される訳にはいかないんだから!」
「は、引っ掛かってくれたな? 何度も言ってるだろう?
私は人を殺す度胸はないんだ。必要とあれば殺せるがな。
4人とも! 今のうちに滑り込め!」
「よ、よし! 皆! 急ぎましょう!」
「えぇ!」
灯火がこっちに来たことで、いろは達が観覧車へ向けて走り出した。
いつ来るか分からなかったが、無事に来てくれて助かったよ。
「ちょっとは予想出来てたけど、やっぱり陽動だったんだね!」
「あぁ、だが言った事は本心だ。お前ら2人の命と
数千人もの命、天秤に掛けたところで1ミリも動きはしないさ」
「本当むかつく!」
「どうする? たった4人で今の私を止められるか?」
「容赦しないんだから! もう集めたエネルギー
無理矢理使ってでも倒す!」
「本来ならお前達2人を即座に排除しても良い。
殺して、1人欠けさせるか、2人欠けさせても良い。
さっきの話が本当なら、1人殺せばそれで終りだろう?」
「ッ」
「だが、やらないでおこう。七美に免じてな。
だが、再起不能にはなって貰うぞ!」
「やれる物なら、やってみてよ!」
ここまで本気になったのはいつ振りだろう。
私は今まで本気を出し切れてない。
きっと、今だって全力は出し切れないだろう。
だが、やれるだけの事はやる。
必ず4人が出てくるまでの時間は稼ぐ!