「梨里奈さん…大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃ…無いかな」
あの死闘が終わった次の日だが…私はまだあまり動けない。
全身の筋肉痛が酷い…肉離れという奴だろうなぁ。
全身が相変わらず串刺しにされてるかのように痛む…
「酷い筋肉痛ね…あなたの限界突破は本当に体への負荷が大きいわね」
「えぇ、自分の体を無理矢理限界以上で動かしてるわけですしね。
あぅ…ちょっと目も痛い…はぁ、視力は全く落ちてないがな…」
「本当、無茶しないでよね、梨里奈ちゃん」
「鶴乃、お前も相当辛そうだが大丈夫なのか?」
「あっはっは! 私を誰だと思ってるの!?
最強の魔法少女、由比 鶴乃だよ! あぅ、いたた…」
「無理するなよ、鶴乃。お前も相当消耗してたんだからな。
うわさで無理矢理動かされてたとすれば、当然と言えるが」
「あはは、そだね、でも私の場合は梨里奈ほど酷くはないよ」
「辛いのは変わらないだろう? 他人とはあまり比べない方が良い。
私は慣れてるからな…思いの外平気だぞ」
と言っても、ここまで酷い痛みになったのは今回が初だが…
やはりあの限界突破の多様は体に負担が掛りすぎるな。
しかし、私にはそれしか出来ないからな、脳筋と言う奴か。
「うぅ、ごめんな、2人とも…俺がもっと強かったら…」
「フェリシア、落ち込む必要は無い、私が異常なだけだ。
自分で言うのも何だが、私は強いからな。狙われるのは仕方ないんだ」
「実際、向こうとしても梨里奈をどうにかしたいと言う気持ちは大きいでしょうね。
私達の最高戦力であり、現状バランスを崩壊させてるのはあなただもの。
マギウスにとって、あなたほどに厄介な相手は居ないでしょう」
「でしょうね。本当、1人じゃ無くて良かった…」
私1人だけだったら、休む事も出来ないからな。
私の魔法の特性上、1人でも戦えるだろうが…死んでしまいそうだ。
「とにかく、鶴乃と梨里奈はしばらくの間
みかづき荘からは出ないで、しっかりと休んでなさい。
その間、炊事洗濯の当番は私達で回すから」
「あはは、そうだね…はぁ、でもなぁ…あぁ…」
「鶴乃! どうしたんだ!? うわさの影響か!?」
「……本気でガッカリしてるだけなんじゃ無いか?」
「あ、あはは…か、皆勤賞が……」
「ほ、本気で狙ってたからね、皆勤賞…」
「あぁ…そうか…鶴乃、分かるぞその気持ち」
「えぇ!? 梨里奈も分かってくれるの!?」
「あぁ、私も中学の時、1日体調不良で休んで
皆勤賞を取り逃した、卒業まで数ヶ月でな」
「うぅ、つ、辛いよね、頑張ってたのに…」
「そうだな…出席は1度取り逃がしたら2度と手に入らないからな。
だが、所詮は数字でしか無い。大事な物を失ったわけじゃ無いんだ。
……所詮はただの数字さ。ゲームのスコアと大差無い」
「た、確かにそう思うと、す、少しは気持ちが楽かも!」
「そうだろう?」
正直、私は出席を取り逃がし、皆勤賞が消えたことはどうでも良かった。
そんな物よりもとても大事な物を、その前日に失っていたのだから。
だが、今の私はその大事な人を救えるチャンスがある…幸福なことだ。
お互いに魂の無い、人の形だったとしても…私に取って
あいつは掛け替えのない親友…だから、必ず取り戻す。
それにそう悲観することでも無いだろう。例え私が偽物でも
私は他でもない、私自身である事に変わりは無いのだから。
そう自信を持って言える…私は私だ。
そして、七美も七美だ…1度死に、蘇ったとしてもな。
「鶴乃が何とか立ち直ったようね。やっぱりあなた達は似てるのかしら」
「そうかもね、私と梨里奈ちゃんって、意外と似てるかも!」
「私もお前も、結構無茶をするからな。今回も一緒にダウンだし
意外と似てるかも知れないな、私達は」
「鶴乃ちゃんの事にいち早く気付いたのも梨里奈さんみたいですしね」
「似てるからな…だが、私は自分の為に自分を堪え
鶴乃はその優しさ故に、自分を堪えてた。
同じく堪えてた身の上だが、私は自分の為で、鶴乃は皆の為だ。
鶴乃のほうが、私なんかよりもずっと上等な子だよ」
「そんな事無いよ梨里奈ちゃん! そんな風に言わないで!
自分をそんな風に貶したりしたら駄目だよ!」
「梨里奈さんは凄く優しい人です! そ、そんな風に思わないで…
お、お姉ちゃんが言ってました! 梨里奈さんは凄く優しいって!」
「そうですよ! ネガティブに考えないでください!
梨里奈さんは私達の大事な仲間なんですから!」
「…そうだな、すまない。それは昔の私の事だった。
今は…昔とは比べものにならないくらいに上等になれたよ。
皆のお陰でな…ありがとう。そして、私が元気になれたのは
やっぱり七美の影響も凄く大きい…私もあいつみたいに
あいつを支えて、お互いに強くならないとな」
必死に訴えてきてた久実の頭を撫でる…
絶対にお前の姉を救ってみせると…そう思いながら。
「まぁ、強くなるにせよならないにせよ、まずは休みなさい。
覚悟を改めるのは大事だけど、まずは体を整えないとね。
体中が痛いんじゃ、前向きな発想もし難いでしょう?」
「そうですね、確かに痛いとどうも後ろ向きになる」
「痛いってだけでストレス凄いからね。当然と言えるわ。
特にあなたは相当無茶をしてたんだから、本当にゆっくりして」
「はい、ではお言葉に甘えて、しばらく休ませて貰います」
「えぇ、無理しないようにね。じゃあ、料理を用意しましょうか。
いろは、フェリシア、さな、手伝って頂戴」
「はい!」
「ま、仕方ないか」
「足を引っ張らないよう、頑張ります」
「あ、あの、わ、私は…」
「久実ちゃんはそのまま梨里奈と鶴乃のお世話をお願いするわ。
何かあったら呼んで頂戴」
「は、はい!」
しばらくは動けそうに無いが、それは向こうも同じかな。
とにかく今は体を休めよう。向こうが何をするか、分からないのだから。