魔法少女の道化師   作:幻想郷のオリオン座

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無意識に

しばらくの間だ、私達はゆっくりと休ませて貰った。

そのお陰で、ようやく私も筋肉痛が治ってくれた。

まだ完治ではないが、酷いときよりは大分楽だな。

 

「ふぅ…筋肉痛が治るのに1週間以上掛るとは…」

「え? 今日終わったの…?」

「あ…ま、まぁ…完治したのは…今日だな」

「……」

 

しまった、つい嬉しくて口が滑ってしまった。

筋肉痛が1日で治ったと嘘を吐いたのが…

 

「梨里奈」

「……あー、その…い、今完治しただけで…

 い、1日終わった後は、ある程度痛みは引いてました…」

「あら、そうなの…なんて、言うとでも思うの!?

 無茶はするなと、あれほど言ったのに!」

「す、すみません! 何だか1人だけ何もしないのは辛くて!」

「あなたは無茶ばかりするんだから! どうしてそんな無茶ばかりするの!?

 あなたの事を心配している私達の身にもなりなさいよ!

 良い? あなたは私達の大事な仲間なの! 

 辛い時に頼って欲しいと、私達はそう思ってる!」

「面目ありません…」

 

うぅ、や、やちよさんに怒られてしまった…

だ、誰かが本気で怒ってくれるのは何だか嬉しい…

しかし、私はやちよさんや皆を裏切ってしまったに等しい…

嬉しいとか思ってる場合じゃ無いんだよなぁ…

 

「おぉ、姉ちゃんが怒られるだなんて珍しいな」

「そうでもない…よ…私、何度も見てるから…」

「ん? そうなの? 俺は初めて見た気がするぞ?」

「何度も、七美お姉ちゃんに怒られてるの、見たから…」

「七美…姉ちゃんの親友だっけ。やっぱり恐いんだな。

 俺、あいつに勝てる気がしない…」

「な、七美お姉ちゃんはや、優しいんだよ!

 今はちょっと…違うだけで、いつもは凄く優しいの!

 梨里奈さんと同じくらい、優しいんだから…」

「姉ちゃんより優しいのか? そんな風には思えなかったけどなぁ。

 まぁ、俺もあの七美? って、姉ちゃんと話はしてないし

 あの時、ちょっと見ただけだから雰囲気しか分からないんだけどな」

 

あぅ…何だか皆に不甲斐ない姿を見せてしまった…

 

「本当、あなたは…もう少し自分を労りなさいよ」

「そうだよー、私にあんな風に言ってて

 自分はやらないなんて酷いよー」

「か、返す言葉も無い…こ、ここは反省して、より一層!」

「休みなさい」

「……はい」

 

もう何も言い返せなかった…こ、これ以上怒られるわけにはいかない。

何だか、みかづき荘に来てからと言う物

私の化けの皮が剥がれ続けてる気がする。

 

元々、私は結構抜けてるというか…意外とドジというか。

まぁ、無茶してしまうのは今も昔も変わらないがな…

……は、はは……あぁ、そうだな。変わらない。

 

「やちよさん…ご心配を掛けてすみません」

「全く、もう無茶しないで頂戴」

「えぇ…ありがとうございます」

 

今日は休む事にしよう…大人しく、休むとしよう。

……休む…か、何だろうな、心地良い気がする。

部屋に戻って、ある程度持ち出してた資料を読み漁る。

誰から強制されたわけでも無く、自分の意思で。

 

「……ふぅ、寝転がりながら勉強をするなんてな」

 

とりあえず、学校で貰った教科書は全部読んで全部理解した。

しかしたまには見返してみたりする、忘れないように。

とりあえず、今まで出されたテストは全て満点。

昔はそうでもなかったが…今は、その結果が誇らしい。

 

勉強が楽しいと思えるようになった。

頑張って勉強しようとしてる久実を見ると何だかな。

そうだよな、勉強…普通は誇らしいことだよな、この点数は。

 

「……んー、しかしまぁ、勉強はここまでにして。

 ひとまず…そうだな、マギウスの翼がどう動くか

 こう言う何も無いときが逆に恐いし、考えておこうか」

 

さて、柊ねむは最後、後が無くなったと言ってたな。

そして、ああ言うタイプは大体切り札はそう簡単には切らない。

想定が悉く砕かれたときに、必ず対処出来る切り札がある筈だ。

 

今まで、マギウスの翼が取ってきた行動が

あいつらが思う範囲で実は手段を選んでいたとする。

…孤独ルーム、絶交ルール、口寄せ神社…他にも色々あったが

それらに共通する部分は…意外と分からないな。

 

でも、どれもこれも、実は良いうわさに悪い部分を追加したうわさか?

絶交ルールは…そうだな、結果として真の友情を育めそうなうわさではある。

いつも喧嘩をしたりして、素直になれない友人同士。

そして、攫われるのタイミングは絶交と言われた人物が和解を申し出たとき。

その時、絶交と言った方が助けに行けば、お互いに友情を深める事が出来る。

 

このうわさ、タイムリミットが無かった場合であれば

意外と良い効果があるかも知れない。だが、リミットがある。

 

次に口寄せ神社だが、こっちも帰れなくなると言う部分が無ければ

普通に良いうわさだろう…別れも言えずに別れることになった人物が

最後に…その別れた人物に最後の言葉を掛け、過去に引導を渡せる。

例え相手が幻影でも、最後の言葉を言えたと言うだけで気持ちは救われる。

 

 

「うわさか…どう言う経緯で作ろうと思ったんだろうな」

 

うわさで集めてるのは不幸だろう…しかし、不幸を集めてどうするんだ?

……いや、そう言えば魔法少女も辛い思いをすれば魔女になるんだよな。

やはり不幸だとか、感情の起伏には莫大なエネルギーがある。

ドッペルもその類いだったか…なら、このドッペルでどうにか出来ないのか?

 

「んー…はぁ、考えても分からないか…とりあえずだ

 マギウスの狙いは不幸をかき集めることとして

 何が1番効率的かとなれば…やはり、人員を割くことか?

 いやいや、それもそうだが…それよりもマギウスが優先したいのは」

 

……これで僕達も後が無くなった、もう手段は選ばないよ。

 

「……もう、後が無くなった場合、私があちらの立場ならまず」

 

邪魔者を排除するだろう。邪魔になる可能性がある異物を。

私が彼女達の立場であれば、もはや失敗できないのだから。

必ず邪魔者を排除し、より盤石な構えを取るだろう。

邪魔者が居なければ、どんな手を打とうとも成功するのだから。

 

そしてもうひとつ…邪魔者を排除できなかった保険を用意する。

最後の一手を、どうしようも無いほどに強大な一手とするか

どんな相手でも倒せる、えげつないうわさを用意するか。

 

私があちらの立場であれば、保険を用意した後に

殲滅用のうわさを用意して、殲滅を開始するだろう。

うーん…しかしどうだろう。相手に私が居るんだぞ?

半端なうわさでは効果が無さそうだ…私を封じる方法。

 

私に不意打ちを仕掛けて無力化するか…

あるいは私が本気を出せない場面を作り出すか。

あるいは物量で私を押しつぶそうとするか。

 

七美と弥栄を人質にして私に本気を出せなくする?

私が手加減せざるおえない相手を用意する?

私だけじゃ手に負えないほどの戦力を用意する?

駄目だな、どれも出来そうだ…的が絞れない。

 

「はぁ……動きが読めないのが厄介だな」

「……あ、あの、り、梨里奈…さ、さん」

「ん? あぁ、久実か。どうした?」

「え、えっとね…べ、勉強を教えて欲しくて…」

「ん、良いぞ。勉強を教えるくらいなら

 やちよさんも許してくれるだろうしな」

「ほ、本当ですか!?」

「そうだ、あぁそれと久実、1つ良いか?」

「え?」

「敬語は良いよ、姉と会話してる程度の気分で良い。

 はは、私はお前が敬語を使わないといけないほど

 遠い存在じゃ無いからな。とても身近なお姉さんだ」

「…う、うん! り、梨里奈、お、お姉ちゃん!」

「ん、まぁそれでも良いよ。さぁ教科書を持ってきてくれ。

 何でも教えてやるぞ」

「う、うん! ま、待っててね!」

 

嬉しそうに笑い、久実は私の部屋からドタドタと出ていった。

…梨里奈お姉ちゃん…か…ふふ、悪くないな。

立派な姉になれるよう、頑張らないと。

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