このままのんびりは出来ない。
折角コースターを渡せたというのに…本当に容赦が無い。
せめて明日まで待ってくれれば良かったのに。
クソ、もう夕暮れじゃ無いか…
「……梨里奈、分かってると思うけどどう考えても罠よ。
あなたの親友は恐らくマギウスの切り札に近い存在。
そんな存在を無下に扱うとは思えないわ」
「そうでしょうね、七美のドッペルは対策が困難です。
そんな七美を私の餌のために使うとは思えない。
だけど、やちよさん…僅かでも可能性があるなら…
私はその可能性を無視することが出来ません…
七美だって、私をマギウスの翼に引き込むためと言われれば
その役目を引き受ける可能性だってあるんです。
……僅かだとしても…その可能性を…無視出来ない」
「……そう」
「すみません。後はお願いします」
「梨里奈ちゃん…魔法少女を皆助けた後なら
私達が行っても良いかな?」
「……そうだな、その後なら大丈夫だ。
多分、その頃にはもう全部終わってるはずだからな」
どんな状況になってるかまでは分からないが。
少なくとも全て終わっている筈だろう。
「分かった…じゃあ、魔法少女達を全員調整屋に集めてから行くね
でも、梨里奈ちゃん…無茶はしないでよ」
「無茶は…きっとする。するしか無いんだから。
心配を掛ける事になって…すまない」
「梨里奈ちゃん!」
もう立ち止まって居られなかった、急がないとならない。
とにかく急いでヘリポートに向おう!
確か、アイが転移させてくれた場所だった筈だ!
「…ウ゛ゥ…」
「ち、邪魔を、なん!」
く、何故…分からないな、私はマミの誘いで来たんだ。
どうして羽根が…足止めをする必要があるのか?
しかし何だ…動きが今まで以上に愚直というか
まるで思考してないように、短絡的な行動だ。
「全く、邪魔をするな」
こんな連中に魔力を消耗してる場合じゃ無いからな。
ひとまず軽く投げて、そのまますぐに。
「ウゥ!」
「ッ!」
投げ飛ばしたのにまだ動くのか? 前までは簡単だったのに
何だ…今日は随分と根性があるじゃ無いか。
しかし何だろう。決意を新たにした…と言う訳じゃ無さそうだな。
さっきから会話も何も出来そうにない。本当にどうなってるんだ?
仕方ない、多少痛いだけの攻撃じゃ動くのなら
確実に意識を奪える攻撃をすれば良い。
女の子を路肩に寝かすというのは酷だが、許せ。
「ウァ…」
「流石に気絶はするんだな。全く、邪魔な」
「ウゥ!」
「…まだ来るのか…邪魔をするな!」
急いでいるというのに、羽根達が邪魔をする!
何だ? 私に来て欲しいんじゃ無いのか? 何が狙いだ、マミ!
「全く…蟻の様にゾロゾロと…」
「ウァゥ…」
「…しかし何だ? まるで理性の無い獣の様だぞ?」
「ウガァ!」
「返事くらいしろ!」
魔法少女に変身したままでの行動は消耗的に不味いか。
ひとまず変身を解除した状態で、さっさと急ごう。
不意打ちへの対処が甘くなる弱点があるが
状況が状況だ、このままでは長期戦は避けられない。
消耗しきった状態でマミと戦う事になるのは避けたいからな。
「うわぁあ!」
「女の子の声? 羽根か?」
「ちょ、ちょっと…ど、どうなってるの!? 何で私襲われてるの!?」
「そこの魔法少女! こっちに来い!」
「え? あ、あなたは…確か梨里奈さんだっけ? うわさは聞いたことが
って、きゃわぁ! もう来ないで! あ、だ、駄目!」
「全く!」
何処の誰だか知らないが、見て見ぬ振りは出来まい。
私は短刀をソウルジェムから取りだし、彼女に攻撃しようとした
羽根の武器に短刀を投げ、当てた。
「えぇ!?」
「もう動くな!」
そのまま一気に羽根に接近し、彼女の意識を奪った。
「あ、あなた、ま、魔法少女の事、知って」
「私も魔法少女だからな。それよりも今はあまり時間が無い。
調整屋に皆を集めてる! そこに行って状況を聞いて欲しい。
私は今、事情を話してる余裕が無いくらいに急いでるからな」
「で、でも! って、あ、危ない!」
「良いから、説明はそこで聞いて欲しい」
飛びかかってきた3人の羽根達の意識を奪う。
相手の意識を奪う手法は分かってるからな。
「な…す、凄い速かった…ま、魔法少女に変身してないのに…」
「私は強いからな、だから私の事は気にしないで良い。
急いで向って欲しい。流石に護衛までは出来ないから
自分の身は自分で守るんだ、じゃあな」
本当にあまり時間が無いというのに手間を取らせてくれるな。
無駄に数が多いというのが一番厄介だ。
「ん? 魔女の気配だと!? しかも…結界の中じゃ無い!」
七美の…どっちだ? 七美が捕まってないのか
はたまた捕まってるけど自分から捕まってるのか。
どっちだとしても…私には都合が悪いな。
いや、捕まってないならそれはそれで良いが。
それでも可能性が0では無い限り、行くしか無いだろう。
「邪魔だ! 魔女!」
「ギニィ!」
魔女とのすれ違い様に魔女の懐に入り、ソウルジェムから出した短刀で
魔女の全身を斬り裂いた。一瞬でバラバラになった魔女はソウルジェムを落とす。
あまり時間は掛けたくないが…最悪の場合を想定して頂いておこう。
多い方が長期戦となりそうな今は有利だからな。
「ウゥ!」
「またお前達か…いい加減に邪魔をするな!」
時間が掛る…暗くなってしまいそうだ。
あぁもう…最悪だ! 全く! 折角の良い気分が台無しだ!