魔法少女の道化師   作:幻想郷のオリオン座

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地上での懸念

周囲が光りに包まれた後、周りを見渡す。

元の森の中…なのかも知れない。

 

「凄い雨と風だな…」

「はぁ…はぁ…皆、大丈夫?」

 

ももこ達が私達の元に駆けてくる。

 

「梨里奈ちゃん…大丈夫そうだね」

「七美…良かった、無事だったか」

「うん、何とか」

「やっちゃんは大丈夫ですか?」

「みふゆも無事みたいで何よりよ」

 

周囲を軽く見渡した後。1箇所、妙に違和感があるな。

大量の巨大な槍が突き刺さってる場所があった。

1箇所に纏まってるようには見えないが…あぁ、七美の魔法か。

 

「結構苦戦しちゃったけど、あはは、何とかなったよ」

「糸を操るって、微妙だと思ったが、案外強力なんだな」

「糸を操るんじゃなくて、繋ぐ魔法だって。

 どんな障害物があろうとも、関係なく繋げるよ。

 まぁ、あのうわさみたいにデカすぎるのは止めれなかったけど。

 やっぱり沢山居ると色々と出来て楽だね」

「えぇ、七美さんのお陰で決定打を与える事が出来ました」

 

何とかこっちは無事だったと言う事か。一安心だ。

 

「まぁ、想定よりも大分早かったけど結果イブが地上に出られたよ。

 あなた達がうわさを倒してくれたお陰だよー、ありがとうねー」

「ど、どう言う事? わ、私達のお陰って…」

「マギウスは最初からイブとやらを地上に出したがってたんだ。

 まぁ、精神的動揺を与えたいならそう言うのが楽だろうな。

 わざわざ七海達が消さなくても、いつでも消せたはずだろう。

 くだららない精神攻撃だよ……」

「そう言う…イブがマギウスの切り札って言うのは聞いたけど…」

「で…イブを地上に出して…どうしたいんだ?」

「イブを解放して、ワルプルギスの夜を捕食させる。

 そして、イブは完全な魔女に孵化することが出来る」

「……で、そのイブとやらが

 ワルプルギスの夜を捕食できるという保証は?

 戦って…その力を知ってるのか?

 ワルプルギスの夜とも交戦してイブとも交戦して…

 

 その上でイブならワルプルギスの夜を食えると確信したのか?

 まぁ、だとすれば称賛するよ。何かあってもお前達が居れば

 力を得たイブを倒せるんだろう? やはや、凄く強いんだな…

 私1人に追い込まれていたのに、手加減をしてくれたのかな?」

「……本当、つくづく癪に障るね、君は」

 

さぁ、どうなんだろうな? ワルプルギスの夜とイヴ。

彼女達が何故、イヴであればワルプルギスの夜を捕食できると?

本当に…何と言うか、行動が短絡的だな。

 

「まぁ、焦るのは分かるぞ? 作戦を悉く私達に妨害された。

 だが、ワルプルギスの夜を呼んだのは正直愚手だと思う。

 成果を焦りすぎた…と、そんな印象さえ覚えるぞ?

 急いては事を仕損じる…イヴの孵化を焦りすぎだ…」

 

あぁもう…本当に子供だな…全く癇癪を起すのがな。

冷静さが無い…最悪の場合を想定できてない。

出来ない可能性を考慮してない。

 

正しいと感じた事を全く疑ってない。

優秀な参謀が居ればまだ可能性はあるが

そんな参謀が居ないからな…はぁ、盲目な夢物語は厄介だな。

 

「もう遅いよ? 既にこちらの作戦は達成できてるんだからね。

 あなたが要らない可能性に気を取られちゃったせいだよー?

 イブが環いろはの妹-? そんなあり得ない可能性で

 最大のチャンスを逃すなんて、人の事言えないよねー」

「はぁ!? あ、あれがいろはちゃんの妹!? 何を言ってるのさ!」

「可能性だ…可能性……話を聞いて、そんな気がした。

 所詮は可能性だし…そう、ハッキリとした証拠があるわけじゃ無い。

 そんな下らない可能性に気を取られたと……」

 

確かに返す言葉も無かった…本気を出していれば、それで終わってた。

最大の一撃をイヴに叩き込んでいれば…それで終りだった。

だが、出来なかった…そんな可能性を考慮したから…出来なかった。

 

選択を先延ばしにしてしまった…確かに責められるべき行動だ。

浅はかだった…非情になれば良かった…失敗した。

 

「責められるべき選択だ…非情になれば…それで終わってた。

 一手…差し損ねた…」

「……」

「すまない、私が馬鹿だった…」

「いえ、梨里奈さんが気にする必要はありません。

 私の事を気に掛けてくれただけですよね? 大丈夫です…」

「だから、今度こそ…! 私の速度なら…まだ間に合う」

 

倒しきれるだろう…私の全力であれば

身体能力の限界突破を最大限に用いれば

この距離だろうとあの3人が反応するよりも早く叩ける。

 

「梨里奈さん…わ、私が…私が叩きます」

「いろは…? だ、だが…いや、所詮は可能性だ…

 あれがいろはの妹だと言う証拠はない…

 そう、違う…筈だから…」

「…私がやりたいんです…梨里奈さん」

「……わ、分かった」

 

いろはの目付きからは決意のような物が見えた。

私の言葉を疑ってるわけじゃない…可能性も分かってる。

それでも…彼女は自分がイヴを倒すことを望むのか。

 

……なら、止めるべきではない。

私がやるべきではないのかも知れない…

なら、私はいろはの道を作り出せば良い。

 

「…いろはに任せよう。マギウスの3人に伝える。

 私達はお前達の足止めをさせて貰う…」

「ボベーミャン! ニャッニョミャエミャネ!」

「使い魔…か、イヴ…の」

 

……あぁ、何だろう…いやな…声に聞えた。

いやな言葉に聞えた、いやな言葉に…聞える。

…き、気のせいか…気のせいだと良いんだが…

クソ、変な事を考えてるからだ…だから、聞き間違えてる。

きっとそうだ…そうであって欲しい…

 

「……使い魔も何とかしよう…いろは」

「はい、イヴは私に任せてください」

「……分かった」

 

やるしかないだろう…これが杞憂であって欲しい。

私の勘違いであって欲しい…

無駄に想像力が豊かなのも考え物だな…

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