イヴに変化しかけてるいろはの妹を助けて
ついでにマギウスの連中を助けて
ついでにワルプルギスの夜も退ける…
あぁ、何と言うか、ついでの難易度が高すぎるな。
戦力をあまり消耗するわけにはいかない。
そして、あのイヴをこの場から逃すわけにはいかない。
「ヤバい! イヴが動き出しそうだ!」
「拘束具が! 急いで!」
「いかせないよ、ここで決着を着けよう!」
イヴが飛び出そうとした瞬間、七美の糸がイヴを繋ぐ。
七美は全ての糸を利用し、イヴを地面と繋いだ。
だが、あまり長い時間は拘束出来ないだろう。
七美の糸は強力だが、私限界突破で引きちぎれる程度。
そこまで強力な拘束は叶わないと思う。
あまり時間も無い、なんとか地面に固定しなくてはならない!
「私も援護するわ!」
七美の糸と、マミのリボンの2つでイヴを拘束する。
マミのリボンが追加されたとしても、あまり持たないだろう。
この場で動けないように、なんとか固定するには
あの羽根を切断するしか無いだろう。
その切断が可能なのは恐らく私くらいだが使い魔の数が多い。
最初よりも増えてるし、上空も殆ど制圧されている。
「チィ! あの羽根を!」
「させるわけ無い!」
「くぅ!」
灯火! あいつの魔法をもろに受けるのは不味い!
「あなたの言葉は確かに興味深いヨネ
でも、そんなクレイジーな言葉を受入れる理由は無いヨネ?」
「私の言葉が正しいかどうかを証明してやるために努力してるんだ。
邪魔をするな!」
「なら、超えれば良い。でも、越えようとしないね?
君の実力なら、この使い魔を全部退ける事は出来るし
僕達を突破することも可能だろうね。だけど、してない」
「理由は簡単に想像出来るよー? ワルプルギスの夜でしょ?
あなたの魔法は強力だけど、反動がデカいんだってね-?
この場面で無理矢理突破なんてしちゃったら…ね?」
「……」
そうだ、私なら強制的に退ける事は出来る。
だが、この数の使い魔とマギウスの3人…強行突破をしてしまえば
この後に控えてるワルプルギスの夜で息切れしてしまう。
温存した状態で私が1人で突破をしようとすれば
使い魔に手間取ってる間にマギウスに攻撃される。
その攻撃に対処してる間に使い魔に攻撃される可能性もある。
「私達に任せて! 援護するよ!」
「まどか」
「えぇ、私達が使い魔とマギウスの相手を請け負うわ!
あなたはいろはを護りながらイヴの所へ連れて行って!」
「でも、まだ弱点さえ分かってません!」
「その点は安心して、胸にある宝石、あそこが弱点です!」
「え!? どう言う!」
「みふゆ!」
そうか、そこが弱点なら…そこを叩くことで何かしらの影響がある。
あの魔女が半魔女だとすれば、その宝石は言わば魔法少女のソウルジェム
そう言うのに当たる可能性もあるのかも知れない。
そこがソウルジェムなのだとすれば、魂はそこにあるのでは?
「なら、そこを!」
「不味い…梨里奈ちゃん! 拘束がもう限界だよ!」
「は、羽根を広げようと…うぅ、だ、駄目…」
「いろは! 急ぐぞ!」
「は、はい!」
急いでいろはの腕を掴んで、使い魔を突っ切る。
この場から逃がしたら不味い! 街が崩壊する!
あれほど巨大な化け物…ここで止めるしか無い!
「ボベーミャン!」
「邪魔はさえない!」
私を…いや、正確にはいろはなのかも知れない。
彼女を狙い近付いてくる使い魔達を仲間達が迎撃してくれた。
このままの勢いで近付けば、勝算はある!
「させないって、言ったよね!」
「邪魔はさせないって言ったわよね?」
「うん! ここは任せて!」
「くぅ! あなた達!」
「絶対に邪魔はさせねぇぞ!」
「はい、行かせません!」
「邪魔なんですケド!?」
マギウスの3人をやちよさん達が足止めしてくれた。
この間に一気に距離を縮め、イヴに接近する。
「だ、だめ…もう! あぁ!」
「不味い!」
あと少しの所で七美とマミに拘束が解けてしまった。
このままだと飛び立たれてしまう! それだけは避けないと!
「うぅ! 何この風!」
「くぅ!」
イヴが羽根を広げた勢いだけで、とんでもない突風!
飛ばすわけには行かない…ここで止め無いと…!
「うぅ!」
「な、黒羽根!?」
イヴが飛び立つ前に黒羽根達がイヴの動きを僅かに止めてくれた。
更には植物が地上から伸び、イヴを拘束する。
「あ、あまり持たないかも!」
「一瞬だが、チャンスは出来た! 十分だ!
いろは! 捕まってろ!」
「は、はい!」
いろはを背負い、一気にイヴの頭上まで飛び上がる。
そして、巨大な武器を召喚して、イヴを串刺しにする。
「な、何をしてるんですか梨里奈さん!」
「ここで逃がす訳にはいかないんだ…悪いとは思うが
恐らく、宝石を避ければういに怪我は無い筈だ。
これで拘束すれば、少しの間は時間は稼げる!」
「で、でも…ういに怪我があったら…」
「その時は謝罪する…だが、こいつを飛び立たせるわけには行かないんだ」
「…そう、ですね」
いろはには悪いが、こいつを街に移動させるわけには行かない。
イヴの視線の先から見ても、イヴは街に飛び立つからな。
ちょっとでもこいつを飛び立たせてしまったら、それで終わる!
「よし、いろは」
「は、はい」
地上に無理矢理押付けた事でイヴの宝石が射程内に入る。
いろはがその宝石に駆寄った。
「うい!」
宝石には1人の少女の姿があった。魔法少女の様に見える。
彼女がいろはの妹か。宝石に融合してたとはな。
「うい! うい!」
いろはが宝石を何度も何度も叩き、必死にういに呼びかける。
だが、反応が無い。宝石を壊さないと不味いのか?
「止めてよ!」
「灯火…あの宝石と一体化してる少女に見覚えは無いか?」
「ある訳無いよ!」
「そうか」
まだ、駄目だと言う事か。何とかして助け出さないと不味いか。
「攻撃するしか無い…ごめんね、うい!」
「止めなさい!」
「させるか!」
灯火の行動を私は止める、その間にいろはが宝石を撃った。
同時にイヴの宝石を中心に広がっていくのが見えた。
効果がある、それはこれで分かった。
「少しヒビが入りました!」
「手が届くか!?」
「だ、だめ、です!」
「この、もう止めなさいよ! どうしてそこまでするの!?」
激しい衝撃の後、イヴに大量の穢れが集まり始める。
不味い! このままだと不味い! いろはと灯火が!
「いろは! 灯火!」
「梨里奈さん!? どうし、きゃぁ!」
「下がるぞ! うくぅ!」
周囲が…森が一斉に燃え始めた、不味い…衝撃が。
「梨里奈さん、梨里奈さん!」
「……だ、大丈夫だ」
し、死にそうだ…意識が吹き飛んでしまいそうだ。
とんでもない破壊力だった…
「ちょ、ちょっとあなた…なんで私も庇ってるの!」
「し、死なれたら…困るからな…」
動けるか? まだ、意識がある…なら、私は動ける。
距離があったとは言え、問題はやちよさん達だ。
あの爆発に巻き込まれたんだ…ダメージは免れない。
このまま長期戦になったら、私達はワルプルギスの夜を叩けない。
倒す方法はいくつかあるが、確実なのは…私が宝石を壊すこと。
私の攻撃力なら、あの宝石は容易に砕ける。
大打撃を受けたから、私が拘束に用いた武器も消えている。
このままだとイヴが飛び立つ…迷えば仕損じる。
「……だが」
私も見えた、イヴの宝石に映る少女。
彼女がういである事はいろはの反応から間違いない。
今まで可能性でしか無かった部分が1つ確信へと変わった。
…問題は、イヴを助ける方法だ…その方法が分からない。
どうする? イヴを倒せるのは恐らく、今、この瞬間くらいだろう。
飛び立つと追いつくまで時間が掛る…いや、覚悟を決めろ。
「いろは…あの宝石に居るのが、ういだよな?」
「は、はい…」
「…助けられると思うか? 今なら、救える自信があるか…?」
「……はい、助けられるって思ってます!」
「……なら、私はその思いに賭ける。やってこい、いろは。
失敗したら…私が何とか被害を抑える。
1度しか無いチャンスだ…失敗したら、妹は諦めてくれ」
「……梨里奈さん…」
「…だから、必ず成功させろ…いろは」
「……はい、必ず成功させます!」
「行くぞ、ちゃんと着地しろよ!」
「は、はい!」
私はいろはを掴み、既に起き上がったイヴの元に投げた。
「邪魔しないでくれる!? 梨里奈!」
「そう焦るな…最後のチャンスだ。
お前達が正しいか私達が正しいか、その証明だ」
いろはがイヴの宝石に飛びついてすぐ、状況が変わった。
私にはよく分からなかったが、唐突に灯火の表情が変わる。
「梨里奈…私を離して!」
「まだ…邪魔をするのか?」
「違うよ! お姉様を助けるの!」
「お姉様…いろはのことか?」
「うん! だから、離して!」
全部思い出したのか? なら、拘束は不要だろう。
元々、私はもうあまり動けないしな。
「ありがとう、梨里奈」
「…思い出したなら、良かった…策があるなら頼むぞ。
私は、少し動けそうに無い」
「大丈夫だよ、任せて! ねむ! 大丈夫!?」
「あぁ、僕とアリナは平気だよ…」
「なら、力を貸して!」
「うん、分かった」
「……結局、梨里奈が全部正しかったみたいで驚いた。
まぁ、アリナも力を貸すよ」
マギウスの3人が全てを思い出してくれて助かった。
彼女達はいろはと協力して、イヴへの攻撃を始める。
イヴが抜け出さないように、アリナが結界を張ったせいで
外に居た私は何も見えなかったが…結界の中から出て来た人影が
1人、増えていた、私が知るべきはそれだけで良い。