魔法少女の道化師   作:幻想郷のオリオン座

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魅力的なうわさ

行方不明になっていた少年少女達が帰ってきたと言う話を神浜を回っている間に聞いた。

どうやら、ウワサを仕留めればウワサの被害に遭った人達は戻ってくる様だ。

どうも、魔力を吸い取られるのは魔法少女限定らしいいな。

 

「っと、ここが水名区だな」

 

まぁ、うわさの事よりも、今はこの街に詳しくならないとな。

もしも迷ったりしたら恥ずかしいし。

 

それに魔法少女として活動してるわけだし、これから遠出もあり得るだろう。

そしてここら変が水名女学園だが。うーん、学校終りに来たせいか夕暮れだな。

この時間であれば学生は大体下校してると思ったが…ん? いや、あの子は。

 

「水名女学園、地図だと、右かな…」

「…左だ」

「わ! あ、梨里奈さん。どうしてここに?」

「この街に引っ越してきたからな、街のことは多少知っておこうと思って

 最近は色々な地区へ足を伸ばしてるんだ。

 そう言ういろはの方はどうしてここに居るんだ?」

「あ、えっと…うわさを探してて」

「うわさ?」

 

何故うわさを探しているのか分からないが…何かしらの理由がありそうだな。

 

「そうか、じゃあ私も協力しよう」

「良いんですか!?」

「あぁ、何かあれば協力するとも言ったし一緒に回るのも道を覚えるにも良いだろう。

 それに、お前はどうやら方向音痴みたいだしな。迷いそうだし」

「あ、あはは…ありがとうございます」

「ひとまず水名女学園だろ? こっちだ、付いてきてくれ」

「あ、はい」

 

私はいろはを案内する事にした。地図を見てその場所に行くだけだがな。

これが案内というのか微妙だが、まぁ方々を探すにも丁度良いだろう。

 

「よし、ここだ」

「……れ、歴史が古そうな校舎ですね…」

「歴史はそれなりに深いみたいだな。勧誘しに来た教員もそう言ってた」

「か、勧誘ですか!?」

「ん? あぁ、学費免除で勧誘しに来てな。寮が無いから駄目だったけど」

「え、えぇ!? こ、こんな歴史が古そうな所から勧誘が来たんですか!?」

「ん? あ、あぁ。こう見えても中学時代は色々とやってたからな。

 勉強は良く出来てたし、部活動も散々やってたから、そのうわさを聞き付けて来てね。

 水名女学園と神浜市立大付属学校が勧誘に来たんだ。

 神浜市立の方は寮も提供してくれるとのことだったから、こっちに入ったんだ。

 あまりお金が無いからな。学費免除は大きかったのさ」

「そ、そんなに凄い人だったんだ…魔法少女としても凄かったのに…」

「まぁ私の話は良いだろう。今はうわさを聞くんだろう? 私も協力するよ」

「あ、はいありがとうございます!」

 

ひとまず私も手当たり次第にうわさの話を聞いてみることにした。

とは言え、誰に聞いてもうわさの事は知らないという。

いろはが言うには、神社のうわさがあるらしいが…誰も知らないのか。

 

「うぅ、誰も知らないなんて…」

「すまないな、私が聞いた方も誰1人として知らなかったらしい。

 力になれずに申し訳ない」

「うーん…もしかしたら、うわさに詳しい魔法少女に聞いた方が良いのかな…」

「それが1番早いかも知れないな」

 

私はうわさというか、この神浜に来て間もないから協力できそうに無いが。

しかし、ここまで広がってないうわさが具現化するんだろうか?

女子高生といううわさに関して詳しそうな子達も知らないのに…

 

「うぅ、魔法少女の誰か! 噂を教えてー!」

「おいおい、いきなり叫んで」

「え、えへへ、これで誰かが噂を教えてくれれば良いかなって…」

「いいよ!」

「へ?」

 

誰だ? いろはの叫び声に反応して誰か来た。

 

「うわさの事なら! 最強の魔法少女! 由比鶴乃にお任せだー!」

「へ!? 誰!?」

「確か万々歳の…」

「おぉ! あの時来てくれたお客さんだね! ふふ、常連さんにもサービス!

 さて、何が聞きたいのかな? 何でも教えちゃうよー!」

「あ、あぁ、あの、本当に教えてくれるんですか…?」

「でも、うわさはね、好奇心で調べたら危ないよ!?

 得にうわさと違うことをしたらぜーったいに駄目だからね!」

「あの、その辺りはもう…」

「うわさを消そうとするのも、ぜーったいに駄目だよ!

 だって、変な化け物が出てくるから!

 出て来たらとっても大変だよ!? とーってもだよ!?」

「あ、あの、だから! 私、その辺りは知ってるんです!」

「と言うか潰したからな、1つ…」

 

私はもうすでに2つ消しているけど…言わないでおこう。

 

「おぉ! 凄いね! じゃあね、じゃあね!」

 

と、止まらないな…しばらくは彼女の話に付き合うとしようか。

それからしばらくして、ようやく彼女の勢いが弱まった。

 

「え、えっとですね、私は妹の為にうわさを探していて」

 

その隙を見て、いろはが何とか自分のペースに持っていくために声を発した。

しかし、妹の為にうわさを探しているのか。

その為に、神浜の外から来ているとは驚いた。

 

「えっと、環ういって名前なんですけど…知りませんか?」

「んーーや、知らないなー」

「私も聞いたことが無いな」

「じゃあ、柊ねむって子と、里見灯火って言う子は…」

「おっおぉ、盛り沢山だね-、待ってね、ちょっと考える!」

「うーん……はっ! ひいらぎって!」

「知ってますか!?」

「んや、知らないや…」

 

ならそんな反応をするな……紛らわしいな。

 

「あぅ…」

 

その回答を聞いたいろはがかなり落ち込んでしまった。

いやまぁ、1度期待してすぐに裏切られたらそうなるよな…

 

「だけど、良い事思い付いたよ!」

「へ? 良い事…ですか?」

「うん! 口寄せ神社って噂、知ってる?」

「…神社!?」

 

あぁ、そう言えばいろはが探していた噂は神社に関する物だったか。

 

「わっは、凄い反応だね!」

「あ、あの、私も神社の噂を調べてたんです! 名前も今聞いたくらい何も知らないんですけど」

「お、それは偶然のラッキーだね! 知りたかったなら、知って驚いた方が良いよ!」

「驚く?」

 

名前からして…動物でも呼び寄せる噂なのだろうか。

それなら確かに驚くな…何処までも意味の無い噂だし。

 

「うん! だってね、その神社に行くと…会いたい人に会えるんだから!」

「んな!」

「凄い食いつきだね…梨里奈ちゃんの方が反応したのは驚いたけど」

「あ、いやその…ようやくいろはの目的が果たせそうだと驚いただけで」

「そうなの?」

「梨里奈さん、会いたい人が居るんですか?」

「……あ、いや。そんな事は無いさ」

「絶対嘘だ! ほら、一緒に調べようよ! 口寄せ神社!」

「一緒にって…」

「わ、私も良いですか?」

「うん! 皆で探した方が見付かるよ! 私も探してるし!」

「そ、それなら是非!」

 

……会いたい人に会える…か。

 

「で、梨里奈ちゃんはどうする? 一緒に探そうよ!」

「……わ、分かりました。協力できることはあまりなさそうですけど」

「大丈夫! 皆で探せば問題無いよ! 一緒に頑張ろう!」

「はい、よろしくお願いします、由比さん!」

「―!? 何で私の名前を…最強の魔法少女だから?」

「自分で言ってましたよ…」

「あ、そうだっけ? えへへ、気付かなかったよ」

 

……意外と、馬鹿なのかも知れない、この人。

 

「私は環いろはって言います。よろしくお願いします由比さん」

「由比さんは堅いなぁ」

「えぇ!? じゃあ、鶴乃…さん?」

「……」

「鶴乃ちゃん?」

「はい、由比鶴乃です! よろしく、いろはちゃん!」

「それで良いんですか…鶴乃さん」

「いろはちゃんと同じ風に言ってね!」

「……つ、鶴乃ちゃん、よろしくお願いします」

「よーし! 頑張っちゃうぞー! あ、その前に携帯電話の番号を交換しよう!」

「あ、はい」

 

ちょっと疲れてしまいそうだな…でも、あのテンションで彼女は疲れないのだろうか?

ちょっと不思議という感じがするな。


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