魔法少女の道化師   作:幻想郷のオリオン座

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キュウべぇの元へ

現状、私達が抱えている問題は多い。

1番の解決策というのは、やはり魔力。

魔女化を避ける為に、魔力というのは必須。

グリーフシードがその道具にはなっているが

それは、つまり1度死んでしまった魔法少女の残骸。

可能な限り使いたくは無いが、

魔女にならないためには使うしか無い。

 

だが、魔女も倒せば倒すほどに数が減る。

確かに、あまり時間があるとは言えないな。

短期間でキュゥべぇが作り出した歴史を変える方法。

全く、本当に先が思いやられる。

だからこそ、あいつの力が必要となる。

 

「やぁ、仙波梨里奈、久しぶりだね」

「あぁ、ここには久々に返ったからな」

 

大きな休みを利用して、私は自分の故郷へ戻る。

同時に七美達も私と一緒に来てくれた。

 

「キュゥべぇ……どうして何も教えてくれなかったの?」

「何の話だい?」

「魔女化の事だよ」

「あぁ、その話か。君達も理解したんだね。

 あの神浜で何かあったのかな?

 僕達はあの場所には干渉できないから

 そこで何があったかはよく知らないんだ」

 

あの場所にいたキュゥべぇはういが宿っていた

あの小さな機能を失ったキュゥべぇ、確かモキュと

いろは達は言っていたな。

機能を失っているから、情報が行き渡ってないのか。

 

「それよりも! どうして教えなかったかを知りたいの!」

「それは簡単な話だ、聞かれなかったからだよ」

「こいつ……!」

「待て、弥栄」

「うぅ!」

 

実際、キュゥべぇにそんな質問をしたところで

返ってくる答えがこれだというのは分かってたがな。

 

「私としても、その話は興味があるが

 今回、私達がお前を探してた理由はそれじゃない」

「へぇ、僕を探してたのか。何かあるのかな?」

「あぁ、今回探してた理由は、お前達に興味を持って欲しくてだ」

「興味を? 何を言ってるんだい? 僕らは君達に対して

 とても強い興味を抱いているよ?」

「それは家畜としてだろう? 一方的に利用できる存在。

 そう言う、道具としての興味だ、そうだろ?」

「否定はしないよ、君達に利用価値があるのは事実だからね」

「で、最も興味がある瞬間は魔女化の瞬間。そうかな?」

「へぇ、そこまで知ってるのか。じゃあ、特に隠す必要も無い。

 そうだよ、僕らが興味があるのはその瞬間だ。

 正確にはその瞬間に放出される過剰なエネルギーだけどね」

 

やはりそう言う事なんだろうな、2人が言うとおりだ。

こいつらが興味を抱いてるのは私達のエネルギー。

 

「細かい話は既に把握してるよ。そのエネルギーが無ければ

 宇宙が熱的死にいたり、滅んでしまうんだろう?」

「そこまで知ってるのか、なら協力して欲しいな。

 僕らは君達が放出するエネルギーに興味があるんだ」

「誰がそんなふざけた事に協力するもんか!

 それって、私達に死ねって言ってるような事じゃ無い!」

「そうだ、君達の死で宇宙が存続し、僕らの寿命も延びるんだ。

 君達だけの犠牲で済むなら、それは素晴らしい事じゃないか。

 君達が犠牲にならなければ、数え切れない生命が犠牲になる。

 この小さな星だけの犠牲で済むなら、それは素晴らし事だよ」

「この化け物!」

「弥栄、落ち着け!」

「なんで!」

 

やはり彼らにとって私達の利用価値はその程度だろう。

いや、宇宙の存続のために利用できる存在だと考えているなら

確かに私達に異常な程の興味を抱いていると言えるな。

あくまで道具として、だが、その道具で自分達を救える。

こいつらにとって、私達はほぼ生命線と言えるだろう。

そこまでに興味を抱いてる。

まぁ、私達が家畜に抱く興味程度なのかもしれないがな。

 

「お前達が私達の感情のエネルギーを集めてるのは分かってる。

 だが、それだと私達に死ねと言ってるような物だ。

 無論、私達も同じ様な事を他の生命にしてる自覚はある。

 とは言え、流石に自分へ白羽の矢が立てばそうとは言えない。

 犠牲になれと言われて犠牲になることは簡単には出来ないさ。

 

 それが、お前達が利用しようとしてる感情のエネルギーを持つ

 私達人間という生命の性と言えるだろう。

 お前達は持ってないのかも知れないがな」

「じゃあ、どうするというのかな? これが1番効果的な手段さ。

 僕らが見付けだした、宇宙を存続させるための機能だ」

「かも知れないが、一方的に利用しすぎて私達が反発し

 お互い完全に望まない結末に至る可能性だってある。

 

 少なくとも、お前達が利用しようとしている生命体には

 お前達の常識さえ打ち砕きかねない程の可能性がある。

 言い過ぎだと思うかも知れないが、その事実を実感する時は

 お前達の作り出した機能が壊れる瞬間だろう」

「大きく出たね」

 

表情などが無いからどういう風に感じたのかは分からないが

そこまで驚いている様では無いな、ちょっと小馬鹿にしてる感じだ。

私の言葉がただの冗談に聞えてるのだろう。だが、それは当然かな。

 

「油断するべきじゃ無いぞ? 少なくともお前達が干渉できない

 そんな場所さえ生じているわけだ。多少の説得力はあるだろ?」

「……確かに僕らでも干渉できない空間が生じてしまったのは事実だ」

「ある意味では、常識が壊れていると言えるんじゃ無いか?

 同時に、私達の可能性だって見いだせたんじゃ無いか?

 家畜としての可能性以外の何かを」

「……」

 

キュウべぇが無言のままで何かを考えてる様子だった。

 

「そこでどうだ? 私達と協力するというのは」

「と言うと?」

「私達としても宇宙が滅んでしまうのは避けたいんだ。

 どれ程先の未来かは知らないが、私達のわがままだけで

 その滅亡の瞬間を避けられ無い物にはしたくない。

 

 だが、私達が魔女というなれの果てとなり滅ぶのも避けたい。

 そこでだ、私達が魔女という最後に辿り着く必要も無く

 宇宙を存続させるエネルギーを得る為に協力しよう。

 

 そうすれば、宇宙が熱的死に至り滅んでしまうのを避け

 お前達が私達を利用しすぎて、常識を滅ぼす可能性も消せる。

 私達も魔女化という終りに辿り着くことも無く

 死という、誰もが辿り着く当然の結末により終止符を打てる」

「そんな夢物語を実現できると思っているのかな?

 それは正確な手段もプランも無いと言うのに

 辿り着ける物なのかい?」

「私達だけでは無理だし、お前達だけでも無理だろう。

 だから、協力しようと話を持ちかけたんだ。

 お前達もこれ以上のイレギュラーを発生させ

 面倒が起こるよりは、イレギュラーの可能性を減らしたいだろう?

 

 それにだ、お前達が作り出したシステムと

 私達が持つ感情のエネルギーを合わせたことで

 死者さえ蘇らせるという、常識を全て破壊する奇跡を起せた。

 なら、私達が協力すれば常識を覆す

 そんな奇跡でも起せるんじゃ無いか?」

「……」

 

キュウべぇはしばらく考え込む様子を見せた。

何も言葉を発することも無く、何かを考えてる。

 

「……良いだろう、確かに感情のエネルギーは厄介だ。

 何度か痛感した瞬間があるのも事実だからね。

 その厄介なエネルギーの代替えが出来るなら

 僕達としても悪くない話かも知れない。

 

 だけど、僕達は君達の正確なプランが出ない限り

 今まで通り、魔法少女を生み出し魔女化させる事で

 エネルギーを得て、エントロピーを低くしていくよ。

 協力はするが、この行動を止めるのは道筋が出来てからだ」

「……そうか」

「この! これ以上犠牲者を出すっての!?」

「そうだよ!」

「悪いが、僕らも宇宙を滅ぼすわけにはいかないからね。

 僕らが滅んでしまうのは確実に避けたいのさ。

 それに、一応協力はするんだ、少しは目を瞑って欲しい。

 それじゃあね、何か聞きたいことがあったら聞いてよ」

 

そう言って、キュウべぇは私達の前から姿を消した。

 

「くぅ! もう最悪!」

「……だが、一応話は付けられたか。

 行き詰まったら協力して貰うとしよう」

「でも、これからも犠牲者が出るんだよね……」

「あぁ、止めたいが……その為に1分1秒でも速く

 魔法少女達の宿命を取っ払う方法を探そう」

「クソ、最悪……あいつ」

「でも、仕方ないよ」

「あぁ……だが、必ず成し遂げる」

「うん……じゃあ、梨里奈ちゃん」

「どうした?」

「今日は久々に、私の家に泊まってよ」

「……良いのか?」

「うん!」

 

……久々だな、七美の家に泊まるのは。

ふふ、何だか楽しみだ。

あまり時間は無いが、根を詰めすぎると発想が制限される。

不謹慎だが、今日は少し休むとしよう。

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