キュウべぇに話を付けることは出来た。
私達はその足で、神浜に再度戻る。
久々に見た両親の顔も懐かしいとは思ったが
今、私達がいるべき場所はここじゃ無いからな。
「戻ってきたね、神浜に」
「あぁ」
私達はその足でみかづき荘へ進む。
「あ、帰ってきたんだね」
「灯花とねむか、どうしたんだ?」
私達が帰って、すぐに迎えに来たのは
意外な事にマギウスの3人だった。
「実は相談したいことがあってね」
私は3人から裁判をすると言う話を聞く。
自分達の罪を贖いたいという物だ。
確かにだ、マギウスが行なった行動により
あまりにも多くの犠牲が出たというのは事実。
街の被害もかなりの物だ。死傷者は出てないがな。
やはりワルプルギスの夜というのは危険な存在。
そんな存在を神浜に呼び込んだのだから被害はデカい。
他にもだ、エネルギーの為に一般の人達を犠牲にした。
確かに許されるような行為ではないだろう。
うわさである、万年桜を利用しての裁判。
彼女達はその裁判の事を、いろは達では無く
まず、私達へ相談したと言う事だ。
「なる程……確かに、お前達は大罪を犯してるからな。
一般人を巻き込んでの騒動だ。
だが、お前達を裁けるのは同じ魔法少女だけ。
だから、それを自分達で行ないたいという訳か」
「そうだよ、そうしないと僕達は許されないと思う」
やはり、根は善人だったんだろう。
そうじゃ無いと、この様な判断は出来ない。
「……でも、何故それを私に?」
「あんたなら冷静な判断できるかなってネ。
当事者でも無く、アリナ達と深い仲でも無いしネ」
確かにいろは達に相談すれば止めようとするだろうな。
とは言え、独断でも動きたくなかったという形かな。
なら、私が公平な立場として判断しての方が良いと。
この3人の決定を私が判断するのだと言うなら
既に答えは決ってると言えるだろう。
「無論、やるべきでは無いと思う」
「どうして? 僕達は大罪を犯したんだよ?
だから、君だって僕らを止めようと動いた」
「そうだ、お前達が犯した罪は途方も無く重い。
なんの罪のない一般人を犠牲にし、大きな罪を犯した。
無論、その罪は贖わないと行けないだろう。
当然、理解してると思うだろうが
公平な裁判を行なうとすればお前達は極刑だろう。
だが、まだ贖罪のチャンスはある。
裁判では極刑だろうが、その程度で償える物でも無い。
私の考えでは、死は何の罪滅ぼしにもならないからな。
だから、少しでも先へ、未来へ貢献できる術を探すべきだ。
お前達にはその力も技術もあるんだ。
死ぬ事でその可能性を捨てる事は罪から逃げるのに等しい。
出来る事を最後までやり遂げて
それでもまだ罪を償えてないと思うのなら
その時、もう一度裁判をやるべきだと私は思う」
これが私の考えだった。大きすぎる罪を償う意思があるなら
死を選ぶよりも、未来の為に結果を残すべきだと。
本人に反省の色が無かったり、覚悟が無いのなら
死によって償うというのもありなのかも知れないが
私はそんな形での罪滅ぼしには賛同してない。
世間一般で言えば、異常な思想なのかも知れない。
だが、この考えは私の思い。
もはや道化では無い私はこの思いを貫きたい。
「……出来る事を最後まで?」
「そうだ、お前達2人は元々は魔法少女を救う。
その為に魔法少女になったんだ。
その力を無駄にするわけには行かないだろう?
魔法少女の魔女化という、最悪のシナリオを避ける為に
お前達はういと共に考え、その可能性を見出し
魔法少女を救うために魔法少女になった。
お前達の魔法は、まさしく魔法少女を救うための魔法。
そんな魔法が扱えるのに、死を選ぶのは良くない。
魔法少女の魔女化を避ける事が出来れば
これから先、犠牲になる可能性のある何億の命が救われる。
暴走してたお前達も、似たような事を言ってたがな。
まぁ、その時、私は全力で否定してしまったが。
一般の人達に危害が加わらない方法であるなら
私だって、魔法少女の魔女化は阻止したいからな」
出来る事なら、魔法少女である事を止める事。
そうしないと、差別やドッペルによる被害が出る。
最終的な終着点はその場所だが
最初の第1目標は魔女化を阻止することだ。
そうしないと、被害者が増えていく一方だからな。
「つまり、あなたの意見では私達の裁判は
行なうべきじゃ無いと言う事……だよね?」
「そう言う事だ、無論、これは私の意見だ。
当然、私以外と相談して裁判をすると決める。
その場合、私は強くは止めない。
周りが裁判をするべきだと判断したとしても
私は強くは止めないが、仮に多数決をするなら
私の意見を参照して欲しいとは思うけどな」
「まぁ、近くで梨里奈ちゃんの話を聞いてた
私としては、裁判はしない方が良いなぁって」
「わ、私も……」
「私も梨里奈お姉ちゃんが駄目だって言うなら、駄目だと思う」
「私の判断が絶対正しいって言ってるように聞えるな。
久実、信じてくれるのは嬉しいけど
私の考えが絶対に正しいというわけじゃ無いんだぞ?」
「それは、わ、分かってるけど。
で、でも、私は正しいって思うから」
「そうか、久実が正しいって思ってるなら大丈夫かな。
私が正しいと言ったことが正しいわけじゃ無いからな?
私の意見に全部合わせる、と言うのは駄目だぞ?」
「う、うん」
久実は私の事を大分信頼してくれてるようだからな。
嬉しい事だが、私の考えが絶対では無い。
これは私の考えと言うだけであり、正解では無い。
きっと色々な正解だってあるだろう。
裁判をすることが正しいと思う人も居るだろうし
私と同じ様に、思わない人だって居るかも知れない。
自分が絶対に正しいとは考えない方が良いのは事実だが
自分の意見を持たない事も駄目だと思うしな。
ふふ、七美に出会う前の私にも言いたい言葉だ。
周りに振り回されるだけだった、あの時の私にも。
だが、あの時間も悪いことばかりでは無いと思う。
あの日々のお陰で、私は強くなれたわけだからな。
「なる程、分かったよ。ありがとう相談に乗ってくれて」
「気にするな、これからは仲間だからな。
同じ問題に挑もうとする者同士だ。
今回はやり方が違えてるわけでも無いしな」
「じゃ、また違えないように気を付けないとネ
正直、あんたと相対したら厄介すぎるしネ」
「ふふ、私は結構強いからな」
「相変わらず、結構とか言うんだね。
強い自覚があるのかないのか、どっちなんだい?」
「強い自覚はあるが、最強ではない事を知ってる。
そう言う事だ」
「面白いね、相変わらず」
「じゃあ、ありがとうね、梨里奈。
また今度、何かあったら相談するよ」
「あぁ、そうしてくれ。年上らしく応えるからな。
まぁ、アリナとは同い年だが」
「そんな風には見えないけどね」
「あんた、何が言いたいワケ?」
「アリナはもう少し落ち着いて欲しいと言う事だよ」
「アリナは十分落ち着いてますケド?」
「すぐにやけになるのに落ち着いてる訳無いじゃーん」
そんな、何だか仲の良さそうな会話を繰り広げながら
彼女達は私達の前から姿を消した。