魔法少女の道化師   作:幻想郷のオリオン座

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とある相談

マギウスからの相談を受けてしばらく経つが

裁判を行ないたいという申し出はなかった。

この事からも、彼女達は裁判をせず

自分達に出来る事をやり遂げると決めたのだろう。

 

「神浜マギアユニオン?」

「はい、そうです」

 

確かにやちよさん達が組織を作ろうとか

そんな話をしていたのは覚えているが

実は、私はあまりその話に参加してなかった。

 

と言うのも、ワルプルギスの夜を撃退した後

私は主にマギウス達と協力して

魔法少女を救う方法を考えていたからな。

 

お互いに色々と相談したりして

可能性を考えてたりもして居た。

私はまとめ役兼、意見を出す役だ。

 

あの3人は個性が強いからな。

まとめ役が居ないと喧嘩するのだろう。

 

「そう言えば、そんな話をしてたな」

「え? あんたってみかづき荘に住んでるだよネ?

 何も聞いてなかったワケ?」

「……き、聞いてなかった」

「り、梨里奈さん……ずっと上の空でしたけど

 まさか、聞いてなかったとは思いませんでした」

「す、すまない、魔法少女をどう救うかと言う事を

 ずっと考えてたから、ちょっと寝不足で……」

「さ、最近、毎朝ボーッとしてると思ったら、そう言う…」

「そこまで考えてたんだね」

「あぁ、それは勿論だ。まだ妙案は出てないが…」

 

最近は妙に夜更かしをする様になってしまったからな。

学校の勉強も今まで通りやってるが

やはり複数のことを深く考えると眠れない。

特に夜は色々な事を考えてしまうせいで余計に…

 

「うぅ、最近は理想的な生活習慣が出来てない。

 あまり勉強にも集中出来てないしな……」

「あまり無理しない方が良いと思うですけど?」

「あまり集中出来ないと言ってますけど

 け、結構私達に勉強を教えてくれてますよね?

 後、料理とか……」

「あぁ、そうだな。どれ位のレベルが良いかも考えてる。

 それと、料理は……教えるの大変だと実感するよ。

 やはり私のお母さんは教えるのが上手だったんだな」

「……無茶しすぎだよ。倒れるよ?」

「この位で倒れたりはしないさ」

「そう言うのって、知らない間に蓄積するんだよ?

 しっかり休まないと」

「うー、しかしなぁ、3人に任せっきりなのはな。

 私も色々と知ってるんだし、協力しなくては」

「はいはい、無茶はここまで、休んで」

 

結局、周りに言われて私は少しだけ考えるのを休んだ。

と言うかだ……今更だが眠気が…

 

「何かうとうとしてるけど

 やっぱり寝不足なんじゃない?」

「うぅ、も、申し訳無い」

「私達が知らない間に、そんなに無茶を……

 ご、ごめんなさい、気付けなくて」

「だ、大丈夫だ、それが普通だからな。

 私は演技が上手だからな、見抜くのは難しいぞ。

 多分、七美位じゃないと分からないと思うし」

「そう言えば、七美さんはずっと梨里奈さんに

 休んで休んでって言ってましたね……

 わ、私には元気そうに見えてたのに」

「七美は良く私の事を見てくれてるからな。

 お陰で、私は今もこうやって元気なんだが」

 

あ、危ない、あ、あくびが出るところだった。

ひ、ひとまずあくびをかみ殺して……

うぐぐ、ま、まだ明るいというのに情け無い…

 

「梨里奈さん、そんなに無茶をしないでください。

 い、今のうちに、少しでも休んだ方が良いです」

「そうさせて貰うよ」

 

少し考えたが、周りのアドバイスに従う事にした。

少しだけ硬い椅子から、ソファーへ移動する。

ここなら考えを纏める紙も視界に入らないからな。

 

「それで、神浜マギアユニオンだっけ。

 どんな感じの組織なの? お姉様」

「えっとね、3人が率いてるマギウスの翼と

 十七夜さんが率いてる東の魔法少女達。

 ひなのさんが率いてる南側の魔法少女達

 そして、やちよさんが率いてる

 私達、西側の魔法少女達を統合して

 一緒に解放を目指すための組織を作ろうと思ったの。

 

 目的は勿論だけど、魔法少女の魔女化からの解放と

 キュゥべえとの共存が上げられるね。

 勿論、一般の人達に被害が出ない方法で、だけど」

 

もしその目的が成就した場合、

相当な規模の組織になるな。

恐らくだけど、殆どは同盟という形にはなるんだろうが。

 

「なる程な、相当な規模になるが……

 軋轢とか大丈夫なのか?」

「大丈夫だと思いますよ、目的は皆、同じですし!」

「そうだが……」

 

しかし、不安要素はあるんだよな。

そう言う大規模な組織というのには必ず存在する不安。

それは内輪揉めとか、そう言った内部の問題。

そして、外部組織にも危険視される

そんな危険性があるという点。

 

恐らくだが、この組織を作ると

広い範囲に声を掛けるだろう。

そこから、ドッペルという魔女化を避ける方法が認知され

ドッペルというシステムを奪おうとする組織に見付かる。

大規模な組織というのは、強大な抑止力にはなるが

同時に新たな争いの火種にもなりかねない。

 

広範囲にドッペルが認知されればされるほど

ドッペルを独占してる神浜が妬まれ、

攻撃されるかも知れない。

とは言え、大規模な組織を作るというのも

大きなメリットがある。

 

それが、今、私達が考えてるとある方法。

感情の力、そう、私達に眠る願いを叶える力。

その力を利用した魔法少女の解放。

 

規模がデカくなればなる程、協力者が増える。

1人2人の感情の力では

システムを変える奇跡は無理だろうが

何十人、何百人の力を束ねたら可能かも知れない。

とは言え、課題は多いがな。それ程の人数を纏める力だ。

 

「僕は良いと思うけど、梨里奈は不安なのかい?」

「そうだな、規模がデカくなればなる程に

 安定した統率は困難になる。

 勿論、そう言う組織が必要とも思うが……

 統率方法をしっかりと考えないと派閥がなぁ…」

「相変わらず、あんたは心配性だよネ。

 アリナ的には問題無いって思うんですケド?」

「私も問題は無いとは思うが、

 組織には1人くらい、不安を抱く人物は必須なのさ。

 まずは不安要素として、

 周囲に目の敵にされる可能性がある。

 

 そして、絶対的な統治者が居ない組織というのは

 派閥が生じて、内側で軋轢が生じる危険性が存在する。

 

 対策としては、しっかりとした関係を築き上げる事だが

 この場合の問題点としては

 外部干渉に過剰反応する危険性がある。

 仲間意識が強くなればなる程、

 外部干渉に過剰に反応する。

 それは当然ではあるが、中々に厄介な物だ」

「そ、そう聞くと、何だか恐いですね」

 

大きな組織というのはそう言う物だからな。

大きな組織を統治するのに必要なのは

絶対的な統治能力、絶対的な目的意識

確かな組織構成等が上げられるだろう。

 

厄介な事に、組織構成というのは手間が掛る。

何処にどんな仕事を分布し、不平不満を無くすか。

あくまで魔法少女を解放するという目的の為に動くなら

不平不満はあまり関係無いのかも知れないが

 

何処にどれ程の発言権を与えるか。

そう言うのでも不平不満も生じる。

多くの組織を纏めた同盟となってくると

場合によっては、それぞれの利権に関する話に発展。

そう言う可能性だって存在するわけだからな。

 

巨大な組織を組み立て、運営する。

それはとても難易度が高い事だろう。

マギウスやマギウスの翼のように

マギウスが絶対であり、マギウスの3人の権限は

殆ど同じである、と言う場合なら大丈夫かもだが

神浜マギアユニオンという組織の場合は難しいだろうな。

 

複数の組織を同盟するというのは難易度が高いからなぁ。

だが、肯定したい気持ちはかなり大きい。

意思を1つに纏めるために、組織というのは便利だからな。

 

「そこまで言うって事は、

 あんたは駄目って思ってるワケ?」

「必要だとは思うが、

 対策を講じたほうが良いと言う事だ」

 

とは言え、難易度の高い問題である事は間違いない。

誰にどれだけの権限を与えるのか。

勿論だが、それぞれの組織を束ねてるリーダーは

同等の権限を持っていて、その上での最高意思決定等は

それぞれのリーダーのみで行なうと言うのもありだ。

 

言うなれば、民主主義と言った形になるのだろうか?

それぞれの地域に居る魔法少女達が認めたリーダー達が

全員で集結し、その場所での話し合いにより

最終的な意思決定を行なう。

 

他の魔法少女達はそこまで意思決定には干渉できず

リーダー達のみで、殆どの決定を行なう。

そうすれば、まだ内輪揉めは抑えられるだろう。

 

そして、外部の魔法少女達との関係。

ドッペルシステムを隠蔽して……と言うのも手だが

もしドッペルシステムが露呈した際に問題になるだろう。

それは、話を広げても同じ事と言えるだろうがな。

 

他の魔法少女達からしてみれば、私達という存在は

自分達だけが魔女化の危険性から免れてる魔法少女。

目的は全魔法少女の救済とは言え、

それを全ての魔法少女達が信じるとも思えない。

 

「例えば組織の意思決定の殆どが

 それぞれの代表のみで行なう。

 こうすれば、内部の軋轢が生じにくいと私は思う。

 民主主義のやり方に近いかな」

「全員で話し合いだと、問題が起こりますしね」

「そうだ、話の統合も難しいし、

 場合によっては話し合いさえ無意味になりかねない」

「組織作りって、中々大変なんだね-」

「マギウスの翼を率いてたんだろ? お前らは」

 

いやまぁ、確かにマギウスの翼というのは組織というか

どちらかというと、宗教に近い形ではあったが。

 

「あまり考えてなかったしね」

「命令して羽根達を動かしてただけだったしネ

 羽根達は私達の意見に疑問さえ抱かなかったしネ」

「唯唯諾諾という形だね、すぐに従ってくれてたよ」

「い、いいだくだく……?」

「事のよしあしにかかわらず、何事でも従う事だ

 人の言いなりになり、自主的な行動をしない事だ。

 まぁ、1番楽な生き方だな。間違いない」

「傀儡に等しい生き方だけどね」

「傀儡で居る方が楽なのさ。

 大した責任が生じないからな」

 

自分で大きな決定をしないで良いのは楽だからな。

 

「な、何だか話が難しすぎて……

 ちょ、ちょっと付いていけません」

 

確かに今の会話は難しい内容が多いからな。

 

「なら、そう深く考える必要は無いだろう。

 きっといろはには無縁な話だからな」

 

いろは達は自分達の意見を貫き通したからな。

周りに言われるだけで意見を変える人間なら

あそこまでに意思を貫き通すことは出来ないだろう。

 

「だね、お姉さんは自分が思ったことをやるだろうしね」

「さて、話が大分脱線してしまったな。

 私が原因なのは間違いないが」

「色々と話が変わりすぎだと思うんですケド?」

「そ、そうだな。ま、まぁとにかくだ。

 神浜マギアユニオンという組織自体は賛同する」

「じゃ、じゃあ、梨里奈さんも参加してくれますか!?」

「あぁ、参加はするよ」

「勿論、僕達もね」

「異論はありませーん」

「まぁ、仕方ないヨネ」

「じゃ、じゃあやちよさんにもそう伝えます!」

「でも、梨里奈は幹部とかにしない方が良いと

 アリナは思うんだヨネ」

「え? ど、どうしてですか?

 り、梨里奈さんの活躍なら」

「勿論、功績が駄目だとか、

 そう言う理由じゃ無いんだよ?

 でもね、梨里奈って何でも出来ちゃうからね-」

「何だ? 心配してくれるのか?」

「心配もするよ、君は優秀すぎるからね。

 君なら確かに組織をまとめ上げることが出来るだろう。

 でも、今の状態でも無理をしてるんだ。

 ここに更に組織の統率なんて加わったら、

 倒れちゃうだろ?」

「た、確かに、そ、そうかも……」

「はは、心配してくれてありがとうな。

 確かに言えてるかも知れないな」

 

だけど、きっと3人がそう言ってくれなくても

私は幹部にはならないだろうとは思うがな。

恐らくだが、幹部の話が来た場合

ほぼ確実に七美は私を止めるだろうしな。

あいつは私の事を良く分かってる。

 

私が無理をするのを予見し、止めてただろうな。

だが、3人が私の心配をしてくれてる。

その事に、私は素直に感謝するとしよう。

 

「そう言う訳だから、私も参加自体はするけど

 組織の組み立てにはそこまで言わないようにするよ。

 実際、3人が言うとおり、

 私は無茶をするだろうからな。

 倒れてしまったら中々に大変だ」

「正直、勿体ないとは思うんだけどネ

 だって、アリナ達3人をしっかり纏めるくらいだしネ」

「自分で言うのも何だけど、

 わたくし達をしっかり纏めるって

 中々に難易度が高いと思うんだよねー」

「それをしっかり纏めて、意見も固めてくれてる。

 幹部としては相当優秀な部類なのは間違いないよ。

 とは言え、彼女は仙才鬼才だ、あらゆる事柄が出来る。

 それ故に多事多端だ。これ以上は本当に休めなくなる」

「私は限界突破が使えるから、その気になれば出来るが

 有事の時に動けなくなるのは不安だからな」

 

何かがあったときに動けるように

私は適度に休める状態で動かないとな。

 

「そ、そうですよね、梨里奈さんいつも大忙しですし……

 分かりました、組織とかは私達で出来るか

 やちよさんとも相談して動いてみます」

「あぁ、お願いするよ」

「それじゃあ、また報告に来ます!」

 

そう言い残し、いろはが私達の前から去って行く。

その後、一息吐いた後、再び魔法少女解放の話しに戻るが

私は3人に言われて、今日は大人しく帰ることにした。

 

そして、七美に無茶しすぎだよと怒られることになった。

ま、まぁ、慣れてるとは言え……

やはりここまで怒られると恥ずかしいな、はは。

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