魔法少女の道化師   作:幻想郷のオリオン座

90 / 114
万々歳の特徴

さて、今日は万々歳でバイトだ。

しかしながら、やはり寂しい。

いつもバイトで来る度に思うのだが

やはり人があまり来ない。

当然の様に、今日もあまり人が来なかった。

常連はそこそこ来るのだが、新規が少ない。

 

「よーし! 今日も終わったね!」

「そうだな……」

「ん? どうしたんだ姉ちゃん!」

「いやな、勿体ないと思って」

「勿体ない? 何が?」

「鶴乃、万々歳の特徴、分かるか?」

「特徴? いきなり何を言い出すの?

 それは勿論、最強の魔法少女である

 この私が……いや、魔法少女が多い事?」

「いや、そう言うのじゃ無くてだな。

 うん、確かにそう言う特徴はあるが」

 

常連に多いのは魔法少女だったりする。

レナを筆頭に意外と魔法少女が多い。

もしくは女性客が多いとも言える。

 

理由は分かりやすい物で、

鶴乃とフェリシアの2人だろう。

2人とも性格が明るいからな。

鶴乃は言わずもがなムードメーカーであり

フェリシアは母性本能の様な物をくすぐる。

この2人の人格が万々歳に常連が多い理由でもある。

 

「今、私が問いたかったのはお客様の特徴だよ」

「常連が多いって事?」

「その通り、万々歳は常連客が非常に多い。

 これは何故か分かるか? 理由はいくつもある。

 1つは鶴乃とフェリシアの性格が良いからだ。

 ムードメーカーで明るい鶴乃とフェリシア。

 明るいというのはそれだけ、相手に好印象を与える」

「相変わらず、自分は入れないんだね」

「私は裏方だからな」

 

私が行なうのは基本的に調理であり

接客では無い。だが、私が接客をすれば……

多分、自分でも異常と感じる程明るく振る舞うし

 

自分でも異常と思えるほどの笑顔で接客するだろう。

私はそうやって生きてきたからな。

仮面を被るなど、造作ない事だ。

 

「さて、話を戻そう。常連が多い理由だ。

 2つ目の理由だが……味だ」

「確かにお父ちゃんの料理は美味しいもんね!

 誰に聞いても50点って言われるけど……」

「ふふ、そこだよ」

「そこ?」

「そう、誰に聞いても50点。そこだ」

「どう言う事だよ姉ちゃん」

「最も重要な要素があの一言にはある。分かるか?」

「えーっと、50点って所?」

「勿論、そこも重要だ。だがそれよりも重要な言葉。

 それは、誰に聞いてもと言う部分だ」

「え?」

「誰に聞いても、同じ点数を言われる。

 ハッキリと物を言うレナもそうだし

 他の常連達も同じ様に50点と告げる。

 だが、毎日の様に来ている。

 理由は単純で、毎日食べても飽きないからだ

 これが万々歳最大級の武器!」

 

そう、万々歳にはしっかりと武器がある。

なのに妙に人が少ない、これが現実だ。

このままだと、大きな成功は達成できない。

このままジリジリとでは、いつか限界が来るだろう。

常連が多少多いと言えど、

いつまでも同じ人数だけでは不味い。

何処かで増やす必要がある。

 

「万々歳にはしっかりとした武器がある。

 なのに何故、万々歳にはあまり人が来ない?」

「そ、それは」

「理由はシンプルだ、

 万々歳、最大の武器を生かし切れて無いからだ」

「うぅ……でも、どうすれば」

「だから、話し合いをしよう」

「え?」

「どうすれば万々歳最大の武器を生かせるか。

 それを明日、万々歳で親父さんも含めて

 一緒に、どうすればお客を呼び込めるか」

「い、良いの? 明日は休みなんじゃ」

「問題無い、お世話になってる万々歳の為だ。

 1日の休み程度、全く惜しくは無いさ」

「あ、ありがとう」

「おぉ! 俺も考えるぜ!」

「あぁ、一緒に考えよう。だから鶴乃。

 親父さんにこの事を話しておいて欲しい」

「わ、分かったよ! 相談してみる!」

 

私がその事を告げてすぐに鶴乃から電話が来る。

親父さんもその事を了承してくれた。

明日は定休日だからな、1日かけて考えられる。

その事を七美達に伝え、

私は次の日、フェリシアと共に万々歳に向った。

 

 

 

「よし、今日はしっかり考えよう」

「おう!」

 

万々歳に向う道中に必要な物を買って

歩きながら、ある程度の事をメモに書く。

そして、万々歳に到着する。

 

「来たね! ささ、こっちこっち!」

 

万々歳に着き、鶴乃達が用意してくれたであろう

ちょっと大きな机の前に座る。

 

「ありがとね、ここのために色々考えてくれて」

「お世話になってる万々歳の為です。

 これ位は当然ですよ」

「俺も色々考えるぜ! 万々歳を大盛況させるんだ!」

「ありがとね、フェリシア、梨里奈ちゃん」

「気にしないでくれ、さて、早速だが」

 

軽く挨拶をした後に、私はメモ帳を机に置いた。

 

「では、早速ですが、どうして万々歳に

 あまりお客様が来ないのか。

 それは単純に宣伝が足りないからだと思います。

 

 ですが、ただの宣伝では効果がありません。

 宣伝というのは一撃で決める必要があります。

 何度も何度もインパクトの無い宣伝を繰り返しては

 ドンドン目新しさが消え、興味すら持たれません。

 

 なので、最初の宣伝でいかにインパクトを与えるか。

 これに尽きます」

「ふむふむ」

「インパクトを持たせる方法は色々とありますが

 メジャーなのが特徴を見せ付けることです」

「確かに、それは重要だね」

 

広告を見た人に特徴をしっかりと伝える。

それは非常に難易度が高いが重要な事だろう。

これが出来た店は成功するチャンスが訪れるが

正直言うと、成功しても店が伴わなければ

お客様はただただ離れていくだけだ。

 

「僅かな文面でいかに特徴を見せ付ける。

 それが重要ではありますが、

 他には無い、尖った特徴である必要もあります。

 当然ながら、他の店の宣伝も同じですからね。

 自身の特徴を伝える。それが広告で必要な事。

 なので、他には無い尖った特徴を用意しないと

 十分な宣伝効果を得る事が出来ません。

 

 ですが、万々歳の料理は正直言って、

 尖った特徴も無い。

 それは常連達の言葉からも聞き取れます。

 そう、50点という、可も無く不可も無い評価」

「うぅ、や、やっぱりそれだよね」

「頑張ってるんだけど、中々ねぇ…」

「ですが、この評価に何か一言入れば意味が変わる。

 鶴乃、昨日私が言ったこと、覚えてるよな?」

「うん、誰に聞いても同じ評価」

「その通り、そこが万々歳最大の特徴」

 

50点、極めて普通という評価だ。

料理店からしてみれば、この普通という評価は

コンプレックスと言える部分になるだろう。

 

だが、テレビの芸能人等で分かるとおり

コンプレックスを武器にするのは重要であり

この部分を逆手に取れば、

いくらでもやりようはある。

 

「誰からも同じ点数を言われる。

 つまり、誰から見ても、同じ位の料理。

 この部分を武器にすれば万々歳は成功します」

「なる程ね、最大のコンプレックスを利用する。

 そんな発想は無かったなぁ、どうするんだい?

 誰が食べても同じ評価を、どう武器にすれば」

「キャッチコピーです。キャッチコピーを考えましょう」

 

キャッチコピーの事を伝えて、メモを1枚めくる。

そこには私が少しだけ考えたキャッチコピーがあった。

 

「えっと、呆れるほど飽きない味

 何処にでもありそうなここだけの味」

「私が少しだけ考えたキャッチコピーです。

 どちらも自虐してかつ宣伝する

 自虐マーケティングに近い宣伝方法です」

「ほうほう、面白いね」

「他には商品名を変更する方法もありますね。

 商品全般に50点と名付けて出す方法。

 しかしながら、これは今までの常連が

 ちょっと困惑する可能性もあるので

 そこまでおすすめはしませんが」

 

新規顧客を得たいのは間違いないのだが

その為に、今までの常連を無下にするのはよくない。

常連客達は私達を支えてくれてる人達だ。

 

その人達への感謝を忘れるのは経営者として失格。

今までも顧客を大事に出来ない経営者では

新く得た顧客も離れて行く可能性だってある。

 

「前もって常連に伝えていき、変える方法なら

 それはそれでありかも知れませんが

 いきなり変えるのはよくないでしょうし

 そもそも、狙いすぎても

 新規顧客が離れる可能性もあります。

 ですが、成功すれば伸びる可能性もある。

 

 何かの拍子にSNS等で伸びた場合は

 商品名を変えて見るのも手としてはありでしょうね」

 

今の世の中はSNSが重要な世の中になってる。

大きく成長したり、成功するには

このSNSをいかに利用できるかが重要になってくる。

 

実は反則と言える方法だが、手としては存在する。

それは、やちよさんにSNSを使って伸ばして貰う方法。

やちよさんはモデルだ、十分宣伝効果もあるだろう。

だが、流石に巻き込むのはよくないだろう。

 

「私が伝えたいのはこれで以上です。

 鶴乃やフェリシアは何かあるか?」

「いや、何も……そもそも梨里奈ちゃんの話しの

 レベルが高いから、何も口を挟めないというか」

「おう! 俺はさっぱり分からなかったぜ!」

「かなり詳しいんだね、梨里奈ちゃん。

 何処かで勉強をしたとかあるのかい?」

「可能性はあるかもね、どうなの? 大変なのに」

「これはユニオンの運用を考えるときに

 ちょっとだけ営業系の話しに興味が移って

 少し調べた結果だから、大変って事は無いさ」

「え? 梨里奈ちゃんはユニオンの運用や

 組み立てには参加しないって聞いたけど」

「いやほら、性格上どうしても……」

「本当、無茶しないでよ……」

「大丈夫だ、この程度大した事じゃ無い。

 それに、この行動の結果色々と調べれて

 もし、この知識が役に立って万々歳を

 繁盛させることが出来れば 

 無駄じゃ無かったと言えるからな」

「……そうなんだ、その、梨里奈ちゃん」

「どうした?」

「万々歳の事、色々考えてくれてありがとうね」

「私の方こそ、誘ってくれて感謝する。

 ありがとうな、鶴乃」

 

その後、大した案などは出ずに

私の伝えた案で行動する事になった。

この案が成功してくれることを願うよ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。